三日間2

女性もえっちな妄想をしてもいいんです。
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アダルトな読み物のお部屋

三日間2
2021年07月11日 14時13分

3.

「短い間だったけど、みんな仲良くしてくれてありがとう」
 クラスのメンバーを前に、ネイスが教室で別れの挨拶をしている。
 一学期の終業式、ネイスは今日でこの学校を出て、明後日にはアメリカへと帰ってしまう。真琴は複雑な気持ちのまま“クラスの一員”として、ネイスの挨拶を聞いていた。
「よーし、んじゃあさ、今日はみんなでネイスの送別会しようぜ!」
 誰かが不意に言い出す。賛成の声が沸き上がった。担任の教師が口を挟む。
「送別会はいいが、お前ら酒は飲むなよ」
「せんせーさぁ、こんなにいい子な俺達に、なに分かりきったこと言ってんの!」
「その“いい子”が信用できん!俺が引率で付いていく」
「何?先生、自分も行きたかっただけじゃん?」
 笑いで賑やかな教室の中、真琴は一人溜め息をつく。残された時間を二人きりで過ごしたいと思うのは我がままだろうか。自分自身に飽きれた。
 結局その日はろくにネイスと話せる機会もなく[なにせ、他の女子がいつも以上に群がっていたので]、送別会から帰る時も、バラバラだった。布団の中で、このままネイスに顔をあわせることなく別れてしまうことになりそうで恐かった。
 結局、次の日になってもネイスと連絡が取れないまま、時だけが無情に過ぎていく。ネイスには携帯の番号も教えてなかったし、彼の家がどこにあるのかも知らなかったので、訪ねることもできない。真琴は昼間ずっと家にいて、彼が訪ねてこないものかとひたすら待ち続けたが夕方になってもその気配はなかった。どこか吹っ切れた気持ちになって、水着を持って家を後にする。時間は夕方の六時を過ぎていたが、日没が遅いため、まだ十分に明るい。
 グラウンドで練習している野球部の傍らを抜けて、屋外プールに向かう。
(許可‥‥取ってないけど、まぁいいか)
 慣れたもので、フェンスを軽く越えると着替えを済ませて泳ぎだす。
 止まらなかった。ただひたすら無心に水をかいて泳ぎ続ける。この時ばかりは、真琴の綺麗なストロークも乱れ、息も整わず、それこそめちゃくちゃだった。
 気付くと日が暮れていて、グラウンドの野球部もいつの間にかいなくなっている。真琴はぷかぷかと水に浮かんで、星の瞬きだした空を見上げた。まるで自分が空に舞い上がったかの様な錯覚に陥ってしまう。
 不意に足音が聞こえた。ハッとして真琴は身を固める。
(だ‥‥誰?)
 先生だったらそれで良い、怒られればそれで済む。だが‥‥。
 真琴はもしものことを考えた。辺りに助けを求める者もいない。
 段々と近づいてくる。それに比例して真琴の心臓も恐怖に震えた。
(来たっ!)
 ごくりと唾を飲む。足音の主がヒョッコリ姿を表す。同時に真琴は叫んだ。
「キャァーーッ!」
「真琴!?」
 聞き覚えのある声。フェンスの向こうには、ネイスがいた。
「やっぱりここにいた。家に行ったらいなかったから、ここじゃないかと思って来てみたんだ。でも‥‥よっと!」
 ネイスは言いながらフェンスを越える。真琴は脱力感で溺れてしまいそうになるのを、必死で立て直した。
「こんなに暗くなるまで‥‥。何かあったらどうするの?」
 プールの真ん中で自分を見つめている真琴に、少し強い口調で言う。
「僕だったからよかったけど、変質者とかだったら取りかえしがつかないんだからね」
 返事がない。
「真琴?聞いてるの?」
「‥‥め‥‥なさぃ」
「真琴?」
「ごめんなさい‥‥」
 真琴は泣きながら、それでもネイスに会えたことを嬉しく思った。
 ネイスは、やれやれといった笑顔を浮かべていたが、おもむろにTシャツを脱ぐと、
「泳いじゃおーっと」
と言って、ジーンズだけになった身体でプールに入った。泣いている真琴のところまで行くと、彼女の頭を撫でてキスをする。
「ごめん‥‥きつかった」
