2.
――にぶちん二人はほっといて、ここからは作者が話しを進行することにしよう。
次の日、体育館の中はどよめきの声で溢れた。
「うっそぉ‥‥」
「まじかよ? 信じらんねー。」
男子が休憩してる間、女子がオールコートでゲームを始めた。先の言葉達は、そのゲームを見ての言葉である。
そのゲームは、いわば一軍対二軍である。一軍に入る位だから、皆相当上手い選手ばかりだった。特に、身長163?pの速水と、身長156?pの麻里のコンビネーションは抜群だ。自分より背の高いセンターを軽くあしらい、軽々とシュートを決める速水に警戒し、ディフェンスが寄ったところで麻里にパスを回し、3Pシュートで点を奪うというのがこのチームの最も成功率が高いオフェンスパターンだった。
しかし、今日の速水はどこか違っていた。普段なら取れるパスも、キャッチミスを起こして何度も二軍ボールになった。ノーマークのシュートも落とすし、あげくの果てには敵にパスを出したりと、信じられないプレーを連発していた。それは男子だけでなく、コート上で一緒にプレーしている女子でさえ驚きを隠せない様子だった。
ゲームが終了し、一軍は二軍に6対14という得点差で惨敗した。普段とは全く逆の得点差であった。
「ちょっと速水! どうしちゃったのよ?」と、麻里。
「具合、悪いの?」と、ガードの富岡菜々子。
「‥‥ごめん‥‥。別に具合が悪いわけじゃないんだ。次は頑張るから‥‥。」
速水はそういうと、タオルを持って体育館から出て行った。
(集中しなくちゃいけないのに‥‥)
水道場で顔を洗いながら、速水が呟く。試合を二週間後に控えている(女子の試合は男子より早くに行われる)と言うのに、この有り様だ。
(佐野に言われたことが頭から離れないよ‥‥)
今日はろくに智哉と話しをしていない。というよりは、一方的に速水が智哉を避けている。智哉は昨日の失言をきちんと謝りたいと思っているのだが、速水がそれをさせないのだ。
(いないってはぐらかしちゃえば良かったのに‥‥)
少しひねくれているが、根は正直な性格の彼女がそんなことを言えるはずがない。
はぁ‥‥と溜息を付く速水の所へ、
「速水せんぱーい!!」と、マネージャーの小川胡桃が、白い紙を握り締めながら、慌ただしくやってきた。
「先輩! 試合の対戦相手が決まったみたいですぅ!」
「まじで? どこと?」
「えっとですね‥‥東南高校です!」
「東南‥‥」
東南高校はかなりの強豪チームだ。平均身長も高めで、何よりディフェンスに力を入れている。どのスポーツでもそうだが、守備の良いチームは攻めずらい。今まで三回試合をして、二勝一敗という戦績を残してはいるが、どれも苦戦を強いられた試合だった。集中力が勝敗を左右するような試合になるだろう。油断すれば、必ず負ける。
(しっかりしなくちゃ‥‥)
速水と胡桃は、体育館の中に戻っていった。
胡桃が持って来たトーナメント表に、一同は戸惑いの様子を見せた。
「最初が東南高校だとはね。」と、麻里は難しい顔をし、
「きっついなぁ。」と、菜々子は困ったような顔をした。
「相手はディフェンスが強い。こっちが取れるところで点を取っとかないと負けるから、明日からシュート練を少し増やすよ。」と、速水が言う。
「はい!」と、元気の良い声が体育館に響いた。
「じゃあ今日の練習は終わりにします。ストレッチ!」
