一年目の奇跡

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アダルトな読み物のお部屋

一年目の奇跡
2021年07月11日 13時16分
DUGA
胸熱素人

1.

 その日、英知は寝坊をしていつもより電車を一本遅らせた。春の景色にぼんやりと窓の外を眺めていると、息を切らせて走ってきた女の子が目に入る。ホームに強めの風が吹き、駅の脇に咲いていた藤の花びらがはらはらっと舞うと、ふっと彼女は足を止め、しばらくその薄むらさき色の花房に見惚れていた。
 電車はその彼女を置き去りにして駅を出る。英知は電車の中から見た、彼女の花を眺める横顔と、電車に乗りそびれ慌てた様子の照れ笑いがずっと忘れられなかった。

(はぁ~。なにやってんだ、俺‥‥)
 窓から中庭の藤棚を眺めてぽりぽりと頭をかく英知を、友達が突然丸めたプリントではたいた。
「ぃてっ」
「英知、ぁにぼーっとしてんだよっ。まーた例の子の事でも考えてたんだろ?」
「あ゛~っ。そうなんだよ。それがさ‥‥」
「当ててやろーか? ん~‥‥今日も話が出来なかった」
「‥‥うっせーなぁっ。それができたらこんな苦労しねぇんだって。」
「くくっ。お前もあきれたやつだなー。これで片思い期間再更新な。一年だっけ?」
「‥‥明日でな。」
「くははっ。英知相当惚れてるねぇ。」
「笑うなって。俺さ、今まで一目惚れなんて自分は絶対しねぇ!と思ってたんだ。そしたら‥‥。あーっ!好きだって言いてぇなぁ‥‥」

 あの日、遥はいつもの様にギリギリで電車に乗った。昨日はついきれいな藤の花に見惚れ、結局遅刻をしてしまった。なんとか乗車し、はーっと息をついた途端、どくんと心臓が高鳴り、急に息が苦しくなった。いつもの電車とは違う事がひとつあったからだ。彼が乗っていたから。

「遥? お~い!」
「‥‥あっ、ごめんっ。何?」
「何じゃなくてー。もぉ、ぼーっとしちゃって。また考えてたんしょー? 好きな人の事。」
「うぅ、アタリぃ。」
「ははっ。恋の病は重症ですね~。でも痴漢退治する位なら、きっといい人なんだろねっ。」
「でしょでしょ? あ~、あのお姉さん、話出来てて羨ましかったなぁ。」
 友達の誉め言葉に、遥は嬉しそうに答える。
「‥‥って、まさか今日も?」
「う、ん‥‥」
「また話せなかったのー? なぁにやってんだかっ。」
「う~っ、それが出来たらこんなに苦労しないよぉ。」
「それでまた片思い続くんだぞ~。もう、一年位でしょ?」
「ん、実はあさってで丁度一年。あたしさぁ、今まで自分と距離が近い人しか好きになった事ないのに、どーしちゃったんだか。あ~、好きだって伝えたいよぉ。」

 一目惚れした相手の事を、ずっと想い続けているこの二人。
 遠山英知。18歳。黒髪短髪、奥二重の力強い瞳にやや細身だが筋肉質の体。正義感が強く、これで女の子にモテないはずがないのだがこの男、自分の恋愛にはとんと不器用な奴である。
 一ノ瀬遥。17歳。薄く茶色掛かった柔らかな髪と、美人系ではないが、人なつこい二重の瞳に桜色の唇の整った顔。いつも笑みを絶やさないその屈託ない明るい性格に、密かにひかれる男は多い。

