七月の満月の頃2

女性もえっちな妄想をしてもいいんです。
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アダルトな読み物のお部屋

七月の満月の頃2
2021年07月27日 18時07分
グラドル撮影販売塾
DUGA

2.ママと父とアイツ

 2カ月ぶりの我が家。
 父とケンカしてどしゃぶりの中飛び出して、そのままミノルの部屋に転がり込んで‥‥それ以来だから随分と久し振りだ。
 呼び鈴のボタンはあるけど、押さない。前に一度、ママがオトコを連れ込んでセックスしてる最中に押してしまって、
「ジャマしないでよ!せっかくいい雰囲気だったのにさ‥‥ほら、帰っちゃったじゃない。もうっ、何回も口説いてやっと連れ込んだいいオトコだったのにぃ」
 って本気で怒られた事があったからだ。
 ドアノブを回すと扉は簡単に開く。カギが掛かってないってことはママはいるんだろうな。足元に目をやると、ママのサンダルの隣には見たことのない男物の革靴が‥‥
 まーたやってるよ。
 別に驚くような事でもない。アタシがたまに帰ってくるとこんな場面ばかりだ。なにしろ、
「ピザ屋に注文するってのは若い子を注文して食っちゃうって事よ。その後でおなかが空いたらピザを食べるんだよ」
 ‥‥なんて事を平気で言ってしまうオンナだ。連れ込んだオトコは数知れず、どこでどう調達してるのか知らないけど‥‥40過ぎなのによくやるよ。
 居間の入り口の隣、階段の脇にそっと身を隠す。だいたいいつも居間に連れ込んでヤってるはずだ。
 耳を澄ますとホラ、聞こえてくる。

 ブチュ、チュッ‥チュ、プッ‥‥クプッ‥‥

 この粘りつくような湿った音‥‥もうフェラチオに入ってるな。キスだったらもう少し軽い音のはずだ。
「音で分かるようになったらアンタも一人前のオンナだよ」
 ってホメられた事もある。嬉しいかどうかは微妙だけどね。

「んぐ‥‥んんっ、ぱあっ、おっきい‥‥フフッ、アナタ顔もイケメンだけどこっちのほうもイイモノ持ってるじゃない。モテるんでしょ?」
「はぁ‥‥いやそんなこと無いですよ。去年の夏に捕まえたカノジョが一人いるだけで‥‥っていうか奥さん、こんな事してヤバくないんですか?」
「イイのよ、アナタだってあんな男にコキ使われっぱなしじゃあイヤでしょ?たまにはオイシイ経験も‥‥ね」
 あんな男、って言うのは父の事だ‥‥ふぅん、という事はこのオトコは父の部下なんだね。
「‥‥ぁはっ、そこ‥裏筋のその出っ張りのところ、僕そこが一番感じるんですよ」
「そぉ‥‥じゃあ、こんなカンジでどぉ?」
「あぁっ‥‥そう、舌の表面でレロレロって‥‥上手いです、スゴく」
「フフ、アリガトね。アタシもオトコが気持ちいい顔を見るのが好きなんだ‥‥他にリクエストある?」
「いや、いいです‥‥ぁぁ、口の中でとろかされるみたい‥‥ホント、スゴく上手いですよ奥さぁん」
 それっきりセリフは途絶えて、チュプ、チュプ、チュプッ‥‥と湿った音だけが響いてくる。耳を澄ますと、精力を吸い取られてハァハァ喘ぐオトコの息遣いも‥‥
 アタシはすっかり腰を落ち着けて、行為の一部始終に耳をそばだてて聞き入っていた‥‥実はひそかな楽しみだったりする。昔は音一つ聞くのもイヤで、逃げるようにして部屋に閉じこもっていたけど‥‥もういい加減慣れてしまったよ。まぁ、今じゃ自分でもおんなじような事してるけどね。
「えっ‥‥ちょ、ちょっと奥さん?いきなりそんな、脚開いちゃって‥‥すげぇ、黒のランジェリーだ」
「フフ、アナタのおっきいのしゃぶってるうちに欲しくなっちゃってさぁ‥‥ほらここ、ちょっと触ってみてよ」
「‥‥スゴイ、もうぐちょぐちょじゃないですか‥‥指、入れちゃってもいいですか?」
「いいよ‥‥、‥‥あっ、ぁあっ‥そこっ、アタシそこ弱いのぉ‥‥」

