「別れよう」
私が待ち合わせ場所に着いたとたんに、彼から言われた、いきなりの第一声。
頭の中で何度か繰り返し、やっと意味が飲み込めた。
『別れたくない‥‥』
そんなことばを喉まで出かかって、ぐっと飲み込む。
「わかった。さよなら」
彼の前から早く去りたくて、一言いって、その場から駆け出した。
彼が何か言ったような気がしたけれど、もう振り返ることはない。
ショックだけど涙なんか出なかった。
はじめから、結ばれないことがわかっていたからだ。
それなのに‥‥
心に底無しの穴が空いてしまったように感じた。
約一年の付き合い‥‥あっけない終り。
私はこれからどうやって、空いてしまった心の穴を埋めていけばいいのだろう。
走り疲れ、夜の町をヒトリ、あてもなく歩きだす。
今は何も考えたくなかった、なのに彼のことばかりが脳裏に蘇る。
知り合わなければ、こんな思いせずにすんだ。
でも、彼と知り合えたこと、体を重ねたことを後悔していない。
「そこのねーちゃん!」
声のした方を振り返ると、電灯の下に立っている陰があった。
(‥‥誰?)
逆光でよく顔が見えない。
陰は私に近付いてくる。
「いきなりなんやけど、ねーちゃん俺のモデルになってくれへん?」
(もでる‥‥)
その言葉を聞いたときに、真っ先に頭に浮かんだのはヌードだった。
ただでさえ落ち込んでいるのに、これ以上何かあったら身が持たない。
なんとなく危機感を感じて、無視して通りすぎようとする。
「ちょお、待ちいや!」
声の主は、いきなり私の腕を掴んだ。
「なっ!!」
いきなり掴まれ、腕を振りほどこうとした時に、顔を見ると、見覚えのある顔だった。
(思い出せない‥‥)
「どこかで‥‥?」
そう言いかけると彼は、にっと笑った。人なつっこそうな笑顔だ。
「俺は、柚木光弥。あんたは?」
「風間‥‥華純‥‥」
(しまった!!)
人なっつこそうな笑顔と自己紹介につられて、つい名前を名乗ってしまった。
(知らない人なのに‥‥私って馬鹿だ‥‥)
「華純か、よろしゅう」
うっかり名乗ってしまったことを責めている間、光弥はすっかり和んでいた。
ぐいっと手を引っぱられ握られる。
何だかわけがわからず返事をしてしまう。
「よろしく‥‥」
「交渉成立やなっ!」
「は!?」
あっけに取られた私に対し彼は満面の笑みを浮かべていた。
それが光弥との偶然の出会いだった。
※
光弥と出会って半年が過ぎた。
あとあとわかったことなのだけれど、光弥は私と同じ大学の一つ年上の先輩だったのだ。
だからどこかで見た顔だったのだ。学部が違うので、滅多に会うことはないけれど。
結局、私はモデルを引き受けた。理由は、ヌードではなくファッションモデルだったからだ。
そうして今日も彼の家で、体の寸法を測っている。
「肩が‥‥ふむふむ‥‥」
光弥は寸法をノートに書き取る。
「なぁ、華純は最近どうなん? 元カレのことは。平気か?」
いきなりの質問である。
「平気だよ。誰かさんのお陰でね」
元彼と別れてから光弥と仲良くなるにつれて、彼は私がくじけそうになるといつも励まして、支えてくれた。
そんな彼は短い期間でも、私にとってとても大切な存在になっていた。
光弥と出会っていなかったら、私は立ち直れず今だに彼を思っていただろう。
「なら、ええんや。‥‥しっかし、まぁほんまにびっくりしたわぁ~、華純が不倫しとったなんてなぁ」
正確に言えば元彼からすれば“浮気”で、ただ単に私だけが“本気”になってしまった恋だった。
彼には、ちゃんと家庭があったのだ。
仕方ないこと‥‥だからすぐに別れを承知した。
「もう、いいじゃんかぁ~。寸法早く測ってよ」
寸法を正確に測るために、薄手で体にぴったりと吸い付くような服を着ている。少し恥ずかしいので早く作業を終らせて脱ぎたかったのと、完全にふっきれている訳じゃないので、あまり元彼の話はしていたくなかった。
