哀色雨月

女性もえっちな妄想をしてもいいんです。
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アダルトな読み物のお部屋

哀色雨月
2021年07月10日 11時20分
カゲキっch

もう、急に降るんだから‥‥
 雨の音がまとわりつく。私はバイト帰りにコンビニに駆け込んだ。
 いつも買ってる雑誌に見なれた顏。
「高史‥‥」
 そう心でつぶやいた。
 高史のモデル事務所に履歴書を送ったのは私だ。高史の夢を応援してあげたかった。でもそれは私と高史を引き離す原因になった。
 別れてからもう一年か。あの時、まっすぐな目で「別れよ‥‥」って言われて理由すら聞けなかった。
 急ですごくびっくりして、家に帰って実感がわいてきて、メールも番号も全部消して泣いた。
 でもこれだけははずせなかった。2年前の誕生日に貰った、高史の好きな青色の星のピアス。私の左耳にいつも光っている。
 このピアスを見る度思う‥‥あぁ私はたぶんずっと高史の事好きなんだろなって。自分でもこの恋は辛いものなんだろなって感じる。
「おいっ!美佐っ」
「うわっ」
 急に声をかけられびっくりして雑誌を閉じた。
「あっ‥‥高史‥‥」
 嘘みたい‥‥すごい偶然‥‥
「久しぶりだな!何やってんの?」
「雨やどりしてたの‥‥元気?」
「おう元気だぜ! 傘持ってねぇの? 俺、送ってやるよ」
 高史の仕事の話を聞きながらどんどん家が近くなってく。
 この一年でずいぶん忙しくなったって。私はなんでこんな遠い人を好きになっちゃったの?
 だんだん私の足どりは重くなって、とうとう傘から外れてしまう
「何やってんの?しゃーねぇなぁ‥‥」
 高史はふり返って無邪気に笑った。冷たい雨の中で暖かい手が私をひっぱる。
「‥‥なぁ美佐、彼氏いんの?」
 突然そんな事を聞いてきた。
「ん? 高史と別れてからは居ないなぁ‥‥」
「‥‥そっか。こんな事言うのもなんだけど‥‥なんか、うれしい。‥‥俺が忘れらんねぇとか?」
 さっきまでの高史の笑顔がパッと消える。思わず私の顏もマジメになった。
「そうだって言ったらどうするの?」
「俺もそうだし‥‥」
 ドサッ──
 傘の落ちる音が辺りに響く。
 高史は私の肩を抱いて、強引に舌で私の唇を割る。雨音にまじりながら、小さく短く息をした。
 真っ暗な夜に二人だけ。わずかな街灯の光りが二人をほのかに照らしている。雨に濡れた木の葉のむせかえる様な青い匂いがする。
 私の心臓の音が伝わってる? こんなにも好きだよ‥‥。
 雨が激しく降る程に、私の気持ちは切なく高ぶる。
 私の事好きなの?
 違う。久しぶりに私と会って、綺麗な記憶を思い出してるだけ。たぶん今だけ。こんなの長く続かない。
「‥‥っん」
 舌を離しては、また激しく絡ませる。
「ごめん。濡れちまったな‥‥俺んち来いよ」
 高史の胸にうずくまりながら、小さくうなづいた。そこから家まではただドキドキしていた。どうなるかわかってる。部屋に入るなり高史は、自分のシャツを脱ぎながらベッドに座る
「おいで‥‥美佐」
 昔と変わらない私を呼ぶ声。私は彼の膝の間に座った。後ろから抱きしめながら、服の上から胸をさわる。首筋を赤く染め上げ、耳を舐めようと舌を伸ばしてくる。その時私に触れていた高史の体がすっと離れた。
「‥‥どうしたの?」
 高史は言葉に詰まりながら、笑ってこう言った。
「俺があげたピアス‥‥まだしてたんだって思って」
「好きなんだもん」
 そう言った瞬間、無意識に涙がこぼれた。
「今まで寂しくさせた分、愛してやる」
 親指で涙をふいてキスしてくれる。私、好きでいてよかったんだ。今夜だけでもいい。愛してほしい。また私から離れるんでしょ?仕方ないけどさ‥‥。
 肌にはりついたシャツのボタンを一つずつ外しながら、脱がしていく。
 高史は優しい。でも私には、あの時何故別れようって言われたのかはっきりわからない。一年前の私が今の私をみて蔑んだ。今夜だけでもいいなんて、バカな女なのかもしれない。
 ブラのホックがはずれて、ストラップが私の腕をスルっと通り抜けてゆく。私は久しぶりで恥ずかしくなって、頭の中の考え事を中断して我に返った。
「恥ずかしい‥‥」
 思わず口に出してしまった。
「可愛い‥‥美佐、昔はそういう事言わなかったのにな」
「だって‥‥あっ!」
 唇を胸に押し付けてくる。舌がチロチロと私の乳首を刺激して、私に考えるスキを与えない。気持ちいいという言葉だけが頭の中に広がって、自然に息が荒らくなって苦しくなる。
「やっ‥‥やめ‥‥」
 気持ちとはまったく違う言葉を口にする。
「‥‥嘘つき。もっとしてほしいくせに」
 ニコッと笑う顏にドキッとした。心を見透かされてるみたい。
「どこが感じやすいかくらい覚えてるよ‥‥首筋、耳、右胸と、あと太ももの内側とかな」
 色っぽい目つきに身震いがする。言った順番に感じる所を舌でなぞる。スカートをずらすように太ももに触れた時は、体がピクッとはねた。
「懐かしい反応だな」
 高史がいたずらっぽく微笑む。
 高史のこういう所がすごく好き。いつもはかっこいいって思うのに、笑うとすごく可愛いくて、私の心をしめつける。
 きゅっと上がった口角を端から端まで見つめる。その綺麗な唇の形を見ていると私から何かしてあげたくなる。柔らかく赤い唇を舌でなぞる。
 向かい合って見つめていたら、私の膝に高史の硬くなったモノがあたった。私ばっかしてもらってちゃダメだ、そう思って高史の足の間に屈み込んだ。
「美佐‥‥」
 彼の細い指が私の髪を撫でる。チャックを開く音がやたら大きく聞こえる。トランクスを下げて、右手だけで握って舌をとがらせながら、裏筋をつっ‥‥と舐めた。
 この時私は高史の目をまっすぐ見つめる。これは昔からの私のクセみたいなものだ。初めてこれをした時、「美佐すっげぇ可愛い」ってほめられてから、意識的にするようになった。体が今もそれを記憶している
「いいよ、美佐‥‥っ」
 私の頭を撫でる手に力が入る。
 熱くなって脈を打つそれを先の方だけくわえながら、舌でイジる。
「もっと‥‥ちゃんとくわ‥‥えて‥‥」
 指で根本をギュッとしめ、喉の奥にあたるまでくわえた。そして強く吸いつくと激しく頭を動かす。
「っは‥‥なぁ‥‥も、入れていい?」
 それを聞いてパッとやめる
「美佐もこんな濡れてんもんな‥‥欲しいんだろ?」
 パンツの中に手を入れ、わざとクチュクチュと触る。
「っあ‥‥あぁ!入れ‥‥てっ‥‥」
 スカートを脱がし、汗ばむ腰にはりついたパンツを取る。足を大きく開かせ、高史の熱いモノが入ってきた。動く度にいやらしい音をたて、私の愛液をぐちゃぐちゃとかき出すように突いてくる。
「ふぅん‥‥っはあぁ‥‥あっ!」
 高史の腰が激しく動くと、ベッドはギッギッとリズム良くきしむ。彼の金に近い茶髪から汗がしたたり、私の胸を熱く濡らした。すごいいい匂い‥‥高史のコロン。
「あぁっ!あぁん!あっ‥‥んっ」
 頭がジンジンする程感じてる。
 快感に追いつめられながらも、そっと目をあけてみる。
 その高史の感じてる顔がたまらなく好き。
「美佐っ‥‥俺、もうイキそっ‥‥」
 更に速くなってゆく
「あ‥‥はぁんっ‥‥あっあぁぁ!高史っイクッ‥‥っ‥‥」
 私は目を閉じて息を整えた。私がイッた後に、高史の精液が胸の辺りまで飛ぶ。そして私の横にドサっと倒れる。
 本能と入れ替わり、帰ってくる私の意識──昔なら中に出してくれたじゃん──と変なトコにこだわってみる。芸能人だもんね。だから私と別れたのか。あぁ納得。頭の中で自問自答してみた。
 抱かれた後にこんな事考えてるなんて、私は冷めてるな。
 高史が私の胸を優しく拭いてくれる。今日だけ今日だけ──そう何度も自分にいい聞かせて高史に抱きついた。
 ここにあとどれだけ居られる?
「やべっ‥‥事務所から電話あったわ。お前先寝てていいからな」
 私から離れて小さな声で喋り始めた。
 私はその背中を見ながらいつの間にか、本当に先に寝てしまった。