「はい!」
智哉は、男子のコートからその様子を眺めていた。
今日速水の調子がおかしいのは、おそらく昨日自分が言ったことのせいだろう。しかし、目すら合わせてくれない速水に対して、智哉は何もできないでいた。
速水は焦っていた。今日のプレーでは、東南高校に勝てる訳がない。集中しようにも、昨日のことが頭をよぎり、気が散ってしまう。なんとかしなければ、周りにも迷惑をかけ続けることになる。
(‥‥今日は練習やめとこう。はかどる気がしないわ。)
心配する麻里を部室から追い出し、速水はジャージを脱いだ。
「早生さんと、なんかあったのか?」
練習後、誰もいなくなった部室で、スポーツドリンクを飲みながら、川口が智哉に聞いた。
「な、なんで分かるんだよ?」
しまった、と言った後で思ったが、川口は構わず話しを続けた。
「だってさ、いつもなら佐野が早生さんに怒鳴られてから練習開始って感じなのに、今日は早生さんこっちを見ようともしねーんだもん。逆にお前は早生さんのことばっかり見てるし。それで何度もパスミスするしさぁ。」
「‥‥。」
どうやら、練習に身が入らないのは、智哉も一緒らしい。
「頼むよキャプテン。いくら対戦相手が弱小チームだからって、お前がそんなんじゃ負けるだろ!」
「分かってるよ。それは悪かったと思ってる。」
智哉も、スポーツドリンクを口に含んだ。
「それとだな、早生さんのこと、好きならちゃんと伝えろよ。」
「ブッ!‥‥ゴホッゴホッ! おまっ‥‥! な、何言ってんだよ!」
危うく口に含んだ飲み物を吐き出しそうになる智哉を余所に、川口は話しを続けた。
「お前の態度見てりゃわかるっつーの。俺はお前の親友だぜ?」
「‥‥。」
「まぁそこは佐野の自由だから。言いたいと思ったら、言えばいいしな。」
じゃあな、というと、川口は立ち上がり、部室を去って行った。
(俺‥‥早生のこと‥‥?)
川口に言われて、智哉は始めて気が付いた。あの噂を聞いた後、早生のことが気になって仕方ない自分がいた。笑顔を可愛いと思った自分がいた。
ドキドキしたのは、早生が好きだから‥‥?
(‥‥やっぱり、謝んなきゃ‥‥)
智哉は体育館まで走った。しかし、体育館の電気は点いていない。
やはり早生は帰ったのだろうか。
智哉は部室の戸締まりをし、自転車に跨がると猛然と自転車を漕ぎ出した。
※
―カチャッ‥‥キイィ‥‥―
「ただいまぁ。」
家の鍵を開け、帰宅の挨拶をするが、返事がない。
(そうだ。今日はお母さんとお父さん、お婆ちゃんのところに行ってるんだ‥‥。)
速水の父方の祖母は、隣の県に一人で住んでいた。祖母は一年前に病気を患った。父と母が心配して、一緒に住もうと申し出たのを、祖父との思い出の詰まった家から離れたくないと断り、しかし、祖母の家で暮らすとなると、父の通勤が大変になり、速水の学校も変わってしまうとの理由で、週に一回、父と母の二人で様子見ということで、泊まりに行くことになっているのだ。ちょうど今日がその日だったのだ。
(仕方ないか。ご飯でも作ろうっと。)
Tシャツとスカートに着替え、台所に行こうとした時、ピンポーンと来客を告げるチャイムが鳴った。
「はーい? どちらさまでしょうか?」
ガチャッとドアを開けると、そこには智哉が立っていた。
「‥‥!!」
