遥の恋愛事情3

女性もえっちな妄想をしてもいいんです。
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アダルトな読み物のお部屋

遥の恋愛事情3
2021年07月22日 14時29分
パイ投げ倶楽部

3.

 一回だけでいいんだって。フツーのエッチがしたいんだよう。
 ‥‥と彰は言う。
「エッチに普通も異常もあるかよ。好きずきだろ。だいたいフツーってどんなだよ」
「だからさぁー、なんつーの‥‥」
 彰は声を低めた。
 満月の夜、3回もセックスをした(そう、あれからまた一回やったんです)同じ公園のベンチだ。真っ昼間だから、家族連れやカップルで結構賑わっている。
「まず、ムギュッて抱き締めて‥‥チューだろ‥‥で、体のアチコチを触りまくって‥‥そんでクンニもして、まあこっちも触ってもらって、盛り上がってから正常位で‥‥とか」
「なんか盛り上がんねーセックスだな、それ」
「フツーはそれで盛り上がるんだよ」
 あたしはフフッと笑い、彰の耳に囁いた。
「でも、彰は喜んでたよな、フツーじゃないセックスで、こないだ」
「喜んでねー」
「そ? でも声とか、顔とか、すんげーセクスィだった。アソコもビンビンで」
「う‥‥」
「しかも、イクのもいつもより早かった」
 追い討ちをかけると、彰は顔を赤らめて、ぶーと膨れた。
「み、見てろよー。今度はこっちの番だからな」
 あたしは肩をすくめた。可哀想だけど、次も多分、あたしの好きにするだろうな。
「あ、ところで、あさってだけどさ」
 彰は口調を変えた。
「マジでベントー持ってくる? 南校との試合」
「あー、場所どこ」
「ウチのガッコ。試合は9時からで、そのあとミーティングだけど、昼過ぎには終る」
「ラジャ。応援にいったるから勝てよ」
「たりめーだよ。あ、俺ねー、食えねーモンはないけど、ハンバーグは絶対入れてほしいですっ」
 彰はニコニコ、というより、ニタニタ笑っている。あたしの肩を抱き寄せ、「遥の手料理かぁ‥‥」と何度も呟いた。
 まったく理解に苦しむ。女のつくった弁当が、それほど嬉しいものなのだろうか。
 とにかく、るりにハンバーグつくるよう命令しとかなきゃ、とあたしは心の手帳にメモをした。

「遥。ちょっとは手伝いなよ。もーほんとにぃ」
 日曜日、午前7時。
 あたしの家のキッチンに立ち、るりはせっせとベントーをつくっている。あたしはキッチンの床に座り、つまんないマンガを読んでいる。
「やーなこった。料理なんて阿呆くせーことできるかよ」
「自分でつくってないってバレたら、国坂先輩怒るよ、きっと」
 あたしは鼻で笑い飛ばした。
「あたしは『手作りベントー欲しいか』って聞いたんだ。『あたしの』とは言わなかったぜ」
「そーゆーの、へ理屈っていうんですっ」
 るりはプンプン怒りながら、色とりどりの惣菜を詰めている。ハンバーグ、卵焼き、鳥のチーズ焼きに野菜のマリネ。ざっと見ただけでも10品近くある。なんのとりえもない女だが、料理の腕だけはいい。別のタッパーには冷たいフルーツを詰め、温まらないよう保冷袋にいれるという丁寧さだ。
「なんか、量が多くねー? あたしは馬じゃねーぞ」
「だって、四人分だもん。今日楢崎くんとピクニックするんだー」
 るりはフフッと笑った。幸福の極み、といった表情だ。
「オベントつくるの楽しいよ? だって好きな人のためじゃん。遥もやればいいのに」
「こっちはお前と違って、セックスで満足させてるから、いいんだよ」
「もう‥‥あのねー」
 るりは唇を尖らせ、下を向いた。
「つきあうって‥‥それだけじゃないでしょ? カラダだけだったら、オベント作ってほしいなんて、国坂先輩言わないよ?」
「だから作ってやってるだろ、お前が。いいからさっさとしろ、ノロマのブス」
 あたしはなまあくびをかみ殺し、マンガのページをめくった。

