幼なじみ

女性もえっちな妄想をしてもいいんです。
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アダルトな読み物のお部屋

幼なじみ
2021年07月29日 20時04分
万縄

「――魁‥‥魁?」
 遠くの方で俺を呼ぶ声がする。その声は、どこか懐かしい響きがある。
 声は次第に近くなってきた。
(‥‥朱理の声だ‥‥)
 そう気付いたときには‥‥
「起きろぉっ!!」
 怒鳴られ布団をピッと剥がされた。
「さぶっ」
 もう12月だから寒いのだ。俺がベットの上で丸まり震えていると、朱理は俺の寝巻きの襟を掴み耳元で囁く。
「魁くぅん‥‥脱がされたいの?」
「ぅんっ。ぬ・が・し・」
 ぼかっと冗談をいい終える前にグーで殴られた。めちゃくちゃいたくて目が完璧に覚める。
「ばぁかっ、早く着替えて支度しなよ」
 そう言い残し、朱理は俺の部屋をすたすたと去っていった。
(あ~ぁ‥‥)
 心の中で溜め息をついた。
 いつも通りの日常、いつも通りの彼女、いつも通りの俺‥‥。
 昔から変わらない関係――幼なじみ。
 そんな俺、風間魁が、杉城朱理を好きな女と見始めたのは、今から五年前、彼女の母親が亡くなった頃からだ。
 産まれる前から家が隣同士で、両親共々に仲良し。
 俺達二人も仲良くならないはずはなかった。
 朱理の母親は元々体が弱くて、朱理を生んでからますます体調が悪くなっていった。
 そして、俺達が12歳の時に肺炎で亡くなった。

 好きになる前の彼女は‥‥ガサツだし、殴るし、まぁ、女の子っぽくなかったのだ。
 おばさんが亡くなると、朱理は180度変化した。
 なんだか落ち着いたし、殴らなくなった。
(俺の冗談とかで殴るときあるけど‥‥)
 一番効いたのは、女っぽくなったことだ。
 男の体と女の体に成長していく始まりの段階。
 彼女と俺は、背が同じくらいだったのに俺の背は伸び始め、朱理は平だった胸が膨らみ始めたせいもあり、俺は彼女を意識した。
 もう、前のような無邪気な幼なじみでいられない。
 けれど、そう思ったのは俺だけで、彼女の俺への対応は以前と全く変わらない。
 変わったのは、俺が朱理を女として好きになったこと。
 好きになってから約五年‥‥ますます朱理は女らしくなっていた。
(胸‥‥結構でかいんだよなぁ‥‥)
 そんなことを考えてるうちに今度は親に怒鳴られた。
「早くしないと遅刻するよぉ!!」
「いま行くよぉ~」
 ちなみに一言いうと、俺と彼女は半同居している。
 理由は、朱理の父親が仕事でひと月の半分以上を会社で寝泊まりするくらい忙しく、その間、朱理は家にヒトリきりになるからだ。
 だから、彼女の父が家に帰らないときなどは、俺の両親が朱理をうちに泊まらせる。
 最近は前より彼女が泊まる日数も増えた。
 少しくらい進展があってもいいはずなのに、俺は朱理に全く手が出せない。
 幼なじみのままだ。
 まぁ、家族の手前もあるが‥‥。

 制服に着替え支度し終わりリビングに行くと、母さんと親父、姉キ、そして朱理が準備万端で食事を待っていた。
「魁はいつも遅いわねぇ、少しは朱理を見習ったら?」
 席についた俺に姉キ――華純がいった。
「まぁまぁ、みんな揃ったから、食べようじゃないか」
 新聞を呼んでいた親父が新聞をたたみ、手を合わせる。
 それを見て、みんな手を合わせた。
「いただきます」
 家族全員で朝の食事をする。それがうちの規則だ。食べ始めてすぐ‥‥
「あっ、今日あたし大学の学祭の用意で学校に泊まりだから」
 姉キが親父と母さんに言った。
 すると二人は少し困った顔をした。
「そうなのぉ? 父さんと母さんも、明日は知り合いの結婚式で北海道まで行くから、今日は泊まりだって前から言ってたのにぃ」
 俺は味噌汁をすすりながら、なんとなく会話を聞いていた。
(この味噌汁少し、しょっぱいなぁ‥‥)
「仕方ないじゃんかぁ~急にそうなったんだもん。それに、あたしがいなくても魁と朱理がいるじゃん?」
 にしし、と笑いながら姉キが言った。
 すると朱理が口を開いた。
「えっと‥‥じゃぁ、今日は魁と私の二人で留守番?」
 みんな一瞬静まりかえる。
(なにいってんだコイツは。そんなの当たりまえ‥‥)
「えぇ!?」
 俺が驚いた様子を見て母さんがじろりと俺を見る。
「朱理ちゃんに変な事しないように! いい!?」
