恋のからさわぎ3

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恋のからさわぎ3
2021年07月27日 00時26分
Tokyo Bondage Review
DUGA

3.

 俺は3日間、学校を休んだ。殴られたのが頭なので、一応は安静にしていないとまずいらしい。
 遥は毎日見舞いにやってきた。両親の前での遥は、聞いたこともないような上品なしゃべりをして、にっこりと微笑んでいた。お人よしの両親はすっかり騙され、特に父親は、「遥ちゃんは、成績スゴクいいんだってね?」などと聞きながら、鼻の下がデレデレと伸びていた。「ウチに嫁にくるか?」という爆弾発言までして、母親を呆れさせていたが、遥は「そんな、まだ高校生ですし‥‥」と、清純な乙女のように恥じらってみせた。鳥肌がたって全身がカユくなった。

 4日目に登校した。
 例の3年生らと廊下で顔をあわせたが、腕や頭に包帯を巻いた奴らはギクッと飛びのいて、コソコソと逃げた。遥の脅しがどんなもんだったか、容易に想像がつく。なんだか気の毒ですらある。あの遥にチョッカイを出したのが、全ての間違いのモトなんである。
 一週間後には部活に復帰できたが、遥とエッチできたのは、それから更に4日後のことだった。
 土曜日、ヤル気まんまんで遥の家に行くと、彼女の両親がいたので腰を抜かしそうになった。
「あ、どーもどーもぉ、はじめまして」
「あらぁ、遥の彼氏?」
 両親ともに、カルいノリである。お母さんは女優のような美人だ。父親もカッコいい。
「いやー、ウチの娘なんかと、よくつきあってるね、キミ」
「ほんとよね。こんなガサツな彼女、嬉しくないでしょ?」
「うっせーんだよ。さっさと出かけろよ、邪魔邪魔」
 遥はリビングのソファーに寝そべってテレビを見ていた。
 遥の両親は、これからミュージカルを観に行き、夜景の見えるレストランで食事をするのだと、聞きもしないことを説明してくれ、腕を組んで出かけてしまった。華やかな雰囲気に圧倒された俺は、はーとため息をついた。頭のハゲかけたウチの父親、中年太りの母親とはエラい違いである。
「なあ、すんごい若くねー?」
「いいトシこいてベタベタしやがって、キモいったらねーよ。留守がちで幸いだぜ」
 遥はソファーから降りて俺に近づくと、首を引き寄せてキスをした。
「今日は復帰祝いだから、なーんでも言うこときいてやる」
「え、ホントぉ?」
 俺はニタッと笑って、彼女を抱き締めた。
「もちろん」
「何でもって、ホントに何でもいいの?」
「そうだよ‥‥」
 遥は色っぽく囁き、俺の手を引っ張って自室に連れていった。
 脳みそがピンクに染まるほど嬉しい。いったい何週間振りの、まともなエッチだろうか。
「‥‥でも、今日は、なんか小道具とかないよね?」
 彼女の背中を抱きながら、疑心暗鬼で聞いた。「言うことをきいてやる」と囁かれても、油断大敵である。
「小道具って何」
「だから、縛るものとか、ハサむものとか、入れるものとか‥‥」
「ああ、使ってほしいのか」
「逆だ!」
「喜んでたくせに」
「うっさい」
 彼女をベッドに押し倒し、服の上からおっぱいを揉んだ。うー、相変わらずいい揉み心地だ。この大きさ。形。弾力。俺は絶対貧乳の女とはつきあえねー、と改めて確信がうまれる。
「あ‥‥キモチいい」
 遥はため息をついた。
「揉みかた上手くなったな。ブスな看護婦相手に練習でもしたか?」
「まーな。でもブスじゃなかったよ。美人だった」
 俺はニヤニヤ笑って言い返した。
「遥チャン、ヤキモチ焼きだもんなー」
 Tシャツをめくり、ブラの中に手を突っ込んで、モミモミした。
「ん‥‥」
「遥がヤキモチ焼くとこわいからなぁ、看護婦サンなんか、目も合わせませんでしたよ、マジでワリと美人だったけどよ」
 ちょっとからかっただけなのに、遥の目に殺意がふっと浮かんだのでビビッた。陰嚢がキュッと縮む。無駄口はやめて、行為に集中しましょう。
 ブラを外して、薄いピンクの乳首を、赤ん坊のように吸い上げた。もうたまんない。俺はおっぱいフェチなんである。ずっとこうしていたい‥‥。死ぬときは遥のおっぱいに顔を埋めて死にたい、とすら思う。
「‥ー」
 胸の谷間で顔をぐりぐりすると、ついヘンな声が出る。遥がブッと吹き出した。あ、笑ってくれた、と嬉しくなり、俺はつい鳥肌もんのセリフを言ってしまった。
「好きだよ、遥‥‥」
 言い終わったとたん、笑顔のまま強ばった。キザな抑揚までつけちゃって、とっても恥ずかしい。穴があったら入りたい‥‥。
「もっぺん言って」
 遥はそらとぼけて言った。
「え‥‥」
「よく聞こえなかった。もういっぺん、ハッキリと」
 俺の頬を両手で掴み、目を覗き込む。よく光るタイガー・アイが俺を見ている。
「しゅきです」
 仕方なく繰り返した。
「んー? さっきは、そんな口調じゃなかったよなあ」
「好きだ‥‥よ‥‥」
「聞こえないよ」
「好きだよぅ!」
「誰が、誰を」
「俺が、遥を好きなんですっ!」
 やけくそで怒鳴った。
 これはもう立派な羞恥プレイではないだろうか。くっそー、悔しい、と赤くなっていると、キスをされた。ディープキスをして唇を離した彼女は、白い頬をニヤッと歪ませた。
「よし。チャラにしてやるよ。こないだの浮気は」
 浮気なんかしてねー、と反駁したかったが、やめといた。るりちゃんの言葉を思い出したからだ。