「んで、今は好きな奴おるんか?」
そんな質問にどきっと胸が飛び跳ねた。どきどきと鼓動が早くなる。
好きな人ならいる。それは『あなた』なんてことはいえないし、元彼と別れて、つい最近まで落ち込んでたくせに、変わり身早いみたいに思われたくなかった。
「なんで?」
なるべく平静を装って、声に出したけれど、内心は冷汗ものだった。
「いや、別に訳はないんよ」
あっさりとした彼の返答に、安心して胸を撫で下ろす。
けれどそんなのも束の間で、彼の手が私の胸の近くに降りてくると、また鼓動が早くなる。
(いつものように、彼は測っているだけなのに‥‥)
いつもと違うのは私。
彼を意識している。
彼の吐息、彼の目線、彼の動き‥‥熱。
気が付くと、乳首が軽く勃っていた。
(やだ‥‥なんでっ‥‥)
考えれば考えるほど意識してしまい次第に体が敏感になっていく。
そんなことを知ってか知らずか、彼は、ジャーでバストを測ろうとしていた。
メジャーの紐が私の胸に触れる。
触れたところから、ぞわっとした痺れが走る。
「ぁっ」
声が出てしまった。
彼の手が止まり、メジャーを測っている光弥の瞳が私の顔を見る。
「なんや‥‥感じたんか‥‥?」
今までに聞いたことの無いような艶っぽい声で、光弥は私に聞いた。
恥ずかしくてうつ向いたままでいる私をじっと見ている。
「そんな顔されたら、我慢できなくなってまうわ‥‥」
(えっ?)
その言葉に驚いて、光弥の顔を見た瞬間に、磁石のS極とN極が引かれ合うみたいに唇が吸いついた。
さっと、花びらがかすめるようなキス。
「華純‥‥好きや‥‥俺お前のこと、むっちゃ好きやっ‥‥」
普段見ることのできない彼がそこにいた。
照れくさそうに笑い、私へ向ける視線は、とても甘く全身に絡み付いてくる。
それだけで、痺れた。
目の前の彼を抱き締める。
「私も‥‥好き」
本心だった。小さな一言だったけれど、その言葉を言うと、彼は私の背中に手を回し、ぎゅうっっと抱き締め返した。
「‥‥く‥‥苦しいよぉ‥‥」
「あっ‥‥ごめんっ」
彼は、ぱっと体を引き離したけれど、すぐにまた引っ付いた。
今度は優しく硝子細工を包み込むように抱き締められる。
「光弥‥‥」
「もう、はなさへん‥‥」
少し体を離した彼の顔が私に近付いてきた。
(キスされる‥‥)
私は瞼を閉じ、キスを待つ。
「ちゅう欲しいんか?」
目を開けて彼を見ると笑ていて、まるで悪戯っ子のようだった。
おでこに、こつっと彼の額が当たる。少しひんやりとしていて気持ちがいい。
「ん‥‥」
自分のはやとちりに恥ずかしくなったけれど、彼の体温を直に感じたくて素直に頷いた。
「次、ちゅうしたら我慢できんようになってまうかもしれへん‥‥。それでもええか?」
おでこをくっつけたまま私は彼の目から瞳をそらさないで、返事として再び瞼を閉じた。
光弥が唇を重ねてきた。
もう私たちに言葉はいらなかった、暗黙の了解。
彼の舌が私の唇に割って入ってくる。その舌を口内へ受け入れると彼の温かさが伝わってきて、心地が良い。
「ん‥‥ぅっ」
光弥の舌の動きが次第に激しくなっていく。
私も彼に合わせて舌を動かす。
二つの舌は溶け合うように絡み合いお互いを感じあった。
「んっん‥‥ぅん」
唾が、唇の隙間から溢れ出そうになった。
くちゅくちゅと淫らな音がする。
(おかしくなりそう‥‥)
頭の芯が痺れてくるくらいになると、彼は無理矢理、唇を引き離した。
「っ‥‥華純‥‥俺、やっぱ我慢できへん‥‥。えっち‥‥せえへん?」
光弥の荒々しい吐息が私の首筋にかかると、私の中からとろりと何かが溶け出して、下着を濡らした。
(やだ‥‥私どうしてこんなに感じてるの?)