 真琴はその言葉に首を振ると、ネイスをぎゅっと抱き締める。
「もう、会えないかと思った‥‥」
 二人の身体が密着し、お互いの心臓の鼓動を感じる。
「もっと早い時間に会いに行こうと思ったんだけど‥‥親父の荷物の整理を手伝わされちゃって」
 ネイスが真琴の身体にキスを始める。
「くすぐったいよ」
 真琴は身体をよじらせながら抵抗するが、ネイスはそれを許さない。水着の上から真琴の胸を撫でる。
「っ‥‥ネイスっ」
 真琴は段々と気持ちが煽られていくのが分かった。ネイスは水着の上からでも分かるくらいに、ピンっと立った真琴の蕾を、爪の先でくりくりといじる。
「んっ!‥‥やぁん」
 そう漏らしてから真琴は焦った。声がグラウンド中に響いたような気がしたのだ。恥ずかしさが一層、身体を熱くする。ネイスは、手の甲で口を塞ぎ、声を出すまいと堪える彼女の腕を除けると、自分の唇で真琴の口を塞いだ。
「ん‥‥ふっぅ」
 真琴はうっすらと目を開ける。ネイスの左耳に付いているピアスが、月の光を受けてキラッと光った。
(綺麗‥‥)
 ぼんやりと見つめていると、ネイスが唇を離す。
「‥‥嫌?」
 真琴の黒い瞳を除き込んで聞いてきた。彼女がピアスに見とれて、何の反応も返さなかったので不安になったのだ。
「嫌だなんて‥‥そんなこと絶対ないよ」
 真琴はネイスをプールの壁まで押し、上にかぶさるような格好で、彼の鎖骨から首筋に向かうラインに舌を這わせる。
「焼きつけておきたいの‥‥ネイスの全てを」
 ネイスはクラクラする頭を小さく振る。真琴の腰を掴んで引き寄せると密着させた。既に膨張した自分自身が、ジーンズに戒められ、ズクズクと痛みだしたので、下に手を伸ばして解放しようとする。が、ひと足早く、真琴の手が彼のジーンズのチャックを開けた。中にそろそろと手を這わせていき、彼自身を優しく握る。
「ぁ‥‥ぅっん」
 先端に指の腹を当てて小刻みに擦ると、ネイスは目を細めて、小さくではあったが声をあげた。次第に先からトロリとしたものが溢れてくるのが分かる。
 ネイスは真琴を抱えると、自分自身と彼女の密部を擦りあわせた。水の中での触れるか触れないかといったもどかしい感触が真琴を狂わせる。はぁっはぁと息を荒げて互いにしがみ付きあっていると、不意に真琴の密部へ、ネイス自身が入り込むようにグッと押し当てられた。
「ぁっん‥‥ぃぁぁ‥‥」
 水着に邪魔をされて戻る。ネイスが真琴の水着を脱がせていくと、彼女の身体が闇の中にボゥッと浮かんだ。
「真琴‥‥綺麗だよ」
 愛おしむように見つめて、それからゆっくりと入り込む。真琴の密部も既に愛蜜で潤んでいて、ぬるぬるとしていた。
「ぅん‥‥あっぁぁ」
 途中から真琴も進んで腰を降ろしてくる。
「はぁ‥‥はぁっん」
「んっ‥‥真琴」
 真琴はネイスの首に腕を回す。二人が動く度に、プールの水がチャプチャプと揺れた。
「あっん‥‥ああぁん‥‥はっ‥‥はぁっ」
 ネイスが下から突き上げてくと、真琴はそれを慈しむように、きゅっと締める。無意識の行動だったが、彼にはそれがたまらなかったらしい。突き上げる度に締めつけられて、徐々に中から熱いものがこみ上げてくるのが分かった。
「っん‥‥はぁ‥‥真琴‥‥もうダメだ。出そうっ‥‥」
「はっんぅ‥‥う‥‥ん‥‥いいよ、私もっ‥‥イッちゃう‥‥」
 ネイスは真琴の腰をグッと掴んで固定すると、素早く上下した。その度に真琴の身体がビクビクと反応する。初めての時より、何倍も彼を感じる。それはネイスも同じだった。
「ネイスっっ‥‥!ああぁっ‥‥はぁぁぁっん」
「くっん‥‥あぁっ、真琴っっ!」
 動くのを止め、互いに身体中に駆け巡る快感に酔いしれる。真琴がネイスの胸へくたりと倒れ込んだ。
「大丈夫?」
 肩で息をしながらネイスが優しく聞く。
「‥‥うん。でも、ごめんね、しばらく立てそうにないみたい」
 もとからプールで泳ぎまくって、だいぶ消耗されていた真琴の体力は、これでカラになってしまったらしい。
「ん‥‥いいよ」
 真琴の頭を撫でながら、ネイスは微笑む。