――たぶんね‥‥傷ついたんだと思います。めちゃくちゃ。

 この遥が「傷つく」など、あまりにノーマルすぎて変てこな気分だ。
 でも、良く考えてみれば、「傷つかない」ものなんて、この世には一つもないわけだ。百獣の王ライオンだって、ケガのひとつもするだろう。最も硬度が高いとされるダイヤモンドだって、絶対に壊せないほど硬いなら、指輪だってつくれない訳だし。
 でも彼女の傷は、きっと癒えたのだと信じたい。そもそも傷つく必要なんか1ミクロンもありゃしない。だって俺が好きなのは、とっても怖い、この女大魔王だけなんだからな。

「目、閉じて」
 俺は威厳をこめて言った。「今日は何でも言うことをきく」というセリフを、唐突に思い出したからだ。久々に聞いたセリフだが(前回は弁当の件だった)、何度聞いてもいいものである。
 遥は素直に目を閉じた。
「んで‥‥女モードに変身してくれる?」
「変身って何だよ。あたしはアニメか」
「いいから」
「はいはい」
 遥は口をつぐんだ。
 遥の髪を指で梳きながら、顔を鑑賞する。精巧な彫刻のように整った、小作りの顔。鼻から唇にかけてのラインが、特に女っぽくて大好きだ。
 唇に軽くキスをしてから、鼻先に、ほっぺたに、耳へと唇を移動させていく。薄い貝殻みたいな耳にそっと愛撫を加えると、遥は小さな笑いを漏らした。感じるというよりは、くすぐったいらしい。
 最近では、俺達のエッチの好みはかなり融合し、彼女もだいぶ受け身に慣れてきた。絶対的に騎乗位を愛する女だが、どんな体位でも「感じる」と言う。
 蒼い血管の透いた首筋にキスをし、またおっぱいに戻る。あんまりここばかり弄っていると、遥がイライラしてしまうのだが、今日は思う存分、好きに触らさせて頂きます。
 たわわに実った白桃のようなおっぱいを両手で掴んで、内側から外へ、外から内側へ、上へ下へと方向を変えて揉む。色んな形に変わるのが楽しくて、やらしい笑みがこぼれる。
「あ‥‥すっごい感じる‥‥」
 遥の声が甘い。
「やん‥‥なんかたまんない‥‥彰、服脱がせて‥‥」
 セクスィに体をねじりながら、俺を見つめた。『演技』なんだろうな、と思いつつも、巧みな演技に騙されることが嬉しくもある。
 3倍速のスピードで服を脱ぎ捨て、遥をパッパッと全裸にしてしまうと、さっそくおねだりをした。
「あのさ、実はしてもらいたいことあるんだけど‥‥」
「ん?」
「胸の谷間でねー、こう、俺のをですね‥‥」
 パイズリ、なんて表現はちと恥ずかしくて言えない。
「ふふ‥‥エッチなんだから」
「まーね」
 へへへ、と照れ笑いをしてしまう。
「あん‥‥彰のおちんちん、すっごいおっきくなってる‥‥」
 遥は優しくサオを掴み、谷間にムニュッと挟んでパイズリをしてくれた。
「わ‥‥スゲ‥‥」
 それだけでイキそうになってしまった。
 上下のお口に比べると快感はないのだが、見た目がハンパじゃなくイヤらしい。柔らかな二つの山に挟まれた我がムスコは、喜びの声を上げているように、ビクンビクンと動いた。
「あーなんか俺、めっちゃコーフンしてきました‥‥」
「これで舐めたら、イッちゃうかな」
「うん‥‥たぶん」
「舐めてほしい?」
 遥がチラッと見上げた。
「うん、お願い‥‥」
 にやけて答えてから、あれ、おフェラって結局遥がしたいことじゃん、と頭をひねる。まあいい。もちろん俺だって大好きなのだから。
 遥はオッパイに挟んだまま、先端をチロチロと舐めた。
 ミルクを舐める子猫みたいに、赤い舌は器用に動き、既に滲み出している汁を掬い取る。その舌使いのイヤらしさといったらもう、天下一品である。興奮して一心に見入ってしまうくらいだ。
「あ‥‥はあ‥‥いいー」
 俺は遥の髪に指をからませた。
 遥はパイズリをやめた。
 小さなお口に亀頭をくわえこみ、いつものように念入りに舐め回す。まるで手品のように、サオが視界から消え、口の中に吸い込まれていく。俺のモノは人並みよりデカいのに、信じ難いほど奥まで入る。喉でくわえ込まれ、唇でしごかれ、頬の内側で吸引される。
「うぁ‥‥く‥‥」
 気持ちいい。上手すぎる。