 エプロンのポケットの中の、るりのケータイが鳴った。
「あれ、知らない番号だ‥‥なんだろ」
 怪訝な顔で応対したるりの顔が、さっと強ばった。
「‥‥はい‥‥はい‥‥」
 エプロンの裾をキュッと掴む。顔が青ざめていく。
「で、でも‥‥今日は、用事が‥‥ダメです。出かけるから‥‥あ、もしもし?」
 電話は切れたらしい。るりはケータイを畳み、無言でポケットに入れた。何も言わないので、こっちも詮索しなかった。シャワーを浴びたり、着替えたり、忙しいのだ。
「弁当できたんだろ? ほんじゃお前帰れ」
 言い捨て、シャワーを浴びた。髪を乾かしてから、ビキニの水着を着る。9月とはいえ、今日は真夏日なので、野球観戦がてら、日光浴をするつもりだ。背中が紐になったタンクトップに、ケツが半分見えそうなショートパンツを履き(母親に言わせると「痴漢さんいらっしゃいだわねー」という格好だ)、パンを生のまま食ってから、スニーカーを履いた。

 リュックにベントーを入れて、自転車に跨がったあたしは、玄関を出て30秒後に急ブレーキをかけた。
 るりが空き地の前にしゃがみこんでいた。ぼう然自失といった体だ。つくったばかりの弁当の中身が、そこらに散乱している。
「おい」
 あたしはるりの胸ぐらを掴んで立たせた。
「バカか? 何やってんだよ」
 るりは、のろのろとあたしを見た。すっかり放心している。
「つく‥‥つくり‥‥なおさなきゃ‥‥お弁当‥‥」
 さっきの電話のことが、頭に閃いた。
「あいつらか? ここに来たのかよ」
 るりは、あたしの手をもぎ離すと、タッパーを拾い始めた。
「もっぺん、つくらなきゃ‥‥あ、そうだ。なら、楢崎くんに電話‥‥」
「お前、言ってねーのかよ。あたしが後ろについてること」
 返事をしないので、頬をかるくひっぱたいて、顎を掴んだ。るりの目に、少し正気が戻った。
「だって‥‥だって‥‥遥は関係ないもん」
「あー関係ない。けど、弁当と交換条件だったろーが。で、楢崎にも言ってないな?」
 るりは首を横に振った。
「言わない‥‥絶対に、言わない」
「なんで」
「だって‥‥あたし、サッカーしてる彼を見てるのが、一番好きなんだ‥‥。楽しそうな彼を見るのが、一番好き。よけ、余計な心配、させたくないもん‥‥」
 目にどんどん涙が溢れ出した。
「あ、あたし、あたしさあ‥‥自慢できるよーな彼女じゃないでしょ。そんなことくらい、わかってる。その上、心配させて、迷惑かけたくない」
 こいつ、マジでアホだ。開いた口が塞がらない。そういう台詞は、自分で自分の身を守れるヤツのいうことだろうが。
「あたし、何されても‥‥別れない。ブスとか、しんじまえ、とか言われても、別れない。楢崎くんのそばにいたい。‥‥絶対、絶対、負けたくない」
 るりは涙を落とさなかった。手の甲でゴシゴシと目を拭き、唇を噛み締めて、花柄のタッパーを拾い、布バッグにしまいこんだ。
「るり!」
 背後で男の声がした。楢崎が自転車をガシャンと乗り捨て、こっちに駆け寄ろうとしているところだった。ヒーローの御登場だ。
「楢崎くん‥‥どうして」
 るりが立ち上がった。
「荷物が多いだろうから、迎えにきた‥‥なんだよ、何があったんだよ、これ」
 食べ物の散乱した道路を見つめている。るりは答えずに、あたしを見た。
「遥、急いでるんでしょ。もう行って」
 あたしはケッと笑った。
「おい楢崎。こいつを信用すんなよ。転んで弁当をぶちまけたとかなんとか、見え透いた嘘をつくだろうが、信用するな。誰がやったか、こいつの口から無理やり聞けよ。でねーと、一生嘘こかれんぞ、お前」
 楢崎の顔が険しくなった。
「どういう意味だよ」
「遥! やめてよ」
「るり。何があったか、説明してくれよ」
 どうせ、るりには言い逃れはできない。あたしはリュックから弁当を取り出し、楢崎に押し付けた。
「どーせ、こいつがつくったんだ。くれてやる」
 自転車に跨がり、あたしは風のように去ってやった。
 まったく、やってられない。30秒後、るりは泣き出すだろう。楢崎は怒ったり慰めたり優しく抱き締めたりの、文字どおり濡れ場になる。お涙頂戴の人のラブシーンなんか見てられっかての。