速水は驚いて目を真ん丸く見開いている。
「ちょっと話しがあるんだけど‥‥。いいかな?」
「‥‥あ‥‥うん。あの、じゃあ‥‥どうぞ。」
何が何だか解らないと言った様子で、速水は落ち着かない。とりあえず智哉を居間に通した。
智哉と速水はお互いに向き合うように座っている。お互い、黙ったまま俯いて、速水が入れたお茶を見つめている。
そんな沈黙を破ったのは、智哉の言葉だった。
「あの‥‥さ、昨日のこと‥‥なんだけど‥‥」
「‥‥。」
「ごめん。調子乗って変なこと聞いちゃって‥‥。」
智哉からの謝罪の言葉。速水は鼓動が速くなるのを感じた。
智哉は速水の隣に座り、話しを続けた。
「悪気はなかったんだ。何て言うか、興味本位で‥‥。」
「‥‥らないで。」
「え?」
「‥‥私の気持ちも知らないでって言ったのよ! 私‥‥私‥‥佐野のことが好きなんだもん!」
その言葉を口にした瞬間、速水の目から涙が零れた。
「言える訳‥‥ないじゃん。佐野の好みじゃ、ない‥‥だろうし‥‥。それに‥‥こんなに男っぽいし‥‥。普通に、喋りたいのに‥‥憎まれ口ばっかたたいちゃうし‥‥。私なんか‥‥」
速水の言葉を遮るように、智哉は速水を抱き締めた。華奢な速水の体を、壊れないように、しかし、力強く‥‥。
「え? さ、佐野?」
「ごめん‥‥お願いだから泣かないで。俺‥‥早生のこと、好きなんだ。」
「‥‥っ! うそ‥‥」
「うそじゃねーよ。好きなんだ。気付いたのは、さっきだけど‥‥この気持ちにうそはねーよ。」
「佐野‥‥。うぅっ‥‥。」
速水は智哉に強く抱き着いた。速水の涙が智哉の制服に染み込んでいった。
「私‥‥昨日のことが、頭から離れなくて‥‥佐野のこと考えると、胸が苦しいの。試合近いのに‥‥練習に集中出来なくて‥‥み、皆にも迷惑かけちゃったし、どうしたらいいか‥‥わかんなくて‥‥。」
「ごめん、早生。俺のせいだよな。お前の気持ち、考えずに‥‥。でも試合のことは、お前一人が抱え込むことじゃないだろ? 少し肩の力抜けよ。仲間の為に自分が出来ることをすればそれでいい。全部をやろうとするなよ。な?」
「佐野‥‥うぅっ‥‥ひっく‥‥!」
智哉はしばらく速水の頭を撫で、速水が泣き止むのを待った。
「ずっと‥‥ずっと好きだっよ‥‥佐野‥‥。」
「俺も、好きだよ‥‥速水。」
「え? は‥‥?」
「‥‥なんだよ。お前の名前は速水だろ?」
「うん、なんか‥‥嬉しいけど‥‥恥ずかしい‥‥。」
顔を真っ赤にしてそう呟く速水。こんなに女らしい速水を見るのは初めてだった。そんな速水の頬に、智哉はそっと手を添えると、優しく唇を奪った。
「んっ!」
緊張しているからだろうか。二人とも、しばらくそのまま動けずにいた。
カチッ‥カチッ‥カチッ‥と、部屋には時計の音だけが響いていた。
「佐野‥‥。」
生まれて初めての口付け、目の前の愛しい少女の潤んだ瞳、真っ赤な頬。その全てが智哉を刺激する。温和な性格と言えども智哉とて健全な男子だ。智哉は欲情し、押し倒したい衝動にかられた。
しかし、速水への愛情が、その行為を押し止めた。
「佐野‥‥好き‥‥。」
「俺も好きだよ‥‥。なぁ、俺のこと、名前で呼んでくんないの?」
「え!?」
「俺のこと、智哉って呼んでよ。」
「あ‥‥うぅ‥‥と、智哉?」
恥ずかしそうに上目使いで智哉を見つめる速水を、智哉は再び抱き締めた。