 英知と遥。この二人は、お互いが切ない程同じ気持ちでいる事を、まだ知らない。
 これは、そんな二人の嬉しい偶然の物語である。

 季節が一巡りしたある日曜日。二人が恋心を抱いてから、英知にとっては一年と一日、遥にとっては丁度一年目の日だった。

 (『奇跡』ねぇ‥‥、そんなもんがあるなら、早いとこ俺にも来てくれっつーの)
 電車に揺られながら英知は考えていた。今日は兄に『奇跡』という映画のタダ券をもらい、暇だったので観に行く事にしたのだ。
 今日の電車は混んでいてゆるやかな満員状態だった。英知は面倒臭くない様に入り口付近に立っていた。
《次は、月館~つきしろ~》
 アナウンスが流れる。
(今日は‥‥逢えないだろ)
 月館は遥の乗ってくる駅である。
 電車が停まった。ホームには数人待っているのみである。英知の視線は無意識に遥を捜しそうとする。
(‥‥いねぇわ)
 英知が首を前に戻した瞬間、ドアが開いた。
 ガタンッ
(おぁっ!)
 英知は危うく声を出しそうになった。開いた扉の向こうに遥がいたのだ。
 遥は大きな瞳をさらに大きくして英知を見ている。
 彼女も驚いていたのだ。いないと思っていた英知がそこにいたから。
《ドアが閉まります~》
 アナウンスに我に帰った遥が、慌てて電車に乗り込む。パタンと音を立ててドアが閉まった。
(ま‥‥じかよ、おいっ。こんなに接近していいんだろーか‥‥)
 英知は思いもよらぬ遥の登場に混乱していた。手を動かせばもう遥の髪に触れられそうな距離だ。
(映画館のある駅まで‥‥三駅か。短けぇーっ! 途中で下りたりしないといいけど)
 英知が心の中で一喜一憂していると、ほんのりと遥のシャンプーの匂いがした。甘い心地よい香りである。
(‥‥っ!)
 つい英知の中の男が疼いてしまう。いくら堅物な英知でも、こればかりは仕方がない事である。遥の甘い香りに、英知はとくん、と胸を高鳴らせた。
 遥はずっと英知に背を向けたままでいる。実は彼女も、ドキドキが止まらないのだ。英知は遥のバッグに映画のパンフレットが入っている事を知らない。

 電車が着いた。
 英知は声をかけたかったが、どうもこういう事は苦手である。
 そうこうして迷っているうちに、彼女は電車を降りると足早に改札口へと消えていった。
「あ‥‥」
(まぁ‥‥逢えただけでもラッキーだよな‥‥)
 小さく溜め息をつくと、映画館へ向かった。

 (あ!)
 映画館に着いた英知がまず目にしたのは、遥がチケットを買いそびれている姿であった。どうやら遥も『奇跡』を観たかったらしい。英知の手元にある券は二枚。兄に「好きな子でもつれてけよ~」と茶々を入れられつつ受け取ったものだ。
(まじかよ‥‥、、っし!)
 緊張を隠す様に息を吸うと、視線を落としている遥に思い切って声を掛ける事にした。

(は~、びっくりした。えへへっ、でも、ラッキーだよねぇ。今日はなんか良い事あるかもっ)
 英知に逢えて、遥の顔の筋肉は緩みっぱなしだった。気がつけば、映画の公開まであと五分。慌ててチケットを買いに行く。
「すいません、『奇跡』のチケット一枚ください。」
「申し訳ありません‥‥」
 チケットは売り切れてしまっていた。
「そうですか‥‥」
(次の公開まで‥‥三時間かぁ‥‥)
 諦めて俯く遥に、声を掛けて来た人物がいた。
「あの‥‥もしよかったら、これどうすか?」
 遥は顔を上げて声の主を見ると、目を丸くして困惑した。それもそのはず、声が英知のものだったからだ。
「で‥‥も、あの‥‥」
「ホラ、俺二枚あるし。いいっすから。」
 チケットを遥に差し出す。
「‥‥本当に?」
「もちろん!」
「あ‥‥ありがとうございすっ!」
 遥は本当に嬉しそうに受け取り、ぺこりとおじぎをした。
「そんな事いいから。ほら、もう時間」
「え?あっ!」
 遥と英知は、二人で小走りに館内に向かった。

(う、嘘みたい‥‥)
 遥の横には英知が座っている。
(話、しちゃったよ~。しかもチケットまでもらって‥‥隣で同じ映画観てる。ひぇ~)
 遥の心臓は高鳴り、映画の内容などこれっぽっちしか入らない。しかしそれは英知も同じ事である。
 暫らくして、ラブシーンに入った。
(ち‥‥ちょっと、コレは、まずいだろ‥‥)
 英知は遥をちらっと見た。長いまつげ。どきどきする。映画では熱い吐息を聞かせながら男女が愛し合っていた。男の手が女の胸に触れる。意識するつもりはなくとも、英知の目線も遥の胸元を見てしまい、慌てて前へ戻した。
(何考えてんだ、俺‥‥)
(ちょっとこれ‥‥恥ずかしいなぁ)
 遥も目の前に広がる営みに、横にいる英知を意識した。
(やだ‥‥何考えてんの、あたし‥‥)
 しかし体は正直で、遥は自分の内部がぽっと火照るのを感じていた。
(この人になら‥‥こうゆう事されても、いい、かな。なーんて、ね)