 はぁ、はぁぁ‥‥クチュッ、チュッ、ピチュッ‥‥

 へぇ、このオトコなかなかやるじゃん。ママが黙り込んじゃうのは本気で感じてる証拠だよ。
「アナタ上手いじゃない、強くもなく弱くもなくてスゴくイイ感じ‥‥」
「いやぁ、奥さんにそう言われるとなんか嬉しいですよ‥‥コレ、脱がしちゃってもいいですか?」
「いいよぉ‥‥いゃんっ!‥‥ははっ、すごい早業。アナタ慣れてるわねぇ」
「そうですか?いやぁ初めて見た黒のランジェリー‥‥なんか僕スゴく感激しちゃいましたよ」
 オトコはなんだか本当に感激して興奮しちゃってるみたいだ‥‥ったく、コイツといい昨夜のミノルといい、バカじゃないかしら?オトコの本性なんてこんなもんなのかねぇ‥‥
「さぁ‥‥おいで。アナタのその美味しそうなモノ、アタシにもちょうだい」
「奥さん、いいですか‥‥いきますよ‥‥」

 一時の静寂‥‥

 ギシッ、ギシッ、ギシッ‥‥ソファーの軋む音とともにアタシのママが犯されていく‥‥別にいいんだけどね自分から誘ってるんだから。

「はぁっ、ぁあっ‥‥奥さん、スゴく気持ちいいです。やわらかいのに締まりが強くて‥‥包み込まれるみたいだ」
「フフッ、アナタのもとっても大きくてステキだよ‥‥きて‥‥もっとアナタが欲しいの」
 ソファーの軋む音がだんだんと早く激しくなってきて、ブチャ、ブチャッ、ブチャ‥‥と淫らな音まで漏れてくる。しかしオトコもオトコだよ、会ったばかりのオンナをよくそんな調子良くヤれるよなぁ。なんだかんだ言ってもカラダが欲しいだけなのかなぁ‥‥
「はあっ、はっ、はぁっ‥‥奥さん、もうダメ‥‥イッちゃっても、いいですか?」
「んあぁっ‥‥あっ、ダメぇ!すぐ抜いて、口でイカせてあげるから‥‥おねがい」
 ソファーがギシギシ軋む音がピタリと止んで、代わりにジュルッ、ジュルルッ‥‥と強く吸い付く音が響いてくる。
 けどそれも長続きしなくて‥‥
「あぁ、もうダメ‥‥イッちゃう、イクぅ‥‥」
 裏返って泣きそうな声を残して、オトコは急に黙り込んでしまった‥‥多分、イッちゃったんだろうな。

 しばらくすると、ジュルッ、ジュルッ、って音が再び響いてくる。
「あ‥‥ああっ奥さん!もう勘弁してください‥‥ダメッ、すごくくすぐったくてシビレちゃう‥‥」
 ‥‥若いオトコのエキスは一滴残らず吸い尽くす、っていうのがママのポリシーなんだって。
「んっ、んうん、くぅん‥‥はぁっ、美味しかったぁ、アナタのエ・キ・ス」
「はぁ、はぁ、僕も、スゴく、気持ちよかった‥‥です。なんか、カラダ中の力が吸い取られるみたいで‥‥」
「そぉ、よかった喜んでもらえて‥‥ねぇ、ちょっとこっちにおいで」
「あ、はい‥‥何か‥‥?」
 少しの間を置いてから、クチュッ‥‥唇と唇が強く吸い付く音。
「んっ‥‥んンッ!?」

 チュプ、クチュ、プチュッ‥‥クチュ、クチャッ‥‥

 湿ってるけど軽い音‥‥口の中をねっとりと貪る音が絶え間無く響いてくる。フレンチキスって言うのこれ?秒針が一周してもまだ続いてるよ‥‥
 音が止んで唇が離れると、ハァハァ、ハァハァと二人とも荒い息遣い‥‥アタシ一度だけ見た事あるけど、この瞬間、ママはまるで勝ち誇ったような表情でオトコを見下ろすんだ。
「どぉ、美味しい?‥‥フフッ、これがアナタの味なのよ」
「‥‥‥‥」
 呆然として声も出せないオトコ。そりゃそうだろう、結構エグイ味するもんオトコのエキスって。
 オトコのモノをたっぷりと口に含んでフレンチキス‥‥昨夜もミノルにしてあげたけど、これって母娘共通のクセなんだよね。