「速水かわいいなぁ☆」
「やだぁ! 恥ずかしいよ‥‥んぅっ‥‥!」
再び繰り返されるキス。今度は唇を優しくついばむように、何度も何度も絡み合った。
「ん‥‥ちゅぅ‥‥智哉‥‥智哉‥‥。」
「速水‥‥。」
「んふっ‥‥?‥‥あっきゃあ!!」
ふいに速水が唇を離し、声をあげる。
その視線は智哉の下半身にあった。
「‥‥智哉‥‥こ、これって‥‥。」
「ご、ごめん! なんか‥‥速水とキスしてたら‥‥その‥‥勃っちゃった‥‥。」
「‥‥。」
「‥‥。」
依然として速水の視線は智哉の下半身から離れない。男性器が自己主張しているところを見るのは初めてだったのだ。
「‥‥ねえ、智哉。」
「な、何?」
「触ってみても‥‥良い?」
「え!?」
智哉の返事を待たずに、速水は智哉のそれを、ズボンの上から触っていた。
「うわっ! 速水!」
「‥‥いや?」
そう言いながら、速水は上下に摩ってきた。
「うあっ‥‥そうじゃなくて‥‥。それ以上されたら、我慢できなくなる‥‥。」
「我慢?」
好きな少女に触られて、興奮しない男はそうはいないだろう。
「その‥‥お前を抱きたくなる‥‥ってか既にもうそう思ってる。」
智哉は真っ赤になって俯いていた。
しかし速水は、思いがけないことを口にした。
「‥‥いいよ‥‥。智哉‥‥抱いて?」
「‥‥お前意味分かって言ってる? 抱き締めるって意味じゃないぞ?」
「わ、分かってるよ!‥‥え、エッチ‥‥するって意味、でしょ?」
「速水‥‥。」
「ねぇ智哉‥‥。私を智哉のものにして‥‥。身体全部で私を好きだって、教えてよ‥‥。」
速水の顔は、真剣そのものだった。
「いいのか? 速水。」
「うん。‥‥抱いて‥‥。」
その言葉をかわきりに、二人は再び唇を重ねる。激しく、舌が絡み合うキス‥‥。
―くちゅ‥‥ぴちゃ‥‥―
室内には粘性の音が響いていた。
智哉は速水のTシャツの上から胸を触った。掌全体に、温かく、柔らかい感触が広がった。
速水の胸は、大きいとは言えないが、部活で鍛えているからか、ハリがあってとても触り心地がよかった。
速水の息が少しあがった。ブラジャーの下では、早くもその存在を主張する突起が芽を出していた。
「んん‥‥。」
「速水? もしかして感じてる?」
「‥‥ばかっ。」
視線をそらし、恥ずかしさを口に出す。こんなにも可愛らしい少女がいつも近くにいたのに、智哉は気付かなかったのだ。
(こんなに可愛かったなんて‥‥。他に知ってる奴、いるのかな?)
智哉の心に湧いた疑問が、智哉の愛撫の手を止めた。
「‥‥? どうしたの?」
愛撫が止まったことと、智哉の険しい顔に、速水が疑問を抱く。
「あの‥‥さ、速水は‥‥今まで何人と付き合った?」
「え? 付き合ったことなんて、ないよ。」
「!」
確かに相当な美人なのでモテるのだけど、告白してきた男子をことごとくフッてきたので、彼氏がいたことは一度もなかった。それでも、ひそかに彼氏がいたことはあるだろうと、智哉は思っていたので、少し驚いた。
「‥‥そっか。」
そして、安堵の表情を見せた。
「ふふっ‥‥やきもち?」
「う、うるせーよ。」
今度は智哉が赤面していた。
「ねぇ。私の部屋に行かない?」
「そうだな。それじゃあ‥‥。」
ヒョイっと智哉が速水を抱き抱えた。いわゆる、お姫様抱っこで。