 映画は、男女の幸せそうなキスで終わった。エンディングの曲が流れる。
(終わっちゃった‥‥)
(終わっちまった‥‥)
 二人は席を立てない。立てば一緒の時間が終わってしまうと思っていたからだ。
──こんなチャンス、二度とないかもしれない。
 そんな思いが二人を少し近付けた。
「あの」
「あの」
 遥と英知が声を掛けたのは、ほぼ同時だった。二人は顔を見合わせ、どちらともなくぷっと吹き出した。クスクス笑いながら遥は言った。
「チケット、ありがとう。楽しかった。もし‥‥よかったら、お礼がしたいんだけど、お茶でもどうですか?」
 英知は驚き、しかしにかっと笑った。
「それって‥‥逆ナン?」
「ち、違いますっ!だって‥‥」
「ははっ。冗談。いいっすよ。嬉しい。」
「ほんとですか!‥‥ってあたし、名前も教えてないですね。えと、一ノ瀬遥です。」
「俺は遠山英知です。英知でいいよ、遥さん。」
「あたしも遥でいいよ、英知くん。」
「じゃあ、遥ちゃん。行きますか。」
「はい!」

 それから二人は、お互いの気持ちが溢れだした事も手伝って、色々な話をした。趣味や、映画の話、それぞれの学校の事‥‥遥と英知の乗車駅が、隣同士だという事も分かった。
 話している途中、遥は思った。
(‥‥あたし、行きの電車で英知くんに逢ったんだった‥‥。英知くん、あたしだって気付いてないのかな?‥‥やっぱあたしの片思いだね‥‥。せつないなぁ)
「遥ちゃーん。戻って来ーい」
 惚けていた遥に、英知はおどけて言った。
 遥は照れ隠しに、中指の少し緩い指輪をくるくるといじる。
「あっ、へへっ、ごめんね。」
「おぅ、なんか考え事?」
「んん、まぁ、ちょっとねっ。」
(英知くんの事、考えてたんだよ)
 遥は気付かれない様に、そっと口を動かした。

 そろそろ帰らなければならない時がきた。もう少しこのまま一緒にいたいと素直に言えない気持ちが募り、帰りの電車に揺られながら話も出来ずにいた。
《次は、月館~つきしろ~》
 アナウンスが流れる。
(もう、降りないと‥‥)
「今日はありがとう。凄い楽しかった。あたし、ここで降りるから‥‥」
「あ‥‥そっか。じゃあ、また‥‥」
(引き止める事なんて、出来ねぇしなぁ)
「うん、またね。」
 扉が開くと、遥は思いを振り切る様にホームに出た。
 その時──
 カツン、コロコロ‥‥
 遥の指から、今日していた指輪が滑り落ち、電車の中を転がっていった。
「えっ?あ!」
 驚いた遥は急いで電車に飛び乗ると指輪を拾った。が、よかった~と思った時、パタンと音を立てて扉が閉まってしまった。
「遥‥‥ちゃん?‥‥プッ。あはははっ」
 その様子を見ていた英知は、遥の可愛らしさと、まだ一緒にいられるという喜びで笑いだした。遥は頬を染め膨らませる。
「そんな笑わなくったって‥‥」
「くくっ。ごめんごめん。‥‥よかったら、次で降りませんか? もうすぐ夕飯時だし、俺ん家の近くに旨い所あるけど、折角だから。」
 遥の気持ちを考えれば、答えは決まっている。
「‥‥じゃあ、食べていこうかな。」

 店に入ると、割とすぐに席に着く事が出来た。暖か雰囲気に和み、遥もこの店がとても気に入った。食事も美味しく、英知は連れて来てよかったと思った。
 くるくる表情を変えて話す遥に、楽しそうに頷きながら答える英知。二人は今日一日を思い出しながら、密かに決心をした。
 自分の思いを伝えよう‥‥と。