 かなり、母親に信用されてないらしい。両肩を掴まれて念を押された。
「そ、そんなことしねぇって。誰がこんな男女にっ」
 自分でも感情と矛盾しているのはわかっているが、家族の前で恋愛感情みせたら、せっかく二人きりになるチャンスが潰れてしまうのだ。
「男女って、ひどぉい!」
 朱理が頬をぷぅと膨らめた。そんな仕草がとてもかわいい。
(俺‥‥かなり惚れてるなぁ‥‥)
 ヨーグルトを食べていた姉キが、俺と朱理のやりとりをにんまり笑ってみていた。
「あんたらさぁ~なかなかお似合いだと思うけどぉ」
 その言葉を聞いた瞬間、朱理が大笑いした。
「お似合いなんてやめてよぉ~。笑えるから」
 ズキリと胸の奥が少し傷付くような言葉だった。
(笑えるくらい眼中にないのか‥‥)
「俺だってお断りだよ。ちなみに、何しようにも出来たらとっくにやってるよ」
「あぁ、それもそうねぇ」
 母さんに言われ、みんなに笑われた。もちろん朱理にも。
 家族のみんなから見れば、俺が朱理を好きなんて全くわからないのだから仕方のない反応だ。
 というか、二人の関係は見た目でわからないくらい変化がないという事だ。
 けれど、俺は朱理と二人きりで過ごす夜は初めてだから、本当は自分が彼女に何もしないでいられるか不安であった。
 当の本人は、意識していないのだから、お気楽なもんだ。
 食事が済んで、いつもの通り学校へむかった。

 学校と部活が終りへとへとで家に着くと、もう八時だった。
(遅くなっちまった‥‥)
 玄関を開け、うちに入るとイイ匂いがする。
「おかえりぃ~」
 奥の方から朱理がエプロン姿で登場した。普段から見慣れている姿なのに、その姿にドキッとする。
「たっ、ただいま」
「部活で泥だらけだと思って、お風呂沸かしといたから先に入ってきたら? 夕飯もう少しかかりそうだし‥‥ねっ!」
 そう言われて、俺は風呂に入ることにした。
(新婚の夫婦みたいだなぁ‥‥)
 湯船につかり暖まってから風呂を出て、今夜のことを想像しつつ朱理の元へ行った。
 リビングに行くとテーブルに食事が並んでいた。
 コーンポタージュにハンバーグとサラダなどが綺麗に盛り付けられている。
「早く座って、一緒に食べよぉ」
 朱理はエプロンを外して椅子に座った。俺も向かい側に座り手を合わせる。
「いただきます」
 朱理の作った夕食はなかなかうまかった。
「このハンバーグ、母さんのよりうまい‥‥」と言うと照れて顔を赤くした。
「まだまだおばさんには及ばないよ。あっ、でも魁には勝ってるかなっ」
 へへっと白い歯を出して笑う彼女を見て、胸の奥がぎゅっと熱くなるのがわかった。
(この笑い方好きだな‥‥)
 いたずらした子供が面白がっているような笑みだ。
「お前って、かわらねぇなぁ‥‥」
「えっ?」
「外見とかは変わったけど、中身は昔のまんまだなぁって」
 きょとんとした顔で朱理がまじまじと俺を見る。
「そうかなぁ?」
 朱理は、う~んと考え込んでいる。そして、しばらくしてから彼女は顔を赤らめた。
「どうかした?」
「ん? ん~なんか‥‥魁は‥‥朝、起こすときなんだけどね‥‥、起こしづらくなった‥‥」
 朱理の頬が更に紅潮する。
「は? なんで?」
 耳までも赤くして、彼女は、もぢもぢした。
「や‥‥なんか、ん~‥‥たまに‥‥ね?」
 顔中を真っ赤に染めた朱理はうつ向いてしまう。
 俺は、ぴんっときた。
(‥‥もしかして‥‥アレか‥‥?‥‥でも、わかんねーし‥‥)
「たまに? なんだよ」
「だ、だから‥‥朝起こす時に、わ、わかるでしょ?」
 上目使いで俺を見る朱理を目の前に、心臓がどくどく脈打つ。
(かっ、かわいい‥‥)
 次第にいじめたいという気持ちが膨れてきた。
「早く言えよ。いわねーとわかんねぇよ」
 少しキツイ口調でイラついた態度をしてみた。もちろん演技だ。
「だっだからっ! あぁ、あそこがたってるんだもん!!」
 ヤケクソといった感じで朱理が叫んだ。
(やっぱりか‥‥朝勃ち‥‥)
「仕方ねーよ。男なんだから」
 朱理の様子が面白い。
「そうだけど‥‥さ‥‥」
 まだ顔の赤い彼女がうつむいた。
 会話が途切れた。
 ふいに、朱理を他の男にとられたら‥‥という不安がよぎった。
(もし他の男とえっちしてたら‥‥)
 考えるだけでむしゃくしゃした。
(自分は朱理以外の女と寝たことがあるくせに‥‥)
 イライラしてきた。