「え! やぁっ、重いから自分で歩くよ!」
速水は少しじたばたとしたが、智哉に降ろす気がないと悟ると大人しく抱き抱えられた。
「速水は俺のお姫様だからね。」
智哉がそういうと、速水は「随分気が強くて男まさりのお姫様だけどね。」と言って、笑った。
(ああ、きっと俺はこの笑顔にやられたんだ。)
智哉は確信した。普段は『大人っぽくて綺麗』と言われている彼女が見せる笑顔は、まるで幼女の様な愛らしさを持っている。智哉は、こんなに可愛い笑顔を見たことがなかった。
速水に誘導され、速水の部屋に着いた。そして智哉は速水をベッドに優しく寝かせた。
緊張のせいか、制服のボタンを外す手が震えていた。
(やべぇ‥‥こんなの、初めてだ‥‥)
ふと、智哉が速水に視線を移した。彼女もまた、緊張と、少しの不安のため、震えていた。
智哉は上半身裸で、速水の上に覆いかぶさった。
―ギシッ‥‥―
ベッドの軋む音に、ビクッと身体を震わせる速水の頭を、智哉は優しく撫でた。
「俺‥‥今すげー緊張してる。」
「ぷっ!」
「な、なんだよ? なんでそこで笑うんだよ?」
「だって、真顔で言うんだもん。‥‥私もね、ドキドキしてる。‥‥初めてだから‥‥。」
「俺も‥‥。優しくするよ。」
「うん‥‥。」
その言葉で、速水の心の中にあった小さな不安は消えた。同時に、智哉への強い愛と信頼が生まれた。
智哉が、速水のTシャツに手をかける。優しく持ち上げ、脱がせると、かわいいピンクのブラジャーに包まれた形の良い胸があらわになった。
「すごい綺麗だ‥‥。」
「やだっ! そんなに見ないで‥‥。」
恥ずかしさのあまり、両手で胸を覆い隠す速水。
「なんで? 綺麗なんだから、隠すことないよ。ちゃんと見せて?」
好きな人の言葉に抵抗することなど出来るはずがない。速水は細い腕をゆっくりと離した。
智哉はブラジャーの上から優しく触れた。
「んっ‥‥はぁ‥‥。」
速水の口からは可愛らしい吐息が漏れた。
先程の愛撫でも思ったが、速水は感度がいいらしい。
ぎこちない手つきでブラジャーのホックを外し、直に触れると、更に甘い吐息が漏れた。
「ふっ‥‥ん‥‥。」
彼女の頬は上気し、ピンク色に染まっている。
智哉は既に硬直し、上を向いて勃っている可愛い速水の胸の突起に舌を這わせた。
―ピチャッ‥‥ちゅうぅ‥‥―
「っ! ふうぅっ!」
突然の口での刺激に、速水は先ほどより大きい吐息を漏らした。
(声‥‥我慢してるんだ。)
「速水‥‥声、我慢しなくていいよ?」
「や‥‥だって‥‥恥ずかしいよ‥‥。」
声を出したいのは山々だが、そうしたら嫌われるのではという考えが、その行動を止めていたのだ。
「‥‥。」
智哉は、先ほどよりも強く速水の胸の突起を吸った。
―‥‥ちゅうぅっ!―
「!!‥‥あぁっ!」
我慢しきれずに速水の口から漏れた喘ぎ声は、普段部活で男子を叱り飛ばす時の声からは想像つかないほど、甘美なものだった。
「すげぇ‥‥かわいいよ。」
自分の腕の中で喘ぐ速水を見つめながら言った。
「あんっ、そんなこと‥‥ない‥‥はぁん!」
「気持ち良い?」
胸への愛撫をしながら、耳元で智哉が囁いた。
「んぁっ‥‥やっ、変な気分‥‥。」
「‥‥止めて欲しい?」
「やだっ! 止めないで‥‥あんっ!」
くにくにと指と舌で速水の小さな突起を摘むようにして刺激する。その動きに合わせるように、速水は喘ぎ、身体を震わす。