 店を出てからゆっくり二人で歩く。辺りはすっかり日が落ち、暗くなってきていた。もうすぐ駅、という所で遥が口を開いた。
「ありがとう。もうすぐそこだし、大丈夫だよ。」
「そっか。今日、楽しかったよ。」
「あたしも。英知くんと話出来て‥‥よかった。」
 そう言うと、英知に背を向けて歩きだした。しかし、二、三歩歩いた所で、その足がぴたっと止まった。
「あの‥‥っ」
 そう呼び止めたのは英知の方だった。遥がゆっくり振り向き、二人の視線が絡む。英知は、心なしか遥の目に涙が滲んでいる様な気がした。
「奇跡だった‥‥」
 先に言葉を洩らしたのは、遥の方だった。
「‥‥好きだった。本当は、ずっと前から好きだった。英知くんは知らないと思うけど、あたし、毎朝電車で逢えるの、嬉しくて‥‥英知くん見るたびドキドキしてた。」
 英知は、初めて遥が自分と同じ気持ちであると知った。
 遥は続ける。
「だから今日、英知くんがチケットくれて一緒の映画見た事も、話した事も、ごはん一緒に食べた事も、みんなみんな、あたしにとっては奇跡だった。」
 英知の気持ちを知らない遥は、この恋が終わるだろう事を覚悟しての告白だった。涙目になりつつも、綺麗な笑顔を見せる。
「今日は本当に嬉しかった。今度もし見掛けた時は、声位掛けてね。」
 じゃ‥‥。そう言うと、再びくるっと背を向けて歩きだした。
「待っ‥‥て!おいっ!」
 慌てて引き止めた英知は、振り向いた遥の頬に涙が伝うのを見た。その瞬間、英知は頭が真っ白になり、ぎゅうっと遥を抱き締めた。
「‥‥英知く‥‥んっ?」
 英知は遥の唇を自分の唇で塞いだ。突然の出来事に遥は驚いているが、英知のキスは終わらない。
 深く、貪欲に遥を求める。息苦しさに少し開いた口に舌を差し込み、上顎を舐めたり、遥の舌に自分の舌を絡めた。
「んぅ‥は‥‥っ んんっ‥‥」
 遥の吐息が漏れる。
 ちゅっ‥‥と音を立てて唇を離すと、英知はまた抱き締め、腕の中にいる遥に告げた。
「俺にとっても‥‥奇跡だったよ。本当はずっと‥‥好きだった。」
 それを聞くと、遥はぽろっと涙をこぼした。英知はハッとする。
「あっ!ごめんっ!嫌だったよな‥‥突然こんな‥‥」
 遥は何度も首を横に振ると、涙を拭いにこっと笑った。
「ううん。嬉しかったんだから‥‥」
 そう言うと少し背伸びをして、英知の頬にキスをした。英知は胸が一杯になり遥の手を強めに握り歩きだした。
「今日は、帰したくない。」

 ホテルに入ると、英知にシャワーを促され、遥はバスルームに入っていった。
(ど、どどどどうしよう‥‥。ドキドキするよぉ‥‥。それに、ちょっぴり怖いかな‥‥?ううん!英知くんだもん。きっと大丈夫‥‥)
 頭がのぼせそうになりながら、とりあえず体は綺麗にしないと、と、ボディーソープを泡立てた。隅々まで洗い、シャンプーもして、泡を流す。
(やっぱり、服って着るのかな?‥‥)
 もっとかわいい下着着ておけばよかった、などと考えつつ服を着る。

 ベッドでは英知が迷っていた。抱きたい気持ちは強かったが、遥の気持ちを大事にしたかった。悶々とする英知の元へ、風呂から上がった遥が来た。少し恥ずかしそうに伏し目がちだ。
「遥ちゃん‥‥ちょっと、ここ座って。」
 ポンポンと自分の座るベッドの隣を叩いた。遥は言われたままに腰を下ろす。英知は自分の心内を正直に伝えた。
「俺さ、‥‥遥ちゃんにすっげー惚れてる。だから抱きたいって思ってる。でも今日は殆ど連れ込んだ様なもんだし。遥ちゃんのこと、大事にしたいんだ。だから嫌だったら俺、全然構わないよ。」
 遥は静かに聞いていたが、英知が話し終わるとゆっくり口を開いた。
 しかし電話の着信音が言葉を阻んだ。遥の携帯だ。
「もしもし‥‥お母さん? うん‥‥」
 相手は遥の母のようだった。何事かを話している。英知は聞いても悪いと思い、宙を見ていたが、話ている声は自然と聞こえてしまう。
「うん、やっぱり鈴ちゃんと行ったよ。‥‥それでね、今日は‥‥鈴ちゃんちに泊まる事になって‥‥そう。」
 英知は驚いて遥を見た。遥が頷く。
「うん、大丈夫。‥‥はい。バイバイ。」
 電話を切ると、遥は英知の瞳を見た。
「‥‥いいの?」
 英知の問いに、遥はもう一度小さく頷く。
「いいよ‥‥英知くんに、抱いて‥‥欲しい。」
 英知は体が熱くなるのを感じた。もう止まりそうにない。
「好きだ‥‥」
 そう言うと遥を押し倒し、激しく唇を求めた。再び舌が絡み、お互いの唾液が交換される。次第に、ちゅく‥ちゅ‥‥という甘い音も聞こえてきた。
「ん‥んっ‥‥はぁっ‥‥」
 ぎこちない動きではあるが、遥も英知に答える。溶けそうな甘いキスに、二人の息が上がる。
 唇を離すと、英知の顔が遥の首元に下がる。
「は‥‥ぁ、英知く‥‥ん」
 呼ぶ声に遥を見た英知は、思わずドキッとした。白い頬をピンクに上気させ、熱い吐息を吐いて瞳を潤ませる遥は、とても色っぽかった。
「‥‥初めて、なの、あたし‥‥」
 その声は少し震えていた。
「怖い‥‥?」
 心配になって、英知が聞いた。
「‥‥ちょっと、だけ‥‥。痛いかな‥?」
「優しくするよ‥‥。痛かったら教えて。」
 英知はこつんと額を合わせると、不安げな遥にそういった。
「うん‥‥。ありがとう。」
 遥は目を閉じると、英知に初めてをあげる事が出来てよかったと思った。

2.