久しぶりの快感を目の前に体が震える。
「私も我慢できないよ‥‥」
「ほんまに? 震えとるみたいやけど‥‥」
心配そうに私を覗き込んだ光弥の瞳は、どこまでも優しい。
「大丈夫‥‥ちょっと緊張してるだけ‥‥」
私は彼から離れて、服を脱ぎ始めた。
「華純‥‥?」
光弥がじっと私を見つめているのがわかる。正確に言うと私の体だけれど。
私はというと、彼に見られているだけで体が熱り、乳首がきゅぅっと勃っていく。
ブラとショーツだけになって、彼へ近付き目の前に立つ。
「‥‥抱いて‥‥」
そう言うと光弥は私を抱き締めた。
「言われなくても抱いたる」
耳元で囁かれ、彼は私の腰に手を回す。
肌を直接触れられ、びくっと体が跳ねた。
「よっと!」
彼の声と同時に足にも手がそえられて、体が宙に舞う。
「あっ! お‥‥重いからおろしてっ」
焦る私に彼は、けらけら笑った。
「なにいうてんねん。重いんは誰かておなじや。ようは、抱く奴の体力の問題で、俺にとったら華純は軽い部類やでっ。体力に自信あんねん」
(そういう問題?)
少し疑問はあったけれど、彼の言葉で気が楽になり甘えることにした。
「落とさないでね?」
彼の首にしがみつくと、胸が彼の体に密着する。
「そんなくっつくと、びっくりして落としそうになるわっ。あ、でももう到着やなぁ」
彼の視線をたどると、ベットにたどりついた。
「はい。到着~」
彼は私をベットの上に優しく乗せると、自分の服を脱ぎ出した。
「もう、ジーンズがぱんぱんやったから辛かったわ。ほんまに」
上下の服をぱぱっと脱いだ今の彼はまさしく“パンツ一丁”。
「光弥の‥‥すごく勃起してるね」
彼のトランクスは普通に着たときの形ではなく、前の部分がぐっと盛り上がった形になっていた。
「せやろ? 華純に入れたくてしゃーないねん‥‥」
ぎしっとベットが沈み、彼は私にのしかかってくる。
「かわええな‥‥」
私の胸をまじまじと見ながら、背中に手を回しブラのホックをはずす。
すると、ぽろりと胸が溢れ出した。
「ぁんっ」
乳首がブラに擦れて感じてしまう。
「邪魔なもんどけような」
ブラをとられて私の胸が露になった。
余り大きくないけど色と形は良い胸。薄紅色のお椀型、パイズリできるくらいはある。
「さくらんぼみたいやな‥‥」
「ひぁっ!」
彼の顔がいきなり胸に降りてきて、ぺろりと乳首を舐めらる。
すぅっとした爽やかな感覚が乳首に残って消えた。
光弥は乳房を揉みながら、乳首を赤ん坊のように吸っている。
「もっと、舐めるで‥‥」
光弥は私の乳首を舐めたり吸ったりを繰り返しながら感触を楽しんでいる。今度は彼が子供のように見えた。
「‥‥っねぇ、なんっか‥‥恥ずかしいよぉ‥‥」
「っ‥‥なんで?」
彼の愛撫は優しくて、くすぐったさと甘さが調度よく刺激してくるような感じだった。
今までのセックスとは違っていた。
今までは快楽を求めるようなセックスで、心から相手を求めるようなセックスではなかった。
今は互いに思いが通じあっているから、こんなに優しくて温かいんだ‥‥。
(こんなのはじめて‥‥)
だから、光弥とのセックスは私にとってとても新鮮だった。
「光弥っ‥‥ぁあっ」
「もっと声聞かせて‥‥」
乳首への愛撫は変わらずに、もう片方の手がするすると下に降りてくる。
太股を撫でられ、内股へ指がなぞった。
「はっ‥‥あぁんっ」
「あぁ‥‥っめっちゃ、やらかいで‥‥股、最高っ」
彼は私の胸から顔をあげ足元にいき、股を両手で撫でたり揉んだりしている。
「‥‥くすぐったいっ」