「‥‥俺、片付けして寝るよ。だから朱理は風呂入ってきな」
 イラつく姿を見られたくなくて、そっけなく言い放つ。
 彼女は小さく頷いた。

 洗い物を終えて自分の部屋に行き、ベットに寝っ転がる。
 イライラは、なんとかおさまった。
(他の男なんか知らないでいて欲しい‥‥)
 祈るように朱理のことばかりを考えている。
 今まで朱理がずっと好きだった。
 二年前まで幼なじみという関係から抜け出せず、彼女に対する欲望を募らせる毎日に嫌気がさしていた。
 触れたいのに触れられない苦痛。だから一人で性欲を吐き出していた。
 そんな時、女に告られ、軽い気持ちで付き合ってしまったのがいけなかった。朱理へ向けられない欲望は他の女に向けられるようになってしまっていた。
 しかし、他の女を抱いても一時の安らぎしか得られない‥‥
 結局のところ俺の欲望は朱理でなければ満たされることはない。
 そのことに気付いたときには、朱理の気持ちに対する裏切りのような罪悪感でいっぱいだった。
 だから、余計今の関係から抜け出せないところがあった。まぁ今まで抜け出すチャンスもなかったけれど。
 だから今日は、またとないチャンスなのだ。
(何にもできそうにないけど‥‥)
 はぁっと溜め息をついた。
 その時だった。

 ドアをノックする音がした。
「はい?」
「あっ魁。入ってもイイ?」
「どうぞぉ」
 ベットに寝っ転がっているからだを少し起こしてドアを見る。
 ガチャッと開き、朱理が部屋に入ってくる。まだ頬が熱り、髪の毛も生乾きだ。
 ふいに胸の方へ視線を移すと、ボタンが弾けそうになっている寝巻きのシャツが目についた。
(ノーブラだ‥‥)
 なんとなくふたつの胸の形がわかる。乳首の位置も、うっすら‥‥。
 あの大きい胸を自分の手で、揉んだりしたい。
 俺の欲望を挟ませて擦らせたい。
 いっぱい、しゃぶりたいっ‥‥。
 ずっと女の体に触れていないせいか、すぐに下半身へ熱が集まり始める。
(やべっ‥‥直視できねぇよ)
 そう思って、枕元にあるタオルを顔に被せた。
「なんかよう?」
 早く朱理が部屋から出てってくれないと、我慢できなくなりそうだ。
「さっき、ごめんね‥‥」
 声は、少し沈んでいるように聞こえる。
「なにが?」
「怒ってたみたいだったから‥‥」
「怒ってないよ‥‥。けど、これからは自分で起きるようにする」
 タオルを顔にかけているので朱理の表情はわからない。
「起こすの嫌なわけじゃないよ。ただ、恥ずかしかっただけで‥‥」
 ぎしっという音と共にベットが軽く沈んだ。
「怒ってるみたい‥‥」
 不安そうな朱理の声。
「な、なんで怒る必要かあるんだよ」
 鼻につく石鹸の香り‥‥すぐ横にいる彼女の息遣い。もう下半身はぱんぱんだった。
「じゃ顔見せてよ」
(え?)
 慌てて手でタオルを押さえようとしたが遅かった。タオルは既に彼女の手にあった。
 俺と朱理の視線がぶつかる。
 そらせられなかった。
 俺の手は無意識のうちに彼女の細い腕を掴んでいた。その腕をぐいっと引っ張る。
 彼女の体は俺の胸の辺りへ倒れてくる。
「あっ‥‥」
 小さく朱理が声をあげ、軽く顔をあげる。
「魁? どうかし――」
 彼女が喋り終える前に、さっと唇を重ねる。
 触れ合ったのは一瞬だったが、その一瞬で自分の唇が火傷するくらいに熱くなった。
 彼女の唇は柔らかく、しっとりしていた。
 何が起こったかわからないと言った様子で彼女は固まってしまった。
「‥‥ごめん、いきなり‥‥でも、俺はずっと朱理にキスしたかった」
 そう言って、朱理の頭を両手で優しく包み込み自分の顔に引き寄せる。
「いつも、朱理のこと見てた。でも、お前は全然知らなかったみたいだよな‥‥」
「そんなの‥‥。魁の方こそ私の気持知らなかったんじゃない?」
 目の前にある彼女の顔は、まるで誘っているかのように微笑み、艶がある。
 俺は、ごくりと唾を飲んだ。
「それって‥‥俺と同じ気持ってこと?」
 今すぐにでも彼女を抱きたい、という想いをぐっとこらえる。
「‥‥私のこと、好き?」
 彼女の熱い吐息が首筋にかかった。ぞくぞくして、我慢の糸が切れそうになる。
「‥‥好きだよ」
 やっとの思いで口にした。その言葉を聞いて朱理は、抱きついてきた。
 彼女の胸が俺の体にぎゅっと押し付けられる。
(やらかい‥‥)
「うれしいっ!!」
 朱理は、さらに胸を押し付ける。
(あぁっ!! もぅだめだっ!)