 英知は遥の体をゆっくり起こすと、そっと上着を脱がせた。
「寒くない‥?」
 気遣いながらキャミソールの下に手を這わし、遥の胸に触れる。
「‥っ だいじょ‥ぶ」
 手が触れると、遥はぴくん と反応した。
 優しく、手のひらで包む様に愛撫した。柔らかい感触が英知の男を熱くする。
 遥は呼吸をはぁはぁと荒くしている。んっ‥と艶めいた吐息が英知の耳にかかり、くすぐったくも感じてしまう。
「ぁっ‥‥」
 遥から喘ぎ声が聞こえた。英知がブラをずらし、直に揉みだしたのだ。英知の指がほんのり色付いた乳首をつつ‥となぞる。
「ッあっ‥や‥‥っ恥ずかし‥‥ぃ」
 自分の意思とは関係なく漏れてしまう声に恥ずかしくなった遥は、つい瞳をつぶり横を向いてしまった。英知はその愛らしい姿に嬉しくなり、横を向いた頬にチュッと口付ける。
「恥ずかしくないって。もっと聞きたい‥‥大好きだよ‥‥」
 頬に手を添えてくいっと正面を向かせると、今度は唇にキスをする。舌で舌をチロチロと舐め、唇で遥の下唇を優しく挟む。合わせた唇の隙間からは、飲み込めなかった二人の唾液が溢れ、こぼれる。その間も、英知の手は遥の乳首を転がし、優しく摘んでいた。
「んっ‥‥ふぅ‥‥っ」
 重なった口から、熱い息が聞こえる。
「遥ちゃん、‥‥遥、見せて‥‥」
 そう言って再びゆっくり押し倒すと、英知は遥のすべてを脱がせ、自分も着ているものを脱いだ。英知が脱ぐ姿は妙に色っぽくて、遥の背中をぞくっとさせる。
「あったかい‥‥」
 直に肌と肌が触れる感触を、遥は正直に口にした。英知の顔が徐々に下に下がってきて、遥の乳首をチロッと舐める。もう片方は手でいじりながら。
「あんっ‥‥ゃ、ぁっ‥」
 遥は初めて体験する快感に喘ぐ
「すっげ嬉しい。感じてるの?」
「っ‥‥はぁ‥‥っ‥わ、かんないけ‥ど、気持ち‥い‥‥みたい」
 頬を染め、荒い息で答える。遥が大丈夫な事を確認し、英知の手が遥の大事な部分にのびた。いとおしむ様に割れ目をなぞる。
「遥‥‥足、開いて‥‥」
 でもなかなか足を開けない。すると英知はそっと遥の草むらにキスをした。遥が反応する。
「あっ」
「大丈夫‥‥見せて‥‥」
 好きな人にお願いされたら断れるわけがない。ドキドキしながら、遥はゆっくり足を開いた。英知の眼下には遥の女の部分が広がる。そこはふっくらと赤く、遥の奥から湧き出た蜜で濡れていた。控えめに蕾が顔を覗かせている事を見付けた英知は、蜜をひとすくいすると、そのまま蕾につん とふれた。瞬間、遥の体に電流がぴりっと走ったような強い快感が流れる。
「あんっ!」
 遥はギュッとシーツを握り締めた。奥からはさらに蜜があふれ、女の甘い香りがする。
「ここ、気持ちいい?」
 英知はそう言うと、赤く染まりぷくりとした蕾を優しく擦った。そのたびに遥は喘ぎ、声が英知を刺激する。
「っ‥はぅん‥や‥‥あぁんっ‥‥ダメッ‥ぁっ」
 ふと、英知は意地悪をしたくなった。
「ダメなの?じゃあ‥‥」
 そういっていかにも残念そうに愛撫をやめ、遥の隣に寝転んだ。
「えっ‥‥」
 英知の突然の行動に遥は困ってしまった。嫌で言った訳ではないのだ。あんまり気持ちが良くて、ついでてしまっただけなのに‥‥。
「‥‥英知‥くん」
「いいよ、無理しなくても。」
 英知がそっけなく言うため、遥はうっかり泣きそうになる。目の前がぼんやり浮かんで‥‥。
 すると英知が急に肩を震わせだした。笑いをこらえている。遥には何がなんだか訳が分からない。
「~ぷっくっくっ。あ~もうダメ! 嘘うそ! あんまり可愛いもんでつい意地悪したくなったんだ。ごめんっ」
「ひど~い!本当に心配しだんだからっ。嫌われちゃったかと‥‥もう知らないっ!」
 英知のイタズラに、遥は安堵しながら拗ねて、横にいる英知にくるりと背中を向けてしまった。
「遥っ。遥ちゃーんっ、ごめんって。」
 そう言っても、遥はなかなかこちらを向いてくれない。
「遥‥‥」
 英知は後を向いたままの遥の耳の裏にささやいた。
 びくっと遥が体を震わせる。英知の舌はそのまま耳を伝い、なめらかなうなじへと落ちる。
「‥‥本当にやめる訳ないじゃん‥。こんなに、惚れてんのに‥‥」
 うなじから、肩にキス、背中にキス。
「あっ‥‥」
 英知の舌が遥の背中の窪みにとどくと、遥から切ない声が漏れた。