 フクロを手のひらでこねられ、更に奥に入って、コーモン周辺をマッサージされる。遥の頬が歪み、笑みを漏らしている。
「う‥‥おい‥‥」
 だが、妙にキモチがいい。サオの刺激とあいまって、ブルッと震えるような快感が走った。
「あ‥‥ふ‥っ‥‥あ、あ‥‥」
 遥は動きを早めた。
 口の中に精液を出させるつもりだ。遥はソフトクリームにむしゃぶりつく子供みたいな愉悦に浸っている。目を閉じない。たまに俺の顔をチラッと見上げる上目がつやっぽい。
 気持ちいいでしょ、うふふ。
 ‥‥なんて挑発的なセリフが聞こえてくるようだ。
「ぅ‥んん‥‥はっ‥‥く‥‥」
 どんどん動きが早くなる。ビンビンに感じる。
 遥は目を閉じて、完全に没頭し始めた。頬がペコンとへこむ。強い、一定のリズムを与える。
「あっ‥‥いいよ‥‥ああ‥‥」
 我慢できない。
 早すぎるのはわかっているが、めっちゃ興奮しているので自制がきかない。
 ストローで吸い上げられるみたいに、俺の中で熱い液体が持ち上がってくる。遥の動きに合わせて腰を振ってしまう。
「は‥‥遥‥‥いく‥‥出る‥‥うっ!」
 体がブルッと大きく震える。吐液が勢い良く放出された。
「はぁ‥‥は‥‥っ」
 俺は頭を垂れた。
 遥はサオを口からゆっくりと抜いた。口中に放たれたものを喉に送り込み、数回にわけて飲んだ。唇の端からトロリと白い筋が垂れる。
「美味し‥‥」
「はあ‥‥あんがと‥‥すごかった」
 俺はマジメに礼を言った。
 放出後の脱力感はあるものの、まだまだ出し足りない。遥を可愛がっているうちに、すぐに原状回復するに違いない。
 とりあえず、遥を抱き締めて横たわると、一息つく。
「あー、遥~‥‥」
 彼女の股間に手を入れた。濡れている。しばらく触らせてもらっていない、熱いココがたまらなく恋しい。
「またお願いがあんだけど‥‥」
「何なりと」
 遥はクックッと笑う。なんだよ、今日はマジで、いやに優しいじゃないか。
「俺の顔の上に跨がってくんないかな‥‥」
「OK」
 遥は俺の髪を撫で、額に軽くキスをした。
 いいなあ、何でも言うこと聞いてもらえるって、素晴らしいことだ。
「うーん、ちょっと恥ずかしい‥‥」
 クスクス笑いながら俺に跨がり、アソコを見せてくれた。フェラ好きの遥は、ソレをしてる間に溢れるように濡れてしまう。クリトリスやアナルまで愛液まみれになっている。
「うおー、びしょ濡れだ」
「やん‥‥」
「もっと腰落として」
 つやつやした長い腿のすべりを手のひらで楽しんでから、中指の腹でクリトリスを撫でた。下から見上げると、いかにも女体という風情だ。淫らに濡れまくった女陰、しなやかな腰つき、細いウエスト、そしてバンと張り出した双つの丘が上空にそびえ立っている。
 舌を突き出して、突起を舐めた。ふるふると震えるクリトリスを転がし、舌で円を描いて周囲を責めていく。甘酸っぱい愛液が跳ねて、俺の顔にピチャッとかかった。
「あっ‥‥やっ‥‥キモチい‥‥」
 遥が身を震わせる。おっぱいがプルンと揺れる。
「わー、どんどん濡れてる‥‥」
 指でワレメを開いてみた。半透明のヌルヌルした液体で一杯になっている。指をズズ‥‥と突っ込んで、拳ギリキリまで入れた。熱い。ヒダヒダがキスをするように吸い付いてくる。この感触、マジで久しぶりなんである。
 指で可愛がりながら、クリトリスを強めに吸った。舌先でツンツンと苛める。
「ひゃっ‥‥あっ‥‥ああ‥‥ん」
「遥、クンリで感じるよーにらったらぁ」
 クリちゃんを吸い上げているので、こういう口調になる。
「あんっ、だって、彰が上手だから‥‥」
 ホントかよ~。
 でもいいや、信じることにしよっと。
「あ‥‥彰‥‥もうダメぇ‥‥入れて、お願い‥‥」
「んー、もーちょっと、ら(な)めてから‥‥」
「やんっ‥‥だめ」
 楽しい。
 逃れようとする遥の腰を両手でグワシッと掴む。伊達にグローブのようなデカい手をしているわけじゃないのである。
 唇をワレメに密着させて、遥の蜜を啜った。大好物の納豆を啜り込むときと、ちょっと音が似ている。
 でも、遥の匂いは、納豆の百倍も大好きだ。