 マクドナルドの前を通り過ぎようとしたあたしは、窓ガラス越しに、5人の女どもを見た。あたしを弁当なしの苦境に追いやった張本人達だ。
 自転車を横倒しにし、あたしは店内に入った。
「ざまーみろだよねー」
「あいつマジ、生意気。あーむかつく。こんなんじゃ全然足りないよ」
「でもさー、どーせすぐ捨てられるよ。あんなブス」
「ブスだと?」
 あたしは背後から言い放った。ギクリと振り向いた女の髪を乱暴に掴んで、テーブルに顔を押し付けてやった。怒りのあまり、顔がニヤニヤ笑い出す。あたしは本気で怒ると、なぜか笑ってしまうのだ。
「自分の顔、よーく鏡で見てから発言したらどうだ」
「な、なによ、あんた、やだ、何やってんのよ!」
 向い側に座った女が喚いた。
「うるせえ。黙れ」
 コーラのコップを掴んで、ぶっかけてやった。ついでに、二人の顔を、続けざまに張り倒した。派手な悲鳴があがる。店内の客が、凍り付いたようにこっちを見たが、どうでも良かった。
「あたしのことはわかってるよな? 噂は全部本当だぜ。しかも、磯村るりの隣人だ。その悪い頭によーく叩きこんどけよ、低能ども」
「お‥‥お‥‥お客様‥‥あのう」
 アルバイト従業員の男が、ビクビクしながら声をかけた。
「ハンバーガーもポテトも食わねーよ。セットもいらねー」
 あたしは店の外に出た。まだ、むしゃくしゃがおさまらない。畜生。彰になんて言い訳すりゃーいいんだよ。あんなに弁当を楽しみにしてるのに!

 彰の不機嫌は直らなかった。
 試合の後あたしの部屋に来たが、いつものように発情はせず、ブスッとしたままだった。
 転んで、弁当を落としてしまった、と見え透いた言い訳をしたのは、るりではなく、あたしだった。だが、彰は全然信じていないようだ。
「転んだにしちゃー、ケガしてないみたいだけどな」
 ジロリとあたしの全身を眺める。
「柔道の受け身の訓練してるからな。でも弁当はかばいきれなくて」
「ホントにつくったのかよ?」
「つくったよ」
 るりが、と心の中で付け加える。
「いいかげんに機嫌直せよ。試合も勝ったんだしさ」
 そう、16対0のコールド勝ちで、試合はあっという間に終ってしまったのである。
「試合に勝ったのは、お前のせいだろ。そんなカッコで来るから、相手が試合に集中できなかったんだよっ。ウチの連中はもう慣れてるからいいけど!」
 そう言えば、ヨダレを垂らして見られていたような気もする。
「遥なあ、少しは女らしくしろよ。人前で股開いて、内股を掻くのもやめろよな。そんなカッコもどーかと思うぜ俺は」
 弁当がないので、つまんないケチをつけられている。あたしはボリボリと首筋を掻いた。
「わかった。ペナルティーつけていいよ」
「ペナルティー?」
「今日はなんでも言うこと聞いてやる。だから機嫌直せよ、な?」
 あーあ。男の機嫌をとるようじゃ、あたしはもうオシマイだあな。