「またおいでよ。今度は中でイカせてあげるから‥‥ね」
 オトコはヘラヘラと曖昧に笑いながらそそくさと服を着直して、
「じゃ、どうも‥‥」
 とか気の抜けた返事をしながら出てくる。なんだか服の着こなしがだらしなくて、間の抜けたような顔をしながらそのまま千鳥足で帰っていった。
 ママとヤり終えて居間から出てくるオトコをもう何人も見てるけど、みんな同じような間抜けヅラをして魂が抜かれたみたいにフラフラと出ていくんだ‥‥連れ込んだオトコを百発百中でイカせてしまう超絶テク、我が母ながら見事と言うしかない。
「なぁにいつからそこに居たの樹?帰ってたならただいまぐらい言えばいいのに」
「あんな場面で言えるわけないじゃん‥‥アイツ、あの男の部下なんでしょ?どうやって連れ込んだのよ」
「べつに‥‥あの男について話がある、って言ったらノコノコついてきただけだよ。最初っからカラダ目当てじゃないよ、ちょっと聞きたい事があっただけさ」
「聞きたい事?‥‥黒のランジェリーなんか着けて何を聞くのよ?」
「そりゃあやっぱりオンナの本能でしょ‥‥あれだけ若くていいオトコだったらとりあえず食っとかなきゃ。あの男の部下だったら尚更‥‥ねぇ?」
[あの男]って言うのは父の事だ。アタシもママも随分前から父の事をそう呼んでいる。だってあんな人間‥‥少なくともアタシはあの男を[父親]としては認めたくない。
 居間の窓はカーテンを締め切ったままで昼間でもぼんやりと薄暗く、床の上やソファーの回りは散らかり放題‥‥退廃、という言葉がピッタリ当てはまりそうな空間だ。
「それにしてもねぇ‥‥あの男へのあてつけとは言っても、ちょっとやり過ぎじゃないのかなぁ?手当たり次第、って感じに見えるよ」
「そうかしら‥‥でもね、ママはこの生活、案外気に入ってるんだ。色んなオトコをつまみ食いできるってのはやっぱり面白いもんだよ‥‥今のオトコ、多分遊び人だと思うけど、ヤるだけだったら上物のいいオトコだよ」
「‥‥‥‥」
 アタシが言葉に詰まってる間に、ママはメンソールの煙草をくわえて火を灯す‥‥長くてしなやかな指、贅肉一つ付いてないスラリとした手脚、端正で少し冷たい横顔‥‥どのパーツを取っても40過ぎの身体とは思えない、まるでヴァンパイアのような若さを保っている。

「‥‥案外、オトコとオンナの距離なんてこんなもんでいいのかも知れないよ。住む世界が違うんだから、所詮は分かり合えるはずがないのさ」
 くわえ煙草で遠くを見つめながら、煙と一緒にそんなセリフを吐くママ‥‥この人の心からは[寂しい]という感情が無くなってしまったのだろうか‥‥

「そういうアンタだって、いつまでそんな野良猫みたいにブラブラしてるつもり?シッポ付けたらホントに黒猫みたいだよ」
「もう野良猫じゃないよーだ、ちゃんと飼い主見付けたもん‥‥今日帰ってきたのはその事をママに伝えたかったからだよ」
「へぇ~!アンタを拾ってくれるオトコがいたんだ。こんなしつけもロクにできてない暴れ猫をねぇ‥‥で、どんな人なの?」
「う~ん、一言でいえば‥‥ダメ人間、ってカンジかな」

 ゴメンね、ミノル。

「‥‥、‥‥まぁ、いいさ。せっかく見付けた飼い主なんだから、せいぜい大事にしなよ」
「分かってるよ」

 会話が途絶えてぬるい静寂が部屋を支配する。くわえた煙草はハイライト‥‥そんなオヤジみたいな、ってママは言うけど、一服吸い込んだだけでクラァ‥‥ってくる濃い感覚がたまらなく好き。
 長髪のママと短髪のアタシ、二人並んでプカプカふかす。長い手脚に深い瞳、親指と人差し指で煙草をつまむクセ‥‥鏡に映したみたいに何もかもがそっくりだ。

 どこまで行ってもアタシ達は母と娘なんだね‥‥

 ピンポーン――

 静寂を打ち破る不穏な呼び鈴の音‥‥
「誰だろ、ピザでも注文したのママ?」
「いや‥‥」
 立ち上がろうとするアタシを制してママが玄関に向かう。廊下に出る手前で一度こっちを向き直って、アタシに目線で合図を送る。
「アンタはそこにいなさい」
 ママの顔はさっきまでとまるで違う真剣勝負の顔になっていて‥‥アタシは全てを理解した。