くすぐられているような、マッサージされているような、微妙な感覚に捉われた。
「しゃーないやん。俺、めっちゃ、股フェチなんやから‥‥」
「何それ‥‥初めて聞いっぁあっっ!!」
いきなり、がぷっと光弥に股を噛みつかれた。
その箇所に甘い痛みが広がる。
「あ‥‥はぁっ‥‥光弥ぁ‥‥」
「華純の全部食べちゃいたい‥‥。特に、ここ‥‥」
光弥の指が私のショーツの湿った部分に触れる。
すると、そこからまた、じわりと快感が溢れてショーツを濡らした。
「はぁっあ‥‥」
「パンツ、濡れてきとる‥‥。脱がすで?」
今の彼は、私の答えがイエスでもノーでも脱がせるような雰囲気があった。
案の定、私の返事を待たずにショーツを脱がしにかかる。ベットとの摩擦で丸まりながら、ショーツは床に落ちた。
「あっ」
「初めましてやな」
ほどよく湿り、絡み合っている茂みを光弥が見ている。
ただ見ているだけなのだ。
「そんな、じっと見ないで‥‥」
「ちゃんと見いひんかったら、どこに入れていいかわからんし、俺ら繋がれへんやろ?」
真剣な口調で彼は言ったものの、顔はにやついている。
(私のようすを見て愉しんでいるんだ‥‥)
そう思ったら、なぜかもっと見て欲しいような、見て欲しくないような、曖昧で、じらされている感じがした。
「いぢわるっ‥‥」
ぼそりと愚痴をもらす。
「なにがいぢわるなん?」
「だって‥‥じらされてるみたい‥‥」
「みたいやなくて、じらしてんねん‥‥」
光弥は私の茂みにふぅっと息を吹きかけた。
「はぁっ」
茂みが少し揺れ、クリトリスが微妙な振動で感じてしまう。
「ふぅ‥‥もっと足開き‥‥」
彼の手が股に触れ、左右に開脚される。
「ぁあっ‥‥」
私はもう彼のいいようになってしまっていた。
「ぷりぷりして、かわいいクリちゃんよう見えるで‥‥おいしそうやなぁ‥‥」
「そんな、おいしそうって‥‥」
自分のものをじっくりと見たことはないけど、おいしそうなんて言うような代物ではないと思う。
それに光弥は、私が今まで言われたことのないような発言をする。
たとえ、本人に自覚がなくても私には、光弥の一言一言に痺れてしまう。
「んっ!!」
いきなり光弥が、クリトリスを舐めだした。
舌を柔らかく使い、クリトリスに覆い被さるようなかたちになる。
それから上下に舌を動かし始めた。
「やぁっ、あっあっあぁっ」
私の陰唇からは、とめどなく淫らな液が溢れだす。
「汁‥‥出てきた‥‥どんどん出てくる‥‥」
じゅるじゅると、私の愛液を光弥は吸う。
「あっ‥‥はぁっ‥‥」
彼の動きが急に止まり、彼がかばっと起き上がる。
「あぁーっもぉ、だめやっ!!」
「っ‥‥なにが‥‥だめなの?」
私も驚いて起き上がり、光弥を見た。
「もっと、気持よくしてやりたかったんやけど‥‥。‥‥入れるで?」
そういって、トランクスを脱ぎ始めた。
すると徐々に彼のペニスが姿を現していく。
(アレが私に‥‥)
見た感じでは、とにかく長い印象を受ける。
それは、いきおいよく真上に延びているせいだろうか。
「あかん‥‥ゴムつけなっ」
慌てて彼は背後にある棚を調べ始めた。
その後ろ姿が、なんだか可愛らしく見える。
「あっ、あった! よかったぁ~‥‥」
私の目の前にゴムを装着し終えた彼が立った。
「さっき、なに笑うてたん?」
私にのしかかりながら、彼が聞いてきた。
「ん? 光弥のおしりがキュートだなぁって、笑ってたの」
のしかかる彼を受け止め、彼の背中へ腕を回すと乳首と乳首が触れ合った。
「あんっ」
「‥‥なんやそれ? キュートなんは、お前やろ‥‥」