 ‥‥という訳で、あたしはその日、彰の奴隷に身分を落とした。
「じゃ、女の言葉で話して」
 というので、その通りにした。
「フツーのエッチがしたい」
 はいはい。その通りにします。
 フツーのセックスというのは、こないだ彰が言ったようなことだ。好きに触らせて、順を追って挿入。体位も基本的には男任せ‥‥という常道である。
 あたしが素直に承諾すると、彰はかなり機嫌を直した。
「ぜーんぶ、好きにさせてもらうよ」
「はい、どーぞ」
 彰は拳を握り締め、控えめなガッツポーズを取った。
 まず、お姫様だっこをしてベッドに運ぶ。
 そのままあたしをベッドに横たえて、何度もキスをした。服を脱がせられていく。彰はおっぱいを10分以上も触りまくり、文字どおりあたしの身体中を「好きにした」。アソコに至っては何分舐められたか、定かではない。もちろんかなり気持ちいい。だが、長時間の受け身が性に合わないあたしは、あの満月の夜の、彰の妖しい姿態を思い浮かべて自らを濡らした。
「ああん‥‥気持ちいい‥‥」
 あたしは彰の頭を掴み、顔を上げさせた。
「ね‥‥シックスナインしたいの。遥に舐めさせて。お願い」
 あたしは命令のかわりに、可愛い声で懇願した。その気になれば、こんなことくらい屁でもないのだ。男をオトすときのにみ、あたしは女言葉をバシバシ使うから。
「うん、いいよ」
 彰の顔がゆるんだので、これ幸いとばかりに体勢を変えて、彼のモノをしゃぶった。
 ああ、すぐに入れたい。いつもなら、もうとっくに挿入しているのに‥‥と思いつつ、彰の舌で気持ち良くなってきた。
「あ‥‥いいぃ‥‥いい感じ‥‥」
 勝手にくねろうとするあたしの腰を抱えて、彰はピチャピチャと舐め続ける。あたしは彰の性器をねっとり、じっとりと舐め回した。唾液まれのサオを摩りながら、睾丸を口に含むと、彰は「うくっ」と呻いた。続いて、サオを奥の奥まで銜え、上下運動をする。逞しいペニスはますます固く、恐張していく。
「彰‥‥すっごいおっきくなったよ‥‥入れたいな」
 あたしはくるっと体勢を変え、彰の顔まで戻った。
「入れていい?」
 にこっと笑って聞いたが、彰はフッと鼻を鳴らした。
「ダメ」
「なーんで。入れたいくせにさあ」
「今日はなんでも言うこと聞くって言ったよなあ」
 彰の顔が、ビシッと厳しくなる。
「言いました」
 どんな顔したってチットも怖くないが、とりあえず神妙に頷く。
「じゃ、ちゃんとおねだりしてみて。かわい~くな」
 彰はあたしを押し倒し、ガッと脚を開かせた。ペニスの先端を股間に押し付ける。
「おねだりして。でなきゃ、入れてやんない」
「入れてくだちゃい」
「じゃなくて、もっと女っぽく」
 あーあ。なんでこいつのセックス・ファンタジーにつきあわなきゃいけないんだ‥‥。まあ今日だけの我慢だからな、仕方がない。
 あたしは、すう、と息を吸った。
「ねえ、入れて‥‥もう我慢できないのぅ‥‥お願い」
「おぉ‥‥いい感じ」
 彰はニヘッと笑み崩れた。
「あーん、早く入れてよう。彰が欲しいのよう。早くぅ~‥‥」
「しょうがないなあ‥‥じゃ、入れてあげよっかなぁ」
 ケッ。何を偉そうなんだよ。
と思いつつ、そういう顔も可愛いかったりする。ズブッと先端が埋まったが、彰はすぐに抜いた。
「あんっ、彰」
「入れたよ、ホラ」
 また同じことを繰り返した。それを数回やられると、叩き殺したくなった。
「やだあ、ちゃんと入れてよ」
「遥。目に殺意浮かんでんぞ」
 彰はプッと吹き出した。あたしの髪を撫で、鼻の先と先を合わせた。
「もっぺんだけ‥‥入れてほしいって言って。聞きたい」
 いい低音である。あたしは一気にその気になった。
「入れてほしい‥‥入れて」
 最大限に甘く囁く。
「お願い、も」
「お願い」
 次の瞬間に貫かれた。うわ‥‥すんごい気持ちいい。
「ああ‥‥っ、すご‥‥おっきい‥‥」
 彰はあたしを片腕で抱き締めながら、ゆっくりと動いた。カタツムリのほうがまだ早いようなスピードだ。明らかに焦らし、あたしに懇願させたがっている。彰のなかのSが膨れ上がり、蠢いているのだ。どうやら、あの満月の夜以来、そういう欲望が高まっているようだ。
「いや‥‥もっと激しくして‥‥」
「あ、その『いや』っての、いいなー」
 彰はフフッと笑った。心から楽しそうだ。たが、動きを速めることはなかった。その代わり、念入りに腰を使い、あたしのアソコをくまなく刺激していった。
「あ‥‥はぁん‥‥んっ」
 我慢できない。こんなスローペースじゃ、おかしくなってしまう。気持ちいいのに、永遠にイケないもどかしさがある。
「彰‥‥もっと動いて。もっと突いてよう‥‥」