 まだ薄暗い中、ベッドに手をついて起き上がる。
 手をついた所はまだ暖かかった。目ははっきり開けられないけど、音がちゃんと聞こえた。玄関がバタンって‥‥残響だけが頭を大きく揺さぶる。──わかってた事じゃん。帰れって意味でしょ?
 パッパッと服を着て何気なく耳を触った。ピアスが無いっ!どこ行ったの?あぁどうしよう!
 枕やシーツの上を撫でつけながら探しまくった。──もう無理。私には何も残らないって事か‥‥何も。泣いたって何もならないのに私はなんで泣くの? 喉が焼ける程熱く乾く。
 こんなに探しても見つかんない。私ってば諦め悪い‥‥そんな私が一日だけなんてそんなの無理に決まってるよ。今更思い知らされた弱い自分。
 帰ろ‥‥もうここに居ちゃ私がダメんなるベッドから離れようとした時、またガチャとドアの音が聞こえた。
「あれ?起きたのか?って何泣いてんだよ」
 靴を慌てて脱ぎ、駆け寄って抱きしめてくれる。
「どこ‥‥行ってた‥‥のぉ‥‥」
「朝に食うもん無かったし、お前まだ寝てんだもん。つーか泣くなよ‥‥よしよし」
 私の髪をぐしゃぐしゃとかき乱す。
「これか‥‥ら、また一緒に居ちゃ‥‥ダメ?」
「居ていいよ‥‥てか居ろ‥‥。俺、美佐と別れてからたくさん後悔した。忙しくて会いたい時に会えねぇし。でもお前じゃねぇと‥‥」
 そう言って強く抱き締めてくれた。また始めればいい。昔の時間を埋めるように。
「ったぁ!なんか膝んトコ刺さった!」
「あぁっ!私のピアスっ」
「俺の心配しろっつーの」
 もう哀しい雨音は聞こえない。
 この笑顔とずっと一緒に居られますように。

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