「朱理!」
 体を反転させて、無理矢理、彼女をベットの上に引きずり込んだ。
「きゃっ」
 寝巻きを通して、彼女の体温と胸の柔らかさが伝わってくる。
「‥‥朱理‥‥」
 俺は彼女を再び抱き寄せた。反動でベットのスプリングが弾む。
「急に抱き締めたりして、ごめんな‥‥でも、お前の胸が当たったりして、我慢できなくなっちまって‥‥」
 俺の体に彼女の胸が当たるよう、彼女にも俺の欲望は当たっていたのだろう。
 それは、彼女の体がこわばっていることに気付いたからだ。
「‥‥いきなりのことで、驚いちゃって‥‥。魁の堅くなってるね‥‥」
 朱理は、ぱんぱんに張っている俺の下半身で感じているようだ。その顔がぽーっと紅く染まっていくのと同時に息が荒い。
「ぅうんと‥‥、風呂上がりの朱理見たら勝手に‥‥ね‥‥」
「‥‥そうなの? こんなの初めて‥‥。魁は苦しい?」
 きっと、押し倒した状態で、好きな女に上目使いされて、欲情しない男はいないと俺は思った。
 俺を見上げる彼女の真っ直ぐな視線に吸い込まれそうだ。
「朱理‥‥お前が嫌なら、俺我慢するよ。お前傷付けたくないし、だけど、俺と同じ気持ちなら‥‥」
 これは本心だった。でも、もう答えは聞かなくてもわかる。
「‥‥初めてなの‥‥。やさしくしてくれる?」
「当たり前だろぉがっ」
 不安げな朱理の頭を軽くこづいた。
「‥‥ぅん」
 彼女の返事を合図に唇をついばむようにキスを繰り返す。
「んっ‥‥はぁ」
 互いの吐息を近くに感じると、体の芯から想いが湧いてくる感じがした。
 舌を絡めたり、歯茎の裏を舌先で優しくなぞる。
「ぅんっん‥‥んーっ」
 次第に我慢できなくなり、俺はとうとう彼女の胸に触れた。
「ぁっ」
 彼女の体がびくんっと跳ねた。
「少し触れただけなのに。感じやすいんだな‥‥朱理は」
 そう言いながらも胸を両手で優しく揉み、キスを繰り返す。
「あっ‥‥っぁっ」
 胸を揉んでいると寝巻きの布から掌へ一点の固い感触が生まれてきた。
「朱理‥‥お前の乳首こうやって揉んでるだけでも、すげぇ固くなってきてるのわかるよ‥‥」
「そっそんな‥‥んっ、仕方ないよぅ、ぁっ」
 俺の腕を掴んでやめさせようとする。
「俺にこうされるの‥‥イヤ?」
 彼女の耳元で囁く。そして、ぺろりと耳のラインをなぞる。
「ひゃっ!‥‥ぅっと‥‥いや、じゃないけど」
「けど?」
「はずかしぃ‥‥よぅ」
 彼女の口から吐息混じりの声がして、ますます興奮する。
「朱理‥‥すっげぇ色っぽい‥‥」
 鎖骨の線にそってキスをしながら、たまに吸ったりしてみる。
「はっ‥‥くすぐっったぁいっ」
「それはぁ‥‥感じてるってことだろ‥‥」
 俺は、朱理の寝巻きのボタンをはずそうと手をかけた。
「あっ‥‥でっ電気‥‥消してっ」
「恥ずかしい?」
「んっ‥‥恥ずかしいっ‥‥」
 朱理がうるんだ瞳で俺を見る。頬は紅潮し、口は半開きだ。
(誘われてるみたいだ‥‥)
 スタンドの明かりを点けて、リモコンで電気を消す。
「部屋の電気は消すから、スタンドの電気はつけさせてよ」
「うっと‥‥どうして?」
 彼女の頭を撫でながら軽くキスをした。
「朱理の感じてる顔みたいから‥‥」
 恥ずかしそうに笑った朱理に、もう一度軽くキスして服を脱がせていくと、はだけた部分からスタンドの淡い明かりに照らされ、白い胸があらわになる。
 触りたい衝動を抑えて、まずは言葉で攻める。
「朱理の胸が見えてきたよ‥‥もう少しで乳首も見えちゃうね‥‥」
 上着を完全に脱がせると朱理は胸を腕でかくした。
「きっ、きれいじゃ‥‥ないから‥‥」
「‥‥朱理‥‥大丈夫。ちゃんと見せて‥‥」
 朱理の腕を優しく退けようとすると彼女は素直にしたがった。
 淡く橙色に照らされたふたつの桃は、今まで見てきた誰のより美しく大きく実っている。
 頂点の薄紅に染まったさくらんぼは触ってと、小さいながら主張しているかのように感じだった。
「すげぇ、きれい‥‥」
 見ただけで俺の欲望はむくむくと更に大きく張りだして、痛いくらいになる。
「きれいじゃないよっ」
 再び隠そうとする朱理の腕を掴んで胸に顔を寄せ、舌先で乳首を舐める。