 ヒュ~ッ‥‥ドドドン!――
 パッと辺りが明るく照らさせる。
「何?」
 真琴が驚いて顔を上げるとネイスが答えた。
「花火だよ」
 見上げると、向こうの河川敷から色とりどりの花火が打ち上げられていて、その下には屋台の明かりが並んでいた。
「今日、真琴と一緒に、あの花火大会に行こうと思って‥‥」
 ネイスは真琴に目を向ける、
「家に行ったらいないんだもん。焦ったよ」
「ほんとに‥‥お騒がせしまして‥‥、何と言っていいのやら‥‥」
 真琴は俯いたまま、もごもごと言ってネイスを見る。彼は暖かな瞳で彼女を見つめていた。
「良かったね、一緒に見れて」
 真琴に言いながら、ネイスは空を見る。
「うん!」
 真琴も答えると、ネイスにならう。
 絶え間なく上がっては開き、消えていく、赤や緑の花火の光が二人をほんのり照らしだす。しばらく眺めていると、沈黙を打ち破るように真琴が切り出した。
「明日、‥‥帰っちゃうんだね」
「‥‥うん」
 ネイスが少し沈んだ声で答えた。
「何時の飛行機? 見送りに行くから」
 少し間が開く。
「来て欲しいけど、顔を見たらきっと帰れなくなるから‥‥。辛くなるから‥‥」
「‥‥うん。分かった」
 真琴は涙がでそうなのを必死で堪えてそれだけ答えたが、不安になってネイスを見る。
「また、会えるよね?」
 すると彼は真琴を抱き締めて、
「もちろん!」
と即答し、
「真琴は僕の彼女だからね!」
と付け足した。

 花火も終わり、真琴の体力もなんとか回復したので、服を着て家路についた。家に近づくにつれて会話が少なくなっていく。
「それじゃ‥‥」
 真琴の家の前まで来ると、ネイスが真琴に言った。
「うん。元気でね」
「真琴も」
 真琴は頷き、門を開けて中に入る。その時ネイスは、とても大切な、一番伝えたかった言葉を、まだ真琴に告げていないことに気付いた。閉まりかけた門を開いて、驚いた顔の真琴を力一杯抱き締め、彼女の耳もとで囁く。
「愛してるよ、真琴。どこにいてもずっと、いつも愛してるから」
 真琴ははっと息を飲む。胸が苦しくて、とても悲しくて‥‥嬉しかった。きっと、人を愛するということは、こういうものなのだと思う。
「私も‥‥私も愛してるっ‥‥ずっと愛してる!」
 見つめ合って、少し長いキスをする。こういう時。愛する人を送る時。見せるものは涙じゃない。
 真琴は、微笑んでいた。

 翌日。
「いい天気!」
 プールサイドに立った真琴は、青い空を見上げてふと思う。
(もう、日本を発ったかな‥‥ネイス)
 俄然やる気のでた彼女は、勢いよくプールに飛び込んだ。

エピローグ.

 三年後――。

「あー!遅刻だ!紗矢、怒ってるだろうな~」
 支度をしながら真琴は半ベソをかいている。親友の紗矢と同じ大学に通い始めて二年と少し。彼女は心身共に健やかな女性へと成長していた。
 不意に、パソコンにメールが入ったのでそれを開き、文字を目で追う。読み終えた真琴は、
「きゃー!やったー!」
と万歳をする。すると、その喜びを邪魔するかの様に携帯が鳴った。
「もしもし。‥‥っごめん!すぐ行くから!」
 紗矢からの電話だったらしい。慌てて家を後にする。
 季節は夏。真琴は嬉しさに飛び上がりそうになりながら駆け出す。

To 真琴
驚かせたくてずっと黙っていたんだけど‥‥。9月から、そっちの大学に交換留学生として行けることになりました。7月末には日本に来る予定です。詳しいことはまた連絡します。とにかく、真琴に会えるのが楽しみです。
ネイス

 三年前、“三日間”で止まったままの二人の時間がまた動き出す。
 あのときと同じ、暑い夏――。

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