「だめ。これが楽しいの」
「馬鹿ぁ‥‥イジワルなんだから、もう」
「わーゾクゾクする‥‥もっと言って」
「いやん‥‥恥ずかしいこと、言わせないで‥‥」
 彰がブルッと震えた。ズルリとペニスを抜き、声を低めた。
「じゃ、突いてあげる。そのかわり‥‥うつ伏せになって」
「え‥‥」
「ほら早く‥‥。突いてほしんだろ?」
「イヤ‥‥」
「イヤ、じゃないの。言うこときかないと、突いてあげないよ」
 あたしは、しぶしぶ、といった風にうつ伏せになった。実際は、とっくにもうこの展開の予測はついていたのだが。
「もっとお尻あげて‥‥」
 四つん這いになり、腰を高く持ち上げる。彰からは全部丸見えの格好だ。
「うわ‥‥なんか視覚的にそそる‥‥」
 つつう、と指がアソコをなぞった。
「ぁんっ」
「すごいなー‥‥ビショビショだよ」
「いやぁ‥‥イジワル言わないで、早く入れてぇ」
 あたしは尻を振った。よしよし、と満足げに言いながら、彰は先端を当て、グニグニと刺激してから、一気に奥まで入れた。
「きゃあんっ」
「すげー‥‥いい眺め」
 彰はひどく興奮している。
「ああん‥‥恥ずかしい‥‥感じるぅ‥‥」
「バック嫌いなんじゃなかったの」
「だって‥‥彰のおっきいんだもん‥‥こんな‥‥あ、あんっ!」
 いい感じのスピードで突かれ、あたしは甘い声をあげた。おまけに、クリトリスまで触られている。
「ひぅっ‥‥ぃあっ‥‥」
 クリトリスをキュッと引っ張られた。
「あくぅっ!」
「感じる?」
「感じる‥‥感じるぅ」
「どこが感じるの?」
 彰はあたしを抱き起こした。座らせて、後ろから抱き締め、また突き始める。完全に息があがっているが、まだクリトリスを弄っている。
「どこが感じるの‥‥言って」
「うぅ‥ん‥‥そんな‥‥恥ずかしい‥‥よ」
「どこ触られてんのか、言えよ、遥」
「あ‥‥ん‥‥クリ‥‥トリスぅ‥‥」
 彰は極度に興奮してきたらしい。ホントに好きだなぁ、と可笑しくなりつつ、あたしは喘いだ。
 あたしの膝の裏を抱え、子供におしっこをさせるような格好にさせた。AVで良く見る体位だが、やったのは始めてだ。
「あっいやあ‥‥こんなの、恥ずかしいよぅ」
「嘘つけ」
 彰はちょっと笑った。半分は演技だとわかって、楽しんでいる。彰って、けっこう度量の大きい男かもしれない。
「彰ぁ‥‥ぁあん‥‥もっと、もっと突いて‥‥」
 あたしの言葉に、彰は再び体を倒した。
「だめぇ‥‥前から‥‥前からしたいの」
「次は前からしてあげるよ」
「あんっ、もぉ‥‥」
 あたしは犬のような格好のまま、突かれまくった。尻を抱えられているので、あまり動けない。
「イヤぁ‥‥はぐうっ、はあぁん」
 気持ちいい。これはこれで、違う官能がある。彰に犯されていると思うと、ゾクッとしてしまう。他のヤツなら蹴り殺すけど、彰ならいい。
 ゆるゆると波が高まってきた。あたしは抵抗しなかった。彰はいっそう激しく動いた。肉と肉が叩き付けられる。あたしはシーツを掴んで呻いた。
「あ‥‥く‥‥イク‥‥遥、いっちゃうよぅ‥‥」
「ん‥‥イッて‥‥おれも、すぐイクから‥‥」
「は‥‥っ、ああ、彰っ‥‥あああっ!」
 あたしは先にイッた。
 完全に力の抜けたあたしを、彰はまだ突きあげている。
「はくっ‥‥イクよ‥‥うぐっ!」
 彰は中で果て、そのままあたしの上に崩れ落ちた。胸を掴み、激しく喘いでいる。
「うわー‥‥超興奮したぁ」
 ハアハアと荒い息が首筋にかかる。
「遥、可愛いー」
 グシャグシャとあたしの髪を撫で、ぎゅむっと抱き締めた。
 可愛いのは、そっちのほうだって。
「んーもぉ、彰のイジワル‥‥」
「でも、感じてただろ。マジな話」
「うん。すごく感じてた。良かった」
「だろ、だろぉー? やっぱなー」
 彰は嬉しそうにイヒヒと笑う。
「じゃ、これからも、こーしていいよな?」
「ペナルティーがついたらね」
「えー」
「だって、彰の顔見れないんだもん。切なすぎ」
 あたしはつい、いつものようにニヤついて、背後に手をまわして彰の尻を掴んだ。彰はペニスを抜いて、あたしをくるっと仰向けにした。
「俺だって遥の顔見てしたいよ。でも夢だったんだよな。一度こうしてみたくて」
 あたしは彰の首に手を回した。
「他には、どんな夢があるの?」
「えっと‥‥色々。恥ずかしくて言えないけど」
 彰はプクク‥‥と一人で笑った。丈夫な歯列をサッと見せる、この笑いかた。あたしは一瞬、甘い思いに満たされる。
 参ったねマッタク。あたしは愛くるしいこの男に、心底惚れてしまっているらしい。
 彰の唇が近づいてきて、あたしたちはキスをした。
 長い、ものすごく長いキスだった。