「あんっ!!」
 朱理の体が、びくんっと跳ねた。
「感じてるんだね‥‥もっと舐めちゃお‥‥」
 ぺろぺろ舐めたり吸ったり、もう片方の乳房は手で揉みつつ、たまに乳首を指で摘んだりした。
「んっぁっあっ」
「はっ‥‥もっと‥‥声だしてっ‥‥」
 朱理の声を聞いてすごく興奮する。彼女の快感に包まれていく顔を見ているだけで、俺の欲望の火を煽った。
「やわらかいね‥‥朱理の大きい胸‥‥」
 乳首を軽く噛む。
「やぁっ!‥‥んっ」
 朱理は声を荒げた。
「っっ‥‥きもちい?」
 ちゅっと乳首を吸いあげる。
「ぅあっ‥‥き‥‥きもちいっよぅっ」
「素直でかわいいね‥‥下の方はどうなってるかなぁ‥‥触るよっ」
「ぇっ」
 俺は朱理の返事を待たずに寝巻きの下着に手を滑り込ませ、パンツの上を指でなぞる。
「あぁっ! だっだめぇっ」
 朱理は激しく身悶えた。
「だめなの‥‥?‥‥朱理のパンツ濡れてたよ‥‥もっと感じたいだろ?」
 彼女の寝巻きとパンティーを一気に下ろす。
「やぁっ!」
 とっさに朱理は近くに避けてあった毛布で身を隠した。
「‥‥いや? ごめん‥‥いやなら‥‥もうしないよ」
 俺ががっかりしたように肩を落としてみせた。
 彼女の体はだいぶ熱っているし、初めてと言えど、快感を得たい、イキたいという欲望はあるはずだ。
「‥‥魁‥‥わたし‥‥」
 朱理は申し訳なさそうにしている。まだ、生まれたままの姿を見せるのは恥ずかしい様子だった。
「無理しなくてイイよ‥‥けど、俺そろそろ我慢の限界なんだ‥‥見てて‥‥」
 俺は朱理の目の前で最期の一枚を脱いだ。
 重力の法則に逆らった形で、勢いよくバナナのようなペニスがあらわれる。
「あっ‥‥」
 朱理の口から吐息とも似たような声が出た。
「‥‥ほ‥‥んとに‥‥入るのかな‥‥そんな、大きい‥‥っ」
 たしかに、俺も初めてしたときは驚いた。ほんとに女のアソコに入るのか? と思ったからだ。
 実際は、ほとんどの女が俺を受け入れたのだが。
「‥‥生で見るの初めてだろ?」
 優しく尋ねながら毛布を纏っている朱理の肩に手を置いた。
 朱理がコクリと軽く頷いた。彼女の視線が痛いくらいに俺の欲望を見つめている。
「コレ‥‥気になる?」
 軽く自分の手で欲望を握りしめた。
 そうやって、自分の棒はいつもよりも堅く張っているのがわかった。
「魁‥‥さわって‥‥みてもいい?」
 今、彼女の中にあるのは純粋な好奇心だろう。
「いいよ‥‥でも、俺にも朱理の触らしてよ‥‥ねっ?」
 朱理は少し悩んでいるようだった。返事を待つ時間がもどかしくて、彼女を包んでいる毛布を優しく取り除く。
「んっ‥‥魁‥‥」
「ほんとに綺麗だ‥‥」
 互いに一糸纏わぬ姿になり見つめあった。
 先に行動を起こしたのは朱理だった。いきなり手を伸ばし、俺のペニスを握ったのだ。
「うぁっ! 朱理っ」
 ぎゅっと握られて、ペニスはドクンドクンと勢いよく脈打ち、ただ握られているだけなのに脳天から下の方へ、ぞくぞくっと快感の電気が走り抜けた。
「‥‥すごい太くて逞しい‥‥それに、あつい‥‥」
 朱理は意識してやっているのかわからないが、俺のペニスを両手で上下に擦りつける。
「‥‥はぁっ‥‥」
 ぎこちない手の動きがくすぐったくて気持ちイイ。
「魁、きもちい?」
「うん‥‥‥‥きもち‥‥いよっ」
「ね‥‥どうしたら、もっと気持ちよくなるの?」
 ベットの上で彼女と二人。今、彼女の両手は、めいいっぱいペニスを握り、指先を使いながら俺を刺激する。
 その真上辺りに彼女の顔があり、俺を見ている。
「‥‥な‥‥なめて」
「えっ?」
「っ朱理が‥‥なめ‥‥てくれるなら‥‥俺‥‥」
 朱理は、少し迷っているようだった。
「‥‥ん、がんばる‥‥」
 小さな声で返事をした。そうして、きれいな朱色の舌を出して、俺の先端をぺろりと舐めた。
「あっ」
 フェラは初めてじゃないのに朱理が‥‥好きな女が舐めてくれるだけで、誰のより刺激的だった。
「んっ‥‥ぁっ」
 朱理は丹念に俺のペニスを舐め回した。優しくなぞるような舌使いがたまらない。