「マジで、やだ?‥‥」
 振り向かない遥に少し不安になった英知が顔をあげ聞いた。
 するとおもむろに遥が振り向いた。彼女の瞳は初めて見たときと同じ位綺麗で、それでいて先頃湧き出た涙でにじみ、欲情している。
 英知がしばし見惚れていると、遥は両手をのばし、英知の頬をつねった。
「いてっ」
「ばか‥‥」
 つぶやいて手を放すと、今度はぎゅうっと首に抱きついて、英知の耳元にこっそり告げた。
「だいすき‥‥」
「‥‥っ」
 言葉にならず、英知はぎゅっと抱き締めた。軽くキスすると、ごそごそと布団をもぐっていく。
「え?えい‥‥ああんっ!な‥‥ぁ、ぅん‥」
 遥の中を、今まで体験した事のない、艶めかしい快感が走る。英知が舌での愛撫を始めたのだ。舌で秘部を愛されていると分かると、遥は恥ずかしさで一杯になった。
「ッ‥そんなトコ‥っ!舐めちゃ‥ぁ、だめぇ‥‥」
「なんで?」
「だっ‥!て、きれいじゃな‥‥あんっ!」
 ひとすじ‥‥流れると英知の舌が追い、すくいとっては蕾を舐め、ちゅっと吸う。またひとすじ‥‥くちゅ‥‥ちゅぷん‥‥ちゅ‥‥
「ゃ!ぁ‥‥はぁ、んっ‥‥も、ぉかしく‥‥っなっちゃ‥‥ぅ」
 ハァハァと赤い顔をして悶える遥。
「痛かったら教えて‥‥」
 そういうと英知は中指の指先を入り口に付け少し動かすと、くに‥‥と静かにゆっくり遥の中に侵入した。
「んぁ‥くぅ‥‥っ」
 遥は少し苦しそうに、薄く開いていた瞳をギュッと瞑った。中はキツくて、英知の指をきゅうきゅう締め付ける。
「痛い?」
 心配する英知に、遥は答える。
「少ぉし‥。でも、だいじょぶだよ‥‥」
 やべぇ‥‥と英知は思った。本当ならもっと遥をいたわり、指での愛撫を続けようと思っていたのだ。が、彼女の昂揚した頬、悩ましげな喘ぎ声、潤んだ瞳‥‥。そしてなにより彼女への愛しさに全身の欲望が駆られ、もう我慢ができなくなってきていた。しかし、このまま進めば、遥が痛みを伴う事は目に見えている。
 そんな英知の気持ちを知ってか知らずか、遥は浅い息を吐きながらそっと手を伸ばし、英知の胸に触れた。
「‥どきどきしてるの、聞こえる‥‥」
 呼吸が乱れているせいか、少しかすれているのが色っぽかった。瞳を合わせ微笑む。
「‥うん。本当はもうずっと、すっげどきどきしてる。」
「へへっ‥。あたしとおんなじだぁ‥‥。英知くん‥‥」
「ん‥‥?」
 遥は胸の上の手をそっとのばし、英知の頬に触れた。手が熱い。
「きて‥‥」
「‥‥遥‥‥っ」
 英知は遥を抱き締めた。