 初めて野球のグローブを買ってもらった小学3年の時、朝も昼も寝る時も、真新しい皮の匂いをずっと嗅いでいた。あのワクワクするような興奮と執着ぶりが、今はここで発揮されている。
「あ‥‥ああ」
 遥が痙攣した。首を横に振っている。
「あ‥‥ぁ‥‥彰‥‥もうダメ‥‥おちんちん入れて‥‥お願い」
 さんざん懇願されて気を良くした俺は、遥の腰を解放した。
 まだ勃起は最大ではないが、入れられる程度には復活している。
 遥を仰向けにし、脚を開く。
 女の子の脚を開かせるのって、やっぱりいい。当たり前のことだが、コッチの脚を開かれるよりずっといい。
 亀頭を、遥の中に埋め込んでいく。
「あく‥‥」
 遥はぐうっとのけぞった。
「う‥‥く‥‥」
 久しぶりのせいか、ちょっとキツすぎる。遥の中に呑み込まれる。俺が突き進んでいるのか、強制的に吸い込まれているのかわからない。
「あ‥‥ん‥‥すご‥‥彰、すごい‥‥」
 遥が呻く。
 たまらない。
 この顔。この姿態、この声が、俺だけのもんなのである。
 ギュムッと抱き締めて、遥のおっぱいが俺の胸でつぶれる感触を、心ゆくまで楽しんだ。やっぱりフツーのエッチはいい。俺が上で遥が下。基本はこれでしょう。
 遥の中にいると、精液だけじゃなくて、魂まで吸い取られそうな気がする。船人を海の底に誘って沈める魔性の人魚って、こんな女なんじゃないだろうか。
 溺死って苦しいものらしいが、ある瞬間は恍惚が走るという。遥のおっぱいに顔を埋めて死にたい、とか、あったかいアソコの中で息絶えたい、なんて思うのは、海の魔物に魅せられて溺れて死にたい、というのとちょっと似ている‥‥。
 ‥‥なんてことを考えていたら、いつのまにか、くるっと体勢が入れ替わって、遥が上になっていた。
「おいこら」
「だって‥‥」
 遥は蠱惑的に微笑んだ。
「ねぇ、お願い‥‥ちょっとだけ、いいでしょ?」
 小悪魔チャンのおねだりである。耳をペロリと舐められて、ほっぺたに優しくキスをされる。
「うん、わかった」
 俺はニヒャッと笑ってしまった。
 遥は身を起こし、好きに動き始めた。伸縮自在のアソコから愛液がたらたらと垂れて、俺の陰毛はもうビッショリだ。
 遥の内部が急激に縮み、潰れるほどに締め付けた。
「うっ!」
 締め付けては離す。離しては抱きすくめる。
 まるで、鼠をもてあそぶ猫だ。いつのまにか、めちゃくちゃにいたぶられている。
「く‥‥締め過ぎ‥‥ちょっ‥‥緩めて」
「だめ。無理‥‥」
 遥は喘ぎながら笑う。
 俺は攻撃に耐えながら、遥の腰を掴んで一緒に動いた。だが、揺れるおっぱいに触りたくなり、グッと上体を起こして、むりやり座位に変える。
「あんっ!」
 いきなり抱き締めて、おっぱいを強く揉んだので、遥が声をあげた。
「強すぎ‥‥あ‥‥あっ!」
 固い乳首をチュウチュウと吸う。もちろん、その間も動いている。
「あ‥‥ぁあ‥‥」
 遥の首が後ろにのけぞった。
 俺は体力の限りを尽して、フィニッシュに向かった。今日だけは意地でも先にイカせたい。細い体を揺さぶり、振り乱れる長い髪を堪能したい。何よりも、イク瞬間の顔が見たい。
「ひゃぅっ! や、あ‥‥キモチいい‥‥ああっ!」
 遥は俺にしがみついた。
 これほどよがっているのに、突きのタイミングをぴったりと合わせてくる。一秒ごとに声を漏らし、苦悶と紙一重の恍惚を目に滲ませている。濃い睫が瞬く。濡れた唇が震え出す。
「いぁっ‥‥ああんっ! はっ‥‥彰‥‥イク‥‥!」
 遥が叫んで動きをとめた。
「あ‥‥は‥‥」
 彼女が絶頂に達した瞬間、えも言われぬ幸福感に満たされた。引き絞られた弓のように硬直した体を、俺は思いきり抱き締めた。先にイッてくれてありがとう、と礼を言いたいほど、最高の気分だ。
 やがて、遥の体からガクリと力が抜ける。眠った子供のように重さが増す。俺は弛緩した彼女を抱き締めながら、更に突き上げ、自身のラストスパートに入った。遥のアソコは水浸しで、俺の膝までびしょ濡れだ。
 一分後、サオをぶるぶるっと遡って、精液が勢い良く吐き出された。
「うあ‥‥っ‥‥く」
 快感に背筋を震わせる。腕に鳥肌がザッと立つ。
 遥の中にこれを吐き出す瞬間。まさに至福の一瞬だ。