「んっ‥‥魁‥‥何か出てきたよ‥‥」
 そう言って彼女はべろりと舐めて液体をすくう。
「わっ!」
「ん~ちょっと‥‥変な味‥‥でも、嫌いじゃない‥‥」
 先走りをちろちろ舐めて味わい、再びペニスを攻めだす。今度は俺のふたつのお手玉を手でやわやわと揉みながらだ。
「はぁっ‥‥はっ、上手だよ‥‥」
 朱理は舐めながら目だけ俺に向けて、恥ずかしいような、照れくさいような感じで少し笑った。
(うわぁ‥‥すっげぇそそる‥‥)
「っっ朱理!!」
 立場が逆転した。我慢できなくなった俺は、朱理の肩を掴みベットに押し倒して彼女の上になる。
「っ、魁‥‥」
 身動きがとれなくなった朱理は苦しそうに俺の名を呼んだ。
「いきなりごめん‥‥でも、俺ばっか気持ち良くなちゃだめだしな」
 キスをした。何度も何度も、深く。ふたりのキスの濡れた音が、ぴちゃぴちゃと部屋に響く。
「っはぁ‥‥んんっ」
 キスをしながら朱理の太股を手で撫でる。
「あぁっ‥‥」
 彼女は気持ち良さそうに声を出した。
(そろそろかな‥‥)
 俺は太股のつけ根のラインを外から中へ撫で、素早く彼女の大事なところを指で捉える。
「ぁんっ!!」
 薄く柔らかにしげる陰毛は、すでにしっとりとしている。
(もっと‥‥濡らさないとな)
 指先で彼女の閉ざされている門を開く。
「いゃ‥‥魁っだめ‥‥汚いよぅ」
 まだ快感に身をまかせるのがこわいのか、彼女は少し拒んだが一時のことだった。
「大丈夫だよ‥‥ほら、こうすると気持ちいだろ?」
 開いた部分から小さくて、ふっくらと腫れたクリトリスを指でなぞった。
「あっぁあっ!」
 俺は親指をクリトリスに擦りつけながら刺激していく。淫らな声を出す朱理は、俺のなすがままだ。
「気持ちイイだろ‥‥でも、まだ足りないからな」
 そして、既にうるんでいる朱理の花びらを指先でいじくる。
「あんっ! やぁっ‥‥はっ」
「わぁ‥‥朱理の‥‥すげぇ濡れてきたよ‥‥」
 彼女は体を快感で軽く震わせている。大きい胸が左右にぷるぷると震えている姿を見ていると興奮の連続だ。
(あぁ~早く朱理が欲しいっ)
「あっあっぁん‥‥」
 俺は中指を朱理の花びらにゆっくりと埋めていく。
「ああぁっ!!」
 朱理は今までで一番大きい喘ぎ声を出した。
「んっ魁っ」
「まずは慣らさないといけないからね‥‥。‥‥すげぇ‥‥朱理の中、俺の指を締め付けて放さないよ‥‥」
 濡れているけれど、ざらざらとした感触の朱理の中は窮屈だった。
 指先で膣内を広げるように微妙な力加減で奥へ押していく。
「あんっあ‥‥ぅんっ」
「ちょっと、激しくするよ」
 俺は、自分の指をゆっくり出し入れする。
「やぁっんっんっ」
 少しずつ早めていく。
「だめぇっ魁‥‥あっだめだよっんっ」
「朱理‥‥我慢しないで、もっと声出して‥‥」
 俺の掌まで朱理の愛液で濡れてきた時に、彼女の中がひくひくとしはじめた。
「んっあっあっあぁっ!」
「あっ!」
 朱理の肉壁が俺の指をぎゅうっと締め付ける。
 その時、彼女は快感に顔を歪ませ、瞳は天を仰いでいた。
(きれいだ‥‥)
「朱理‥‥」
「ぁああっ!!」
 次の瞬間、朱理は背中を反らせ、イってしまった。
 しばらくすると彼女の中は弛緩し、俺の指はやっとのことで抜くことができた。

「んんっ‥‥はぁはぁ」
 朱理は吐息混じりの声を出した。
「まだ終らないからな」
 体をひくつかせている彼女の足を半ば強引に開き顔をうずめる。
「ぁっ」
 朱理は小さな声をあげたが、俺の舌は、すでに彼女のクリトリスを舐めていた。
「ひゃっ!!」
 突然の刺激に驚いたのか彼女は大きい声をあげる。
 けれど、そんなのはおかまいなしにぺろぺろと舐め、舌先を固くしながらクリトリスと花びら周辺を攻める。
「だめっ、はっはっ‥‥汚いからぁぁっ」
 口ではそんなことを言いつつも、彼女は淫らに腰を振っていた。
「汚くないっ‥‥おいしぃよっ‥‥」
 俺は夢中で朱理の愛液を味わい、手ではペニスをしごきたてる。
(すこしでも、濡らしとかないとな‥‥)
 なるべくなら彼女を傷付けたくない。