「ちゃんと付ける。」
 英知が枕元のコンドームに手をのばす。遥は自分の事をちゃんと思いやってくれている英知が嬉しかった。初めて見る力強く張ったそれには戸惑ったが、考えた後、頬を染めて、
「‥‥付けさせて。」
と言って英知を見た。英知は初め驚いたが、少し照れ臭そうに遥に任せてみた。
 先走りが慣れない遥の手を助ける。ぎこちない手つきに刺激され、更に逞しくなってしまったが、なんとかかぶせ終わると、二人はまた頬をすり寄せ合う。
「多分痛いだろうから‥‥言ってよ?」
「‥ん。」
「‥‥遥‥」
「うん?」
「好きだ‥」
「‥知ってる。」
「ぁんだよぉ。」
「ぷっ。ふふっ。ごめんね。‥あたしも、好き‥大好きだよ‥‥」
 お互いの秘部を擦り合わせて潤す。
「あぅんっ。は‥‥ぁ」
 英知の硬くなった肉棒が遥の敏感な蕾にあたり、遥から淫らな声が漏れた。ソコはぬらぬらと輝いて、英知の熱を迎え入れる準備をしている。
「いくよ‥‥」
 遥は少し緊張の面持ちで、それでも英知の声に瞳を閉じてコクンと頷いた。
 英知は擦り付けていた肉棒を遥の秘口にあわせると、静かに腰を沈めた。

 ズッ‥‥
「あああっ!!イタ‥‥ッ!」
 大きな声が出る。痛みから、遥の眉間にしわがよった。
「‥‥っ 大丈夫!?止め‥‥」
「‥‥ないで。止めないで‥‥」
 はっはっと荒い息を繰り返しつつも、止めようとする英知を遮った。
「でも‥‥っ」
 心配する英知に、遥は大丈夫だと告げる。
「お願い‥。英知くんの全部、ほしいよ‥‥」
「‥‥分かった。‥‥遥、俺の瞳ぇ見て‥」
 遥の心を汲んだ英知はやさしく囁き、彼女の閉じた瞼をそおっと撫でた。遥が瞳を開けると、そこには英知の黒い瞳が、甘く包み込むように遥を見ていた。
(吸い込まれそう‥‥)
 遥の体からふっ‥と力が抜けた瞬間、再び英知が腰を沈めた。

 ズズッ‥‥
「~っあ、‥‥っ。はぁっ」
「くっ‥‥ぁ、遥っ‥‥」
 遥の中は狭く、息を詰めるとなおさらきゅうっと英知を締め付ける。遥は横にある英知の腕に、ぎゅっと指を絡ませた。指も少し汗ばんでいる。
「息、はいて‥‥」
「うん‥‥」

 ズッ‥‥
「あんっ!!」
 遥は下腹部に受けた強い衝撃に目を固く閉じた。
「‥‥遥、入ったよ‥」
 ややあって英知の声がした。遥がそっと瞳を開けると、心配そうに見つめる英知の顔があった。
「痛い思いさせてごめん‥‥。大丈夫?」
「うん‥‥。まだちょっとジンジンするけど‥‥。でもね‥‥」
 遥は微笑んだ。
「嬉しいよ‥‥」
 英知はこの笑顔がたまらなく愛しかった。遥に優しいキスをした。
「俺も‥‥。多分俺の方が嬉しいの、でっかいな。」
「そんな事ないよぉ。あたしのがおっきいなぁ。」
「ううん、絶対俺のがでかい。遥の中すげぇ気持ちイイもん。」
「‥‥ばかぁ。」
「ははっ。それもあるけど‥‥」
「けど‥‥?」
「俺が遥をすげぇ好きだから‥‥」
「あっ‥‥」
 英知の顔が少し下がったと思うと、遥の鎖骨の少し上に朱色の跡を残した。そこはじんわり熱を持つ。英知に愛された“証”に、遥の頬がかぁと染まった。
「分かった?」
 遥の照れをよそに、英知は凄く嬉しそうだ。
「うん‥‥」
「おっけ。‥‥まだ痛い?」
 英知がしばらく動かずにいたため、そこは痛みはやわらいでいた。遥は自分の中の英知が硬く、熱く息づいているのを感じていた。英知も熱く狭い遥の中で、下半身がズクンと疼くのを感じた。
「ううん、もう‥‥」
「動くよ‥‥」
「うん‥‥」
 英知は遥の体を気遣い、ゆっくりと出し入れを始めた。奥まで入ったそれを少しだけ引き抜くと、ちきゅ‥‥と小さな音がする。ぐっと腰を押し進めると、くぷっ‥‥と音をたて再び根元までくわえ込んだ。
「‥‥っ。」
 遥が息を飲む。
 英知は片方の手で遥の乳首を摘み、くりくりといじった。
「あんっ。はぅ‥‥ん」
 突然の快感に遥の体はビクリと震え、中の英知の肉棒をぞわぞわと締め付ける。始めはキツかっただけのソコは徐々に中の熱のかたまりに馴染み、英知自身にもきゅうんと甘い刺激を伝えるようになっていた。
「あっ‥‥英知く‥ん‥あぁっ!‥‥」
英知が腰を使うスピードを早めた。熱い塊がぷっくりとした蕾をこするたび、遥の体はぴくんと跳ね、荒い息と、悩ましげな声が漏れる。
「やぁん‥‥あっ‥‥あっ‥‥!くぅん‥‥」
「っ!はぁ‥‥っ‥‥遥っ‥‥ぁっ」
 遥の奥からはトロリと英知への愛が溢れ、英知の腰の動きを助けていた。英知が浅く、深く突くと、遥はギュッとシーツを握りしめ、喘いだ。二人は体を密着させ、夢中になってお互いを貪りあった。
「んぁ‥‥んっ。んっ。遥‥‥っ。いい‥‥っ。」
「英知くぅん‥‥ああんっ。あっやっ‥あんっあんっ」