 あの男だ。

「何か用?」
 冷たくて刺のある言い方‥‥あの男と話す時ママはいつもそうだ。
「そこをどけ」
「ちょっと、勝手に入ってこないでよ!」
「ここは私の家だ」
 ママの制止にも構わず廊下にズカズカと入り込んできて、居間の入り口で仁王立ちする[あの男]。居丈高で傲慢な視線で居間の中をグルリと見回すと、チッ、と大きく舌を打った。
 何様のつもりよ‥‥アンタなんか父親じゃない、さっさと出てって。
「何やってるんだ樹、バイトもしないでブラブラ遊び回ってばかりで‥‥父さんはお前をそんな不良娘に育てた覚えはないぞ」
 言い返す気にもならない‥‥アタシは顔を思いっきり横に振って目をそむけてやった。アンタこそロクに家にも帰ってこないクセに‥‥
「なんでお前は何回言っても分からないんだ?揚げ句の果てにあんないい加減な男とくっついて‥‥父さんはちゃんと知ってるんだからな」
 その一言を聞いて、体中の血がガアッと沸騰しそうになる‥‥なんでこの男がミノルの事を知ってるんだ?
「ミノルは関係無いでしょ!知りもしないクセにいい加減なんて決め付けないでよ」
「今日は何の用事で帰ってきたのよ?それぐらい答えなさいよ」
 ナイスフォロー、ママ。
「私の部下が怪しい動きをしてるから後を付けてきたんだ‥‥どうせお前が誘ったんだろう?」
「知らないわよ」
「嘘をつくな」
「アンタこそよくそんな事言えるわね‥‥商談の取引をネタにして今の女に交際を迫ったって事、アタシだってちゃんと知ってるんだから」

 島耕作みたいな父の顔が、一瞬ガチンと凍り付く‥‥そっか、ママはその事を調べるためにさっきのオトコを呼んだんだ。良くも悪くもしっかりしてるよ。
 しかし‥‥次のセリフがいかにもこの男らしい。

「あれは仕事上の付き合いだ」

 ‥‥そうだったらもっと申し訳なさそうな顔ぐらいしろよ。エラそうに開き直るってのはどういうつもりよ?
「卑怯者」
「なんだと、この淫乱女!誰に食わしてもらってると思ってるんだ」
 ここから先はアタシの出る幕ではない。ソファーに深く身を沈めてワザとらしく脚を組んで、何年も前から変わり映えのしない罵り合いを冷ややかに眺めてやる。

 オトコなんて、本性は所詮こんなもの。傲慢で強欲でズルくて‥‥父を見てずっとそう思い込んでいた。
 学生時代、言い寄ってきたオトコは数え切れないぐらいいたけど、一人残らず冷たく切り捨ててきた‥‥そんな事をしてる内に友達も失くしていったけどね。
 学校辞めて家出して、オトコは恰好の獲物になった。ヤれる、と思って付いてくるバカなオトコを罠にハメて、冷たくせせら笑いながら何発も何発もおなかに蹴りをブチ込んで‥‥
「もう‥‥もうやめてください、やめて‥‥」
 財布を差し出して息絶え絶えに訴えてくるオトコの苦痛と絶望に満ちた表情を見下ろすのが、その頃の何よりの楽しみだった。

 オトコなんて誰一人として信じられなかった。
 ミノルに出会うまでは。

「会議がある。私は忙しいんだ」
 とか勝手な事を言い残して、父はまたズカズカと出て行った。嵐が去った部屋に再び静けさが戻ってくる。
「やれやれ、言いたい放題言ってやっとお帰りになったよ‥‥あんな男でも好きなオンナとのベッドではメロメロになるんだろうね」
「ママだってその時の表情知ってるクセに‥‥ねぇ、アタシ達ってあの男にとって一体何なんだろうね?」
「そりゃあ‥‥離婚したとなれば名刺に傷が付くだろ?要するに体面上の問題さ。あんな事してるクセに臆病だから、世間体を失いたくないんだよ‥‥どこまでも卑怯な人間さ」

 言葉を返す代わりに煙草をくわえると、ママは黙って火を灯してくれた。
 一服でもしないとやり切れないよねぇ‥‥

「さぁてと‥‥ママの元気な顔も見たし、そろそろ帰ろかな」
「帰る、か‥‥前は言えなかったセリフだね。ミノル君とやらに感謝しなよ」
「へへっ、うん‥‥それじゃ、またね‥‥」
「‥‥樹」
 居間から出て行こうとした所で、ママに今一度呼び止められる。
「負けんなよ!」
 親指をグッと突き出すママに、ピースサインで応える‥‥アタシ達母娘の[別れの流儀]だ。