 しかし、彼女は初えっち‥‥きっと痛いことだろう、まして、ものすごい締めつけだなのだから。
「朱理‥‥俺お前ん中入りたいよ‥‥」
 俺は舐めるのをやめて朱理を見つめた。
「‥‥ん‥‥魁‥‥きて‥‥」
 彼女の顔は穏やかだった、けれど、握った手は微かに震えていたのがわかった。
 やはり怖いのかも知れない。
「‥‥やさしくするよ‥‥」
 俺はかなり真剣に言ったのだが、朱理は――
「あったりまえでしょ? さっき約束したよ‥‥」と笑って見せた。
 その姿がなんだか、いじらしく見えて、包みこむように抱き締める。
「魁? どうしたの?」
「‥‥こうやってると‥‥直接体温が伝わってくるなって‥‥安心する‥‥」
「ん‥‥わかるよ。‥‥‥‥ねぇ魁、‥‥平気だから‥‥」
「え?」
「魁と、こうしてることすごく幸せだし、怖くない‥‥怖かったらはじめからしないよ」
 ふと気が付くと、彼女の震えは感じなかった。
 ただ、互いに触れ合っている肌だけが焼けるように熱い。
「そうだな‥‥じゃあ、ちょっと待ってて」
 ベットの上の引き出しからコンドームを取り出した。
 封を切り、自分のペニスに被せていく。
 その行程を朱理はじっと見ていた。
(なんか‥‥羞恥プレイみたいだな)
 見られるということが、こんなに高揚感あるものだなんて思いもしなかった。
 今までの経験でも、相手に見られたってこんなに体が熱くはならなかったからだ。
「そんなじっと見るなよ‥‥何か恥ずかしいだろぉ」
 ゴムが装着できたので、朱理にゆっくりとのしかかっていく。
「‥‥魁、顔が赤いよぉ~。かっわいぃっ」
(かわいいのはそっちだろっ)
 彼女は初めてのくせに、余裕があるように感じる。
 これじゃあ俺の方が初めてみたいだ。
「そんなこと言って、からかうなら口封じだぞ」
 覆い被さるように朱理の唇を俺の唇に重ねる。
「ん‥‥っはぁっんっ」
「‥‥ぅんっ‥‥っ」
 ぴちゃぴちゃと唾を混ぜあわせ、舌を絡ませ、息を乱し、キスをする。
(好きだ、朱理が好きだ‥‥)
 何度キスをしても足りない。
 俺の想いをもっと届けたい。
 とうとう、俺は朱理の足を大きく開かせ、花びらに自分の欲望を押し当てて上下に擦りつける。
「ぁんっ‥‥魁‥‥」
「朱理‥‥入れるよっ‥‥?」
 彼女は返事のかわりに、俺の両手をぎゅっと強く握り締めた。
「‥‥いくよ」
 ぐっとカリの部分を朱理の花びらへ押し込む。
「ああっ!!」
(少し入れただけなのにっ‥‥何てきついんだ)
 自分のモノが雑巾を絞るように、ぎゅっと締め付けられる気がした。
 しばらくえっちをしていないせいもあって、今にもイキそうだ。
「朱理っ‥‥すごく、きつくて‥‥イキそうだよ‥‥」
 ふと彼女の顔を見た。
 朱理の顔は苦痛で歪んでいて、瞳を固く閉じている。
 体は気持良くても、心の奥にちくりと棘が刺さった。
(朱理が‥‥苦しんでる‥‥)
「‥‥痛いよなっ‥‥朱理‥‥やっぱりやめ――」
「――っないで!!」
「えっ?」
 朱理は閉じていた瞳を開くと、大粒の涙がこぼれだした。
 彼女の泣き顔は、おばさんの葬式以来だった。
「やめちゃっ‥‥だめぇ‥‥っ」
 ダダッ子のような声で彼女が言う。
「でもっ‥‥泣くほど痛いんだろ? なら、俺‥‥っ」
「痛いけど‥‥っ平気‥‥ただ、うれしぃ‥‥の‥‥」
「うれ‥‥しい?」
 不思議そうにしてる俺に対して、彼女は息を乱しながら微笑んだ。
「魁と‥‥ヒトツになれることが‥‥嬉しいのっ」
 その言葉を聞いた瞬間に、彼女のことを何よりも大切にしたい、守りたい‥‥と心の底から思った。
「朱理‥‥。じゃあ、二人で、もう少し頑張ろう?」
 彼女の瞼に優しくキスをする。すると、小さく頷いた。
「ゆっくり、ゆっくりいくからな‥‥」
 少しずつ彼女の奥へ進んでいく。といっても、中は窮屈でなかなか進まない。
「んっぁあっ‥‥ん」
「はぁっ‥‥朱理のっ、中がギュウギュウしてて‥‥っ気持ちいいよぉ」
 やっと俺のペニスは三分の二ほどが入った。薄目のシンプルなゴムだったので膣内のざわつきや締め付けがかなり伝わってくる。
「だってっ‥‥魁のぉっ、大きくて‥‥くるしっ‥‥」