 遥をベッドに横たえ、しっかりと抱き締めた。
「はあ‥‥よかったよー」
 返事はないが、いつものことなので気にしない。遥の体は快感濃度が高いらしく、絶頂のあとは座礁したイルカみたいになる。つまり、自力では動けないという意味だ。少し開いた口から、熱い息が漏れている。まるっきり反応がないのにもかかわらず、俺はその唇にキスをする。遥は大人しく抱かれ、身をかすかに震わせている。
「可愛い‥‥」
 呟きが漏れる。
 悪魔。女大魔王。魔性の人魚。
 とまあ、いろいろな表現はあるのだが、この瞬間だけは、彼女は全く別のものに見える。
 洋輔は、るりちゃんのことを『宝物』だと言った。
 その表現は、俺にはやっぱりピンとこない。
 幾ら何でもこっぱずかしくて人前では――ていうか、遥本人にも死んだって言えないセリフだが、今この瞬間、俺の腕の中にいるのは、「天使」だと思う。
 ほんのひとときの間、白い羽を震わせて休息している、世にも可愛らしい天使。
 そりゃ恥ずかしいよ。口には出せないよ。でも、本当にそう見えるんだからしょうがない。もうこれは「あばたもエクボ」ってヤツだよな。この日本語であってるのか自信ないけど。