 くちゅっ‥
 ずちゅっ‥
 二人の合わさった部分からは淫らな音が響いていた。遥の腕が英知の背中にまわり、手の平にぎゅっと力がこもる。二人の頭の中は、次第に白い光に満たされていった。
「あっあっ‥! あぁんっ。英知‥く‥‥んっ‥‥やぁん‥‥も‥ダメぇ‥っ」
「んっ‥俺も‥‥っ。イキそ‥‥遥‥‥っ」
「英知‥く‥あっ!!ああっ!!」
「くっ‥‥ぁ、ああっ‥‥!」
 英知がより深く奥まで突いた時、遥の頭の中は満たされていた白い光が一気に弾け飛んだ。遥が今までにない締め付けを見せ、英知もまた自分の中に溜め込んでいた遥への熱い想いをすべて打ち出した。

 チッ‥‥ピチチッ‥‥
「‥‥ん‥‥‥?」
 遥は鳥の鳴き声で目が覚めた。窓際がうっすらと明るい。まだ半分眠っている状態の目をこすり、ぼーっとする頭をなんとか回転させる。
「あ‥‥」
 隣にぬくもりを感じ、見ると、そこにはあどけない顔をして英知がすぅすぅと寝息をたてていた。自分も裸な事に気がつき、昨日の夜の事を思いだした遥は、かぁっと顔が熱くなった。
 英知の頬をつついてみる。
「‥‥ぅん‥‥」
 何やら吐息が漏れただけで、英知は起きない。
 くすっと遥は笑った。英知のこんなにそばにいられる事が凄く、凄く嬉しかった。
(『奇跡』‥‥起きちゃったなぁ‥‥)
 そんな事を考えながら、遥はゆっくりと部屋を見渡した。明け方の薄明かりの中、ふとカレンダー付きの時計に目が止まった。
(‥‥四時かぁ。お泊りになっちゃった‥‥へへっ。今日は‥‥んっ?)
 時計の下の曜日を見ると‥‥月曜日である。
(たっ、大変!学校っ!)
 遥の頭はパッチリと目覚め、急いで隣で寝ている英知の体を揺する。
「英知くんっ。起きて起きてっ。」
「う~ん‥‥あと五分‥‥」
 なにやらごにょごにょ言っただけで、なかなか起きてくれない。
「も~っ。こぉら英知~っ、起きろーっ!」
「う‥‥ん。‥‥!」
 ある言葉に反応して、英知はガバッと目を覚ました。
「遥‥‥」
「よかったぁ~。英知くんっ、ほらっ、今日学校っ!月曜日っ」
 大慌てでいる遥に、英知は笑って、枕元のカレンダーを指で弾いた。
「くくくっ。遥さーんっ。今日、何の日だ?」
「えっ? 何の日って、普通の‥‥あ‥‥」
 英知の言葉にカレンダーを見た遥は、頬を少し染めた。
「‥‥祝日、です‥‥」
「はははっ。ピンポーン。ね、ここ座って。」
 遥がベッドに腰を下ろすと、ふわりと英知がシーツで包み、ぎゅっと抱き締めた。
「今さ、俺起こす時に言った言葉、も一回言って?」
「えっ? えっと‥‥『英知くん、起きて』?」
「ううん、もっと後。」
「う~ん‥‥『こぉら、英知~、起きろー』?」
「そうっ、それそれ!あ~、すっげ嬉しい。な、も一回名前呼んで。遥。」
「英知‥‥ッ」
 遥がちいさな声で英知の名前を呼ぶと、英知は遥の唇をチュッと奪う。
「へへっ、隙あり。おはよ。」
「‥‥おはよう。」
 瞳を合わせると、二人は少し照れあった。
「奇跡って、本当に起こるもんなんだな‥‥」
 英知は腕の中の遥を見つめた。遥も英知を見上げ、くすっと笑う。
 遥はそっと瞳を閉じると、二人は幸せそうにキスを交わした。

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