智哉の下半身の欲棒も、痛いくらい張り詰めている。
エロ本などの刺激とは比べ物にならない位の官能に、二人は支配されつつあった。
「スカートも脱がすよ。」
少し短めのスカートを速水の腰から引き抜く。速水を覆うものは、ブラジャーとお揃いのピンクのパンティだけになり、綺麗に引き締まった細い身体があらわになった。
「は、恥ずかしいよぉ。」
もじもじとベッドの上で縮こまる速水に、智哉は軽くキスすると、自らの制服のズボンを脱いだ。智哉も、部活で鍛えているだけあって、贅肉の少ない、綺麗な身体をしていた。
「俺もパンツだけになったから、恥ずかしくないだろ?」
「そ、そーゆー問題じゃ‥‥。智哉の、さっきより大きくなってるね。」
「速水がかわいい声出すから‥‥。」
「かわいくないってば‥‥あっはぁっ!」
智哉がパンティ越しに速水の秘口を撫でた。
「ほら、かわいい声。」
「はぁっ‥‥あぁんっあんっ!」
彼女のそこは既に湿っていて、智哉の指が往復する度にくちゅくちゅと淫らな音を出していた。
(うわぁ‥‥もうこんなに‥‥。)
淡いピンクのパンティは、一部だけ濃い目のピンクになっていた。その上透けてしまっているので、もうパンティの役目を果たせない代物になっていた。
智哉は速水の腰を抱き抱え、するりとパンティを抜き取った。速水の秘口とパンティの間には、透明な糸がひいていた。
「やぁ! み、見ないで!」
秘部を隠そうとする速水の手を優しく除けて、そこに顔を近付ける。
それはとても神聖なものに見えた。自慰行為もしたことのない乙女の秘口は、綺麗なピンク色をしており、ぴっちりと閉じたそこからは、呼吸に合わせるようにして透明の蜜が溢れていた。
そしてその上の方には、小さい小豆のような突起が、一生懸命自己主張をしているのだった。
智哉は秘口に口をつけ、溢れ出る蜜を吸った。
―じゅる‥‥じゅうぅ‥‥―
「ああぁっ! 智哉!」
智哉の口が自分の秘部を‥‥。そう思うだけで羞恥心にかられ、益々感じてしまう。
―ぴちゃっ‥‥じゅるっ‥‥ぴちゃぴちゃ‥‥―
「やあぁっ! ああん!」
まるで温泉の源泉のように、次から次へとめどなく蜜が溢れてくる。
智哉は優しく、激しく唇と舌で速水の蜜の味を堪能しながら、今度は自己主張している陰核に触れた。
―くにっ‥‥―
「うあぁっ! そ、そこは‥‥あぁ!」
智哉は顔を紅潮させ、恥じらいながらも喘ぐ速水を虐めてみたい衝動にかられた。
「そこは何? 嫌なの?」
「ひっ! んあぁ!」
「言わなきゃ分かんないよ。どうしたの?」
「やぁ‥‥いじわる‥‥ふぁっ!」
智哉が速水の陰核を弄ぶ度に、速水の身体は快感に震え、更に蜜を垂らす。
「すごい濡れてる‥‥。下に垂れちゃうかもよ?」
「いやぁ! 見ちゃダメぇ‥‥はあぁんっ!」
「気持ちいなら気持ちいって言わなきゃ。」
「あぁ‥‥き、気持ち良いっ‥‥ふぅっ!」
初めての秘部への刺激だというのに、ぴっちりと閉じた秘口からは、夥しい量の愛蜜が滴っている。かなり感度の良い身体なのだろうと思える。
しかし、それでも閉じた秘口が、彼女が処女であることを物語っている。
(‥‥痛いんだろうな‥‥)
これだけの反応を見せる速水と言えども、破瓜の痛みは智哉の計り知れないものだ。
「‥‥智哉?」