 大騒動の11月は終わりを告げ、季節は冬に突入した。
 遥は期末試験の間も、いつもと変わりがない。相変わらずのインランで、エッチ好きだ。
 だが、試験中はエッチ行為を控えさせてもらう。俺は彼女と違って、ごく普通の頭脳の持ち主なので、勉強しないとそれなりの成績がとれないのだ。
 マジメに勉強するつもりで遥の家に行き、教科書を広げようとすると、必ず彼女は邪魔をする。
「こんなんヤマかけてやるからさ、あとにしなよ」
 などと囁いて、俺を押し倒したりするのだ。
「ダメ! やんない!」
「なんで。彰にプレゼントがあんのに」
 ギクリと飛びのきそうになる。
「な、なによ、プレゼントって」
「あ、見る? 昨日またSMグッズを‥‥」
 続きを聞く勇気はなかった。
 振り切って、ほうほうのていで逃げ帰った。早くこの「SMブーム」が去ることを祈るばかりである。
 大通りを歩いていると、例のお婆さんに会った。
 自販機の横に設置されたゴミ箱から空き缶を取り出しては、ゴミ袋に詰めている。
「手伝いましょうか」
 俺はなんとなく、このお婆さんに親近感を抱いていたので、近寄ってヘルプを申し出た。お婆さんの表情はほとんど動かない。近くで見ると、縦横無尽の皺だらけで、腕は枯れ木のように細い。90歳くらいかと思ったが、ひょっとして一世紀をクリアしているかもしれない。
「空き缶っていいお金になるんですか」
 答えを期待しているわけではないが、黙っていると気まずいので、手伝いながら話しかける。
「泣かせちゃーだめ‥‥」
 お婆さんは無表情のまま呟いた。
「え?」
「女はね‥‥ヤワこいんだ‥‥。だいじーに、だいじーにせんと‥‥」
「ハア‥‥」
 俺は目をパチクリさせて、頭を掻いた。
「な」
 無表情な目で念を押され、とりあえず「はい」と頷いた。
 お婆さんの顔が縮んで、皺がますます濃くなった。目も鼻も、皺に紛れてくちゃくちゃだ。笑っている、と気づいてビックリした。ちゃんと笑うこともできたんだ、このお婆さん。
 お婆さんはゴミ袋の口を閉じると、手押し車を押し、俺のそばから離れた。何となくあったかいものが心に滲んだ。
「だいじーに、だいじーにせんと‥‥」
 そう言ったお婆さんの口調が、とても優しいものに聞こえたからだ。
 腰の曲がった小さなお婆さんは、夕暮れの街を遠ざかっていった。
 俺が彼女を見たのは、その日が最後で、もう二度と会うことはなかった。