 人様のペニスはどんなものかわからないが、前にえっちしていた女が『大きい』みたいなことを言っていたから、俺のペニスはそれなりにでかいのだろう。
「魁っ‥‥だんだん慣れてきたからっ」
 はぁはぁと息を乱しながら、彼女が言った。
 瞳にはまだうっすらと涙がにじんでいる。
「んっ、少し‥‥動くよ‥‥」
 ただペニスを彼女に埋めていくだけでもかなり気持ちいい。動くことで自分の快感を高めるが、なにより朱理に慣れさせるために腰をスライドさせる。
「朱理っ‥‥はぁっ、すげぇ‥‥」
 俺と朱理の結合部は愛液などでスライドやすくなり、さらに奥へと俺の欲望を貫いていく。
「んんっ‥‥魁っ‥‥」
 いくら慣れてきたとは言えやはり痛いのだろう。手を握る彼女の指先は、俺の手の甲に食い込んできていた。
 なるべく痛くないようにしてやりたいが、自分的にも限界に近付いているのを感じる。
「うっぁっ‥‥そんなっ締め付けんなっ」
 スライドするペニスの芯を絞りとるように朱理の膣は容赦なく締め付ける。
「あっ‥‥勝手にっなちゃうっ」
「はぁはぁっ‥‥朱理っ‥朱理‥‥」
 次第に余裕がなくなっていく。
 キスを繰り返し少しでも、彼女を気持ちよくしようと努めている間に俺の想いが、朱理の中に完全に入った。
「んっぁ‥‥全部っ‥‥入ったよ‥‥」
「はぁっ、魁の‥‥感じるっ」
「朱理っ、今から‥‥動くけど、なるべく俺の目‥‥見てて‥‥」
 彼女の中を四方八方まんべんなく腰を使って動いていく。
 朱理に目を見るよう言ったのは、目の方に注意を向けて、痛みを少しでもまぎらわすためだ。
 潤っている彼女の瞳からは、涙があふれ、朱理と俺を繋ぐ部分と同調しているように思えた。
「あっ‥‥ぁっん‥‥」
「うっ‥‥あっ、朱理っ‥‥俺もうっ‥‥!」
「ぁんっ‥‥いいよっ‥‥」
「ああっ‥‥ぅっ‥‥はぁっ、ぁっ!!」
 結合部からぐちゅっぐちゅっと淫らな音を出しながらラストスパートをかけ、腰を素早く振る。
 とまらない。
 俺のお手玉は朱理の花びらに何度もぶつかる。
「あっあっ‥‥んぁっ!! 朱理っ朱理っ!」
 何度も名前を呼ぶ。
「んっんっ‥‥魁っ、イってっ!!」
 俺のペニスは彼女の名前を呼ぶたびに、ぐぐっと堅くなり、朱理の奥の奥を刺すように貫いた。
「ああっ! イクっ!!‥‥でっでるっ」
「うぁああっ!!」
 その瞬間、俺の想いは放たれた。
「はぁっはぁ‥‥」
 二人で息を整えているけれど、結局、俺だけがイッてしまった。
(情けない‥‥)
 朱理をイかせられなかった。
 朱理は意を決して、処女を捧げてくれたのに。
 そんなイッたばかりで、まだ繋がったままの俺の体に彼女は優しく腕を回す。
「朱理‥‥ごめんな‥‥」
「‥‥なに?」
「俺だけ‥‥気持ちよくなっちゃって‥‥。痛いだろうし‥‥」
「痛いけど‥‥。私‥‥ヒトツになれただけで嬉しいって言ったでしょ?‥‥それに‥‥」
 彼女は俺の胸に顔を擦りつけてきた。なんだかくすぐったくて自然と笑みがこぼれる。
「それに?」
「次するときはぁ‥‥イカせてね‥‥」
 今にも消え入りそうな声で彼女が呟いた。
「当たり前だろっ」
 力尽きた欲望をずるりと朱理の中から引き抜く。
「ぁんっ」
 小さな声が彼女の口から漏れた。
「もう誰にも、渡さないから。絶対、俺だけのだからな‥‥」
「‥‥んっ」
 ぎゅうっと抱き合って、甘酸っぱい心地のベットに吸い寄せられるように、二人で深い眠りについた。

 次の日、先に起きたのは俺だった。
 目を開けると、朱理のあどけない寝顔がすぐ側にある。
(夢じゃなかったんだ‥‥)
 彼女の頬に触れて、なんとなく確かめてみる。
(暖かい‥‥)
 たしかに、そこにある。
 俺の大切なもの。
 今までは、味わえなかった幸福感。心の中まで暖かい。
 きっと、ほんとは気付かなかっただけで、幼い頃からわかっていたのかもしれない‥‥
 朱理と同じように‥‥
 これからは、見失わないよう、守り続けよう。
 いつまでも‥‥きみを。

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