少々意地悪が過ぎたかもしれない。速水のおでこに優しく口を寄せると、「ごめんな。」と囁いた。
「優しくするって約束だったよな。」
「智哉‥‥。」
「速水‥‥指、入れるよ。」
人差し指をゆっくりと差し入れる智哉。
にちゅうぅっ‥‥と、淫猥な音を響かせながら、速水の秘口は智哉の指を飲み込んでいったが、中はやはり窮屈で、智哉の指をきつく締め付けていた。
「ふぅっ!‥‥くぅ‥‥。」
眉間に皺をよせ、口からは苦しげな吐息を漏らす速水。
「すげぇきつい‥‥痛い、か?」
「へ‥‥き、だけど‥‥ちょっとくるしぃ‥‥。」
異物が入ったことのない秘口は、指が入るだけでいっぱいいっぱいなのだ。
(やっぱり今日は‥‥)
智哉は速水の身体を気遣い、少しずつ慣らしてからの方がいいのでは、と迷った。
しかし、速水はその気持ちを察し、囁いた。
「あのね‥‥智哉。」
「どうした? やっぱり痛いか?」
「ううん、違うの。‥‥私、平気だよ?」
「っ! 速水‥‥。」
「だからお願い‥‥最後までして‥‥言ったでしょ? 私を智哉のものにして、身体全部で私を好きだって、教えてよって‥‥。」
「‥‥痛いぞ、絶対。」
「覚悟してるよ。」
「‥‥もうちょっと待ってろ。」
速水の中に入れたままの指を出し入れし始める智哉。
―‥‥ぐちゅっ‥‥くぷっ‥‥―
「あうっ‥‥んふぅ‥‥。」
しばらく中に入れたまま動かさなかったからか、きつかった秘口がほぐれ、指の動きをスムーズにしていた。
それが速水に、苦しいだけじゃない、甘い感覚も与えている。
―くちゅっくちゃくちゃっ‥‥―
「あぁっ智哉! はぁんっ!」
指の抽送に強弱を付け、浅く深く刺激する。その度に速水の細い身体が跳ね、彼女の淫らな口からは愛蜜が溢れた。
智哉の我慢は限りなく限界に近かった。
智哉の硬い欲棒の先からは、ぬめった先走りが漏れていた。
「速水‥‥俺、もう我慢できねー。いい‥‥かな?」
智哉の言葉に、速水は小さく、「いいよ。」とだけ呟いた。
智哉はぎゅっと速水を抱き締めると、指をゆっくり引き抜き、足を優しく開かせて、入口に自分の欲棒をあてがった。
「いくよ‥‥。」
「ん‥‥。」
―くちゅっ‥‥ずっ‥‥―
亀頭が速水の秘口をゆっくりと押し開き、入っていく。
「んんっ!‥‥っつ‥‥。」
速水が痛みに顔を歪ませる。声に出さなくても、智哉の腕を握る強さで痛みの度合いは判る。
「速水、力抜いて?」
「は‥‥ぁ‥‥うん。」
ふぅっと息を吐いたところで智哉が腰を進める。
―ずず‥‥プツンッ‥‥―
「っ! んあぁっ!」
何かが弾けたような音が速水の身体に響く。同時に赤い液体が滴り、速水に痛みを与えた。
「‥‥大丈夫か? もう少しだからな。」
「はぁ‥‥はぁ‥‥智哉‥‥。」
虚ろな目で智哉を見つめる速水。目の端には涙が溜まっている。
智哉は速水の様子を見ながら、ゆっくりと挿入した。
―くぷっ‥‥ずずっ‥‥ずるっ―
「あっくぅっ!」
速水が荒く呼吸する度に、智哉を締め付け、経験したことのない快楽が智哉を襲う。
「はぁ‥‥速水‥‥入ったよ。すげぇあったかい。」
「うん‥‥。智哉のも、熱いよ。」
涙を浮かべながら、速水が微笑む。
「痛いか?」
「うん、まだ少し‥‥。でも‥‥」
「でも、何?」
もう一度優しく微笑むと、
「これで私、智哉のものだね。」
と静かに言った。