 天網恢恢疎にして漏らさず、という言葉がある。
 要するに、悪事は必ずバレるという意味だが、まさにその通りになった。
 彰と楢崎は仲がいい。
 弁当の件は、あっさりとバレてしまった。つまり、あの弁当はあたしではなく、るりが作ったということがだ。「話がある」と、怖い顔の彰に学校の屋上に連れていかれた瞬間に、あたしはそれがわかった。あたしは異常に勘がいいのである。るりの奴、楢崎に口止めするのを忘れたらしい。あのバカ、許せない。
「弁当、隣の子につくらせたんだってな?」
 彰の形相が変わっている。まるで仁王の顔だ。「国坂くんって、カッコいいけど怖い」という一般の評価も、頷ける顔つきである。
「はい。すいません」
 あたしは謝った。言い争うつもりは、全くないのだ。
「マジですいませんって思ってんのかよ。何でそーゆーことするんだよ?」
「せっかくだから旨い弁当食わせてやろうと思って」
「はあ~?」
「あたし料理できねーんだもん。腹下してもいいのかよ」
「上手い不味いの問題じゃないだろ。そーゆーやり方が信じられないって言ってんだよ!」
 彰は怒鳴ってから、フーッと鼻息を吐き出した。
「遥。おれの言ってる意味、わかってないんだな」
「わかってるって」
「わかってない」
 彰は冷ややかな目付きになった。
「お前がやったのは、嘘だぜ。俺に嘘をついたってことだ。俺はお前が女らしくなくたっていいよ。料理がヘタだとか、そんなのはどーでもいい。下痢なんか幾らでもしてやるよ。でもな‥‥嘘だけは絶対我慢できねー。人に弁当つくらせて、涼しい顔で嘘つくなんて、その神経も理解できねーよ」
 徐々に低い声になり、彰は言葉を切った。マジで怒っている。あたしは途方にくれてしまった。誰が烈火のごとく怒ろうが、親や教師に怒られたって、針の先ほども気にしないあたしなのだが、今回だけは困った。惚れた弱味ってヤツだ。
「悪かった。ごめん。じゃ今度はちゃんとつくる」
「いいよもう。なんかお前のことなんか、信用できねー」
 言い捨て、彰は後ろを向くと、屋上のドアを開けた。