「あのババア、死んだんだと」
 と、遥は言った。
 期末テストが終了した3日後のことだった。
 遥が仕入れた情報によると、あのお婆さんはヨタヨタと車道を歩いていてベタッと転び、周囲の人間が駆け寄ったときには、もう息がなかったのだという。
「しょーがねー。どうせヒマだから墓でも見に行ってやるか」
 遥は言った。ひとりごとなのか、誘いなのかわからなかったが、俺は一緒についていくことにした。お婆さんは区境の墓地に葬られたらしい。『桶川きぬ』という名前だったということまで、遥は調べていた。

 重たい気分でバスに揺られていると、窓の外に意外な人物を発見した。
 吉岡奈美だ。
 他校の制服を着た男と一緒に歩いている。楽し気に笑い合いながら歩く姿が、みるみる遠のいた。
 遥はニヤッと笑った。
「なーんだ、男連れかよ」
「みたいだな」 
「新しい男かな。ふふ、ガッカリしたか?」
「別にぃ?」
 俺はそらとぼけた。
 だが、ひそかに、吉岡奈美のいじらしい泣き顔を思い出していた。
 不思議なモンだと思う。あの夏の日、お婆さんと一緒にいた遥を目撃しなければ、俺の運命は違っていたのかもしれない。奈美に惚れてた可能性だって、ゼロとは言えない。
 だが、俺の横にいるのは遥だ。彼女はたった今も、バスの乗客全員の注目を美しい顔に浴びながら、窓の外を見ている。嘘みたいに綺麗なこの女の子は、いつまで俺のそばにいてくれるのだろうか、とふと考える。夏休み、きまぐれで俺とセックスしたように、ある日ふいっと心変わりをして、いなくなってしまうのではないのだろうか。

 墓地に着くと、あたりは既に薄暗くなっていた。カラスがギャアギャア鳴いて、ちょっと怖い。事務所の人に案内してもらい、無縁墓地の区画まで連れてきてもらった。無縁墓地。あのお婆さんには、身寄りは一人もいなかったのだと思うと、胸が痛くなった。
 遥は卒塔婆の下に、自販機で買ったお茶のホット缶を置いた。供物のつもりらしい。
「チェッ、つまんねーな」
 肩をすくめて、立ち上がった。
「もう車道も歩けないってわけだ。愚痴もきいてもらえねーし」
「愚痴?」
「殺すだのムカつくだの、このババアにずーっと愚痴ってたんだ。何しろボケてるからな、楽な話し相手だったよ」
「殺すって誰を」
「誰だと思うよ」
 遥は俺を見て意地悪く笑い、お茶のホット缶に目を落とした。凪いだ海みたいな目だった。二人ともしばらく黙って墓の前に佇んでいた。
 女を泣かせちゃ、いかん。だいじーに、だいじにーにせんと‥‥。
 お婆さんのあの言葉は、遥の愚痴を受けてのことだったのだろうか。そうなのかもしれないし、違うのかもしれない。
「彰」
 遥は俺を振り向いた。
「セックスしよ。したくなった」
「ええ? ここで?」
「どこでもいいよ、ヤレれば」
「犬か、お前は」
 遥は俺の首に長い両腕を巻き付け、体をすりつけた。甘えるようなしぐさだった。
「なあ、彰‥‥彰‥‥」
「はいはい、なんですか」
「今はこうやって人の墓眺めてるけどさ‥‥こっちが墓に入んのは、案外明日かもしれねーだろ? だからさ、ヤリたいことヤッとかないとダメなんだよ。あたしはなー、彰としたいんだよ。いつも、いつもしたいんだ」
 奇妙に真摯な眼をした遥は、俺の首を引き寄せて唇をかさねた。
 俺は遥を抱き返した。ちょっと不謹慎じゃないのか墓の前で‥‥とドキドキしながらキスをする。
 遥は珍しく目をちゃんと閉じている。今は『天使』の顔をしている。
 ずっとこれが見られればいい‥‥と胸が痛くなるほどに願った。
 これからも遥が、俺の横にいてくれればいいと思う。
 17なんて、世間的にはまだガキだ。
 だからこんなことを言えば、ガキのたわごとだと、一笑に伏されるかもしれない。
 でも、俺のこの願いは、本人もビックリするくらい強いんである。
 50歳になっても、90歳になっても、それこそ死ぬ間際まで、遥の悪魔の顔も天使の顔も、俺は見続けていたい。お前は笑うだろうから内緒にしてるけど、俺は最近そういう決意をひそかに固めちゃったりしてるんだよ、遥。
「お前んちに行って、エッチしよ‥‥。家までガマンできるか?」
 唇を離すと、俺は囁いた。
「ま、どうにか」
 遥は少し笑って答えた。
「また来るぜ、ババア」
 遥は墓に向かって、明るく言い放った。
 俺たちは、どちらからともなく手をつなぎ、お婆さんの墓の前を離れ、墓地の外に向かってゆっくりと歩き出した。

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