 夏の日差しが眩しい昼下がり、あてもなく街をブラついてみる。今日はホットパンツではなく普通のジーンズ。ボディラインギリギリの細身のサイズで歩くと結構暑いけど、それでも股間がスースーするよりは全然マシ。
 さすがに昨夜みたいなアヤしい熱視線は刺さってこないけど、それでも時々オトコの視線を意識してしまう。ショーウインドに映る自分の姿を見て思わず納得‥‥ボディラインピッタリの黒の上下でキメた姿はまるで足長の黒猫みたいで、程良くふくらんだ胸とお尻は意識しなくとも自然に視線を集めてしまいそうだ‥‥
 ママから遺伝したのはオトコを引き寄せるボディラインと‥‥魔性?
 冷やかしで買った黒のランジェリーの履き心地はなかなかイイ。ヒラヒラの布一枚が秘部をかろうじて覆い隠して、ジーンズの堅い布にじかに触れるお尻の肌触りがヒリヒリとスリルを感じさせる。昨夜のホットパンツ下着無しはやり過ぎだったけど、布一枚で世界と対峙するってのはイイものだ。
 ははっ‥‥アタシにもママと同じ魔性の血が流れているんだね、間違いなく。

 ‥‥あれっ?

 前を行くオトコの姿、見覚えがあるような‥‥ちょっと華奢ではかなげな後ろ姿、ふとした拍子に見せた気弱そうな横顔。

 アイツだ。

 昨夜は淫らなオナニー姿を見せてもらって、今日は普段着の後ろ姿で出会って‥‥そして今、アタシの心に小さな炎がポゥッと灯るのを感じた。
 どこに行くの?これから何をするの?
 すうっと気配を殺して、アイツの後をそっと付いていく。あの日とは逆に、今日はアタシがストーカーだよ‥‥

 ‥‥煙草無くなっちゃうよ。
 ファーストフードの二階、窓際の喫煙席、満杯の灰皿としなびたフライドポテト‥‥三つ後ろの席には[アイツ]の後ろ姿、窓の外はもう日が暮れる。はす向かいに陣取った女学生の群れがやかましいったらありゃしない。
 あれから、アイツはいくつかの店をブラブラと‥‥何か目的がある訳ではなく、まるで居場所を探すように、寂しそうにさまよって行った。
 砂漠で水場を見つけたみたいにこの店に入って、Aセットで粘ることかれこれ二時間‥‥誰かを待っている訳でもなく、丸まった背中が、
「帰りたい、でも帰りたくない」
って訴えていた。

 家出‥‥してるのかな?アタシも同じ事してたから分かる気がする。

 ヘッドホンを着けてボー‥‥ッと佇んでいるアイツ。
 隣に座って話しかけるセリフを考えたりもした。でも、思い浮かばなかった。
 違う‥‥アイツとの再会にはもっとふさわしい場面があるはずだ。

 午後6時40分。

 重い腰を上げて、アイツがようやく動き出す。階段を降りていくのを確認すると、つかず離れずアタシも後に続く。心に灯る炎は、さっきよりも確実に大きくなっていた。
 店を出てしばらく歩くと、アイツは突然狭い路地に入っていく。アタシも後を追って、夕闇迫る殺風景の中を歩いていく。
 この路地裏の風景‥‥そう、アタシにとっては通い馴れた風景。ある時は一人で、ある時はバカなオトコを連れて、そして、真冬の雪の夜にはミノルを連れて‥‥
 やがてたどり着いた場所は、見馴れた二棟の空きビルだった‥‥アイツが辺りをキョロキョロと見回すものだから、アタシは慌てて電信柱の陰に身を隠す。
 アイツはさらに用心深く見回して、誰もいないことを確信すると‥‥ビルの隙間にスッと姿を消していった。

 アイツに襲われても許す事ができた理由が、今、解けたような気がする。
 だってアイツ、正直じゃん。
 欲望を包み隠してごまかして、優しいフリして近付いてくるよりも、欲望のままに押し倒す方が誠実だと思う‥‥どうせ最終目的は一緒なんだから。

 今度はアタシの番だね‥‥

[アイツのいる空間]の見えない扉をノックして、そっと中に入っていく。心の中の炎ははっきりと[欲望]の形をして大きく燃え盛って、それはもう消せそうにもなかった。

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シリーズ連載 : black angel