 あたしはその日、るりを思いきり苛めてやろうと、煮えたぎる怒りを抱えて家に帰ったが、考えてみればアホらしいのでやめることにし、部屋で考え事をしていた。すると、珍しくるりがやってきた。神妙にうつむいている。
「ごめん遥‥‥。あたし、楢崎くんに言うの忘れちゃって‥‥」
 あたしはジロッとるりを睨んだ。
「帰れ。バカ女」
「ほんとごめん。遥、あの人たちに何か言ってくれたんだよね‥‥。昨日も今日も、何もしてこなかったし‥‥なのにごめんね。国坂先輩、すっごく怒ってたでしょ‥‥楢崎くんも『まずいこと言っちゃった』って困っちゃって」
「うるせーな。考え事してんだよ。帰れよ」
「ね、遥」
 るりは顔をあげてあたしを見た。
「今からさ、お弁当つくろ? あたし教えてあげる。国坂くんにお弁当つくって、持っていきなよ、ね?」

 るりはてこでも動かなかった。
 あたしは全く興味のない料理をするハメになった。セックスばかりしてても、主要科目98点以下を取ったことがなく、運動部でもないのに、50メートルを6秒台で走れるあたしが、これだけはダメだということをやる、その辛さといったらない。
 「最も簡単なおかず」だという、ソーセージ炒めだとか、ホウレン草のバター炒めだとか、ウズラのゆで卵、オニギリなんかをつくっていると、苛々して気が狂いそうになった。
「怒ってたら、美味しいものつくれないよ」
 るりは笑い、説教までこいた。
「遥は嘘ついたんだから、ちゃんと謝らなきゃだめなの」
「うるせーな。お前は指示だけしてりゃいいんだ」
 ブサイクな弁当ができあがると、るりは「はあーできた‥‥」とため息をついた。
 すでに夜の8時を回っている。彰はとっくに夕飯を済ませただろう。
「今から行きなよ。きっと食べてくれるよ」
 るりはあたしを急かした。こいつに指図される日がこようとは、あたしもヤキが回ったものだ。
「お前、楢崎にフェラチオしてやったのか?」
 悔しいので、からかってやった。
「えっ、何よ?」
「まだやってないんだろ。喜ぶぜぇ。まあ、今度やり方を教えてやってもいい」
「やめてよ、もうっ!」
 るりは真っ赤になった。
 あたしは弁当をリュックに入れ、夜道を自転車で走った。途中、ケータイに電話をしたが彰は出なかった。シカトをこいている。