彼は下からペニスを私の陰唇へ擦りつけてくる。
「んっ‥‥ぁあっ光弥‥‥」
「ほらな、キュートな喘ぎ声やろ‥‥もっといくで?」
その言葉を言い終わるのと同時に、ぐっと、鋭く貫かれる。
「ああぁっ!!」
太さは、そんなに苦しいほどではないけれど思った通り、長いので奥まで入る。
「うぁっ‥‥ごっつ熱でっ、華純んなか‥‥」
光弥はゆっくりとペニスの出し入れを始めた。
「ゃんっ、光弥っ、きもちいよぅっ‥‥」
ぢゅぼっぢゅぼっとリズムよく彼が腰を動かす。彼の二つのたまは遅れて私の秘部に当たる。
その感覚が気持ち良い。
「あぁっはぁっ」
「‥‥華純のっ締め付けがぁっ‥‥ええでっ」
彼は私にくちづけした。
「んんっふぅっ‥‥」
唇を放すとつぅ‥‥と頬を唾がつたうのがわかった。
べろりと彼の舌が唾をすくう。
「ぁんっ」
「っ‥‥上から下からっ洪水やなっっ」
何度も何度も激しく下から突かれて、頭の中がだんだん快感へ支配されていく。
「光弥っ!もっとぉっ‥‥欲しいよ!」
彼に合わせて私もできる限り腰を振る。
「あぁっ! もっとやっっ」
光弥のペニスがぐっと硬くなり、私の子宮までをも犯していく感じがする。
「あっあっ気持ちいよぉっ!!」
背中に手を回されて、持ち上げられ、彼の胸板と私の胸が引き合っては、ぶつかる。
「すっげぇっ‥‥華純のっ胸がぁ‥‥」
荒々しい息混じりに光弥が言った。
今、私の胸は、あらゆるかたちとなり彼を刺激しているのだろう。
彼の胸板にぶつかると、私の胸は地面にたたき付けられたパン生地のように変形していた。
「光弥っ!!おねがぃ‥‥私だけ見てえっあぁっ」
体ももちろん見て欲しいけれど一番は目を見て欲しい。
瞳で、彼を愛したい。
体だけじゃなくて、心からにじみ出るものを感じて欲しい。
「華純だけやっ!!」
光弥が私の目を見つめる。どんなに激しく動いても、そらすことはできない。
「ぁあんっ! だめっっイッちゃうぅ!!」
「くぁっ‥‥華純っ俺もイキそぉっ」
彼のペニスを放すまいと、私の膣は、最高に締まっていく。
絶頂に達する瞬間は何も考えられなくなり、全神経が快感という波に支配されついく。
「光弥っ光弥っああ‥‥イクよぅっ、ああぁんっ!!」
「あぁっ‥‥出るっ俺もイクっっ!!」
私の膣はびくびくと痙攣し光弥のペニスから放たれた精液を吸いとる。
ゴム越しなのが少し切ないけれど、達した時、二人がヒトツになれたのように感じた。
「華純っ‥‥」
柔らかく微笑んだ光弥は、頬にくちづけをくれると、どさっと荒々しく息を乱し、私に倒れてきた。
私も、肩で息をしながら彼を受け止め抱き締めた。
「光弥‥‥」
光弥のペニスが萎んでいくのを膣で感じて切ない想いをしていると、急に鼻がむずむずしてきた。
「ぁっ‥‥くしゅんっ!!」
「わわっ、これ以上締め付けんといてっ」
私がくしゃみをしたら、彼は慌てて膣内からペニスを抜き取った。
「ぁんっ‥‥」
彼は私の上からごろりと横へ移動した。
暫く抱き合い、軽く触れ合うだけのキスをする。
「‥‥今日は、とりあえずここまでや‥‥。これ以上、お前ん中にいたら、また大きくなってまうしな」
“とりあえず”と言うことは、今度するときはどうなるのだろう。
ふとそんなことが頭をよぎったけれど、今は彼が隣で抱き締めてくれるだけで、セックスの何倍も幸福を感じられるから良しとしよう。
“とりあえず”、私と光弥は、歩き始めたばかり、ゆっくり焦らず愛を育めばいいんだ。
これから二人で過ごす時間は、たっぷりあるんだから――。