「速水‥‥。」
「すごく嬉しい。私、今すごく幸せだよ。」
「‥‥ばーか。痛いくせに強がんなよ。」
「強がってないよ。もう平気だもん。‥‥平気だから‥‥。」
速水が何を言おうとしてるのか、智哉には聞かなくても分かっている。
「動くよ‥‥。」
「うん‥‥。」
―ずる‥‥にちゅうっ‥‥くぷっ―
ゆっくり、ゆっくり腰を前後に動かす。
智哉が腰を動かして速水を刺激する度、速水の秘口からは、粘膜質で淫らな音が響く。
「んっふぅっ‥‥智哉‥‥ぁっ‥‥」
そして速水の口からは、痛みを我慢する声と共に、少しではあるが甘い響きの交じった喘ぎ声が奏でられていた。
「速水‥‥好きだ‥‥。」
強弱を付けながら、智哉は速水を攻め立てる。
―ぐちゃっくぷぅっ! じゅるっ‥‥―
「はぁん‥‥あんっ‥‥好き、智哉‥‥」
速水が智哉の首に手を回し、快楽を感じ始めていることを告げる嬌声を漏らす。
速水を突き上げながら、今にも飛び出しそうな自分の絶頂の象徴を、なんとか抑えている智哉。
二人はその行為に夢中になっていた。
智哉が奥まで入る度、速水がそれを締め付ける。目がチカチカするような刺激。自慰行為では味わえない、にゅるにゅるとしたその感触。智哉はもう抑えることができなかった。
―じゅぶっぐちゃっぐちゃっ!―
「ああっ! 智哉!」
「速水‥‥俺、もう‥‥」
「あうぅっ! 智哉‥‥はげし‥‥はぁっ!」
智哉が激しく速水を突き上げる。
「ああん! 壊れちゃうぅ! 智哉っ!」
そして次の瞬間、
―ドクンッ! ビュッビュッビュッ‥‥―
「うああっ! 速水っ!!」
智哉は白い液体を、速水のお腹の上に吐き出していた。
「はぁっ‥‥はぁっ‥‥速水‥‥。」
「あぁ‥‥智哉‥‥智哉‥‥。」
ドサリと智哉が速水の上に倒れ込んだ。二人とも、息はまだあがったままだった。
「速水、ごめんな‥‥俺だけ、気持ち良くなっちまった‥‥。」
「そんなこと、ない。その、痛かったけど‥‥」
「?」
「段々、あの‥‥なんていうか‥‥気持ち良くなった、っていうか‥‥。」
もじもじしながら初体験の感想を述べる速水。
「智哉‥‥。」
「ん?」
「次は‥‥もっと気持ち良くなれるかな?」
「俺が気持ち良くしてやる」
「ふふっ。‥‥ねぇ智哉‥‥すごく好きだよ。」
「俺も‥‥大好きだよ。」
なんとも仲睦まじい二人。気持ちが通じ合った二人の、甘い甘い至福のひととき‥‥。
「ところでさ、今度の試合の相手はどこなの?」
「東南高校‥‥。」
「‥‥勝つ自信はいかほどですか、速水部長。」
「もちろん、勝つに決まってんじゃん!」
そう言って笑った速水の顔に、もう焦りや不安は一欠けらもなかった。
やはり速水はこうでなきゃな。
智哉はひそかにそう思うのだった。
――二週間後――
体育館のコート上で、今まさに試合が始まろうとしている。審判が両チームのキャプテンと握手を交わす。
「白、東南高校。黒、南西高校。礼!」
「お願いしまーす!」
センターサークルに入り、ジャンプボールの体制に入る速水。
一瞬、応援に駆け付けてきた男バスの中にいる智哉と目が合った。
にっこりと自信に満ちた笑顔を智哉に送る。
ボールが審判の手から離れ、宙に舞う。
思い切りジャンプした速水の手が、味方へとボールをはたく。
今、速水の笑顔で始まり、速水の笑顔で終わるであろうその試合が始まった。