 彰の家はマンションの3階だ。部屋に灯がついている。あたしは小石を拾い、狙いを定めて投げた。3回投げて3回とも命中した。
 窓が開いた。あたしは彰に向かって手をあげた。彰はこっちを見ているようだが、表情まではわからない。ケータイに電話すると、今度はちゃんと出た。
「なんだよ」
「ベントー配達に来ました。お夜食にいかがでしょうか」
「‥‥なにそれ」
「まずいまずいベントーをつくってみた。食ってくんない?」
「いらねーよ」
「腹下しても食うって言ったじゃん」
「いらねーよ。お腹一杯なんで」
「じゃ、ペナルティーつける」
「またかよ」
「今度は、一日だけじゃない‥‥彰が飽きるまで、好きなことしていいよ」
 彰は答えない。あたしは少し笑った。
「オプションもつけようか? 毎日下痢させてあげるよ。あたしのベントーで」
「切る。帰れよ」
 彰は窓を閉めた。同時にケータイも切られた。もう一度かけてみたが、電源を切ったらしく、繋がらない。
「ふん‥‥長期戦といきますか‥‥」
 あたしは路上に座り込んだ。
 見上げると、太ったアーモンドのような月が出ている。
 あの美しい満月の夜から、もう一週間が経った。次の満月にも、彰と同じことをしたいと思う。10月だから全裸はいい加減寒いかもしれないが、ゾクッとするような恍惚を浮かべた、彰のあの顔をもう一度見たい。あの日、あたしだけではなく、彰の中の獣も、確かに蠢いたのだ‥‥。

 あたしは、ストーカーさながらに、辛抱強く座り続けていた。自販機で缶コーヒーを買って飲み、動いていく月を見つめていた。たぶん、こういうのも乙女のファンタジーというか、狂気なんだろう。閉ざされた窓の前で、じっと佇むっていうのがね。
 なあ、るり。そうなんだろ? お前から、いかにもやりそうだよな。あんだけ、楢崎のこと好きなんだもんな。何されても別れないって断言しやがった。まったく、お前はバカで弱虫で間抜けだけど、実に見上げた女だよ。根性が据わっている。あたしが男なら、やっぱり楢崎みたいに、お前みたいなイジらしい女のトリコになるかもしれない。だから、今晩だけちょっとマネをしてやるよ‥‥。

 二時間以上経ったが、窓は開かない。
 王子様は塔の天辺に閉じこもって、一人で怒っていらっしゃる。無力な娘は塔に昇る手段もなく、ただ黙って待っている‥‥。つまり、これが現代の『ラプンツェル』の話って訳。
 そんなことを思いながら、あたしは、少しうつらうつらし始めていた。
 ケータイが鳴った。彰だった。
「お前なあ、そんなとこで、寝てんじゃねーよ」
 王子様らしからぬ、乱暴な口調だ。見上げると、窓が開いている。
「‥‥今から降りてくから、待ってろ。ベントー食う」
 彰は言った。
「マジでまずいよ」
 あたしは言った。
「覚悟の上だよ」
 彰はほんの少し笑った。
 通話を切ると、あたしはケータイにチュッとキスをした。
 さてさて、怒りのとけた可愛いあたしの王子様は、今宵のキスを許してくれるだろうか?
 変な話だが、少しばかり泣きそうになった。そんな自分が可笑しくて、あたしは小さく笑いながら立ち上がった。

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