black angel 5

女性もえっちな妄想をしてもいいんです。
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アダルトな読み物のお部屋

black angel 5
2021年07月18日 14時54分
DUGA

5.

 浴槽から上がった後、樹はしばらくボーッと座り込んでしまっていた。後ろから貫いたミノルの強さと熱さが身体の芯を支配し続けている。さっきから優しく身体を拭いてくれているミノルが、あんなに豹変するという事にショックを隠せない。心の中の[魔物]みたいな存在‥‥本性を受け止められたのは嬉しいけど、やっぱりまだ戸惑いが強くて‥‥
 突然、目がふさがれてビクッとしてしまう。樹があまりに反応しないのを心配して、驚かせてやろうと思ってミノルがバスタオルで目隠ししたのだった。いきなりの悪戯に、ドキドキしながらもようやく正気を取り戻す。
「‥‥大丈夫?」
 少し戸惑うような[正気]のミノルの声が、耳元で心配そうに囁くのを聞いてホッと気をゆるめる。
「すごいね‥‥」
 いろんな想いが頭を駆け巡るけど、それしか掛ける言葉が出てこなかった。その想いを知ってか知らずか、ミノルは照れ隠しにはにかみながら後ろから身体をそっと持ち上げて、肩で支えながらゆっくりとベットまで連れていった。

 玄関の電球の明かりだけが、影絵のようにベットの上の二つの裸体を照らし出す。しばらく並んで座っていた二つの影は、やがてベットの上で一つになって倒れ込む。
 ミノルは初めて樹の身体の上に覆い被さった。いつも自分を包み込んでくれた黒い天使が、今、腕の中で安堵の表情を浮かべている。

 愛おしい‥‥

 両腕に愛を込めて、樹を思いっきり抱き締める。愛ってこんなに素直に表現できるものだっけ?
 抱き締める腕に力を込めると、ビックリするぐらいの弾力が帰ってくる。細い身体に秘められた強い力、たった一人で生きる樹の唯一の味方がこれなんだろう。せめて今夜だけはこの肉体を休めてほしい‥‥ミノルは純粋に樹のことを想ったが、心の中の[魔物]は今にも理性を支配しようとしていた。
 そんなミノルに樹は焚きつけるような視線を投げかける。魅惑的な瞳はまるで心の中の本性を見透かしているみたいだった。

「おいで‥‥」

 心の魔物を呼び覚ますように樹が熱く誘う。ミノルは正気と狂気の狭間に立って、樹の耳元にそっと囁いた。

「ゴメンな」

 ミノルは上体を起こして、樹の両脚をつかんで思いっきり広げる。樹は恥ずかしがらずに、微笑みすら浮かべてなすがままにされる。一度閉まった陰唇に再び指を添えると、簡単に割れ目が開くぐらいにやわらかい。入口を優しく揉んでほぐしてから、太い肉棒を力任せにねじ込んだ。
 一度締まり直した膣が再び肉棒の形に押し拡げられていく、この感覚がたまらない。湿った肉壷はグッと締まって侵入を防ごうとするが、ミノルは抵抗に構わず奥深くまで犯していく。膣の中をゆっくりとかき回して、子宮の壁に濡れた亀頭をたっぷりこすりつける。
 樹は顔を左右に振りながら、声を漏らさないように必死に堪える。この反応と表情がミノルは大好きだった。一人の時、夢の中で犯した女はみんなこの表情でミノルの蹂躙に堪えた。すぐに品の無い声を出す女は嫌いだ‥‥

 樹は親指と人差し指を結合部に伸ばして、ミノルを強く握りしめる。自分を虐めるそれは芯が鉄の様に堅くとても熱くて、握った指を簡単に串刺しにする。激しくたたきつけるミノルの腰と自らの性器に指が挟まれて、痛いぐらいに[オトコ]を感じる。
 ダメだ、いくら抵抗してもミノルは止められない‥‥

 強く握りしめる指をそっと除けてその分だけ深く刺し貫くと、樹はビクンッと全身で反応する。ジックリと腰を動かしながら両手に強く握った脚を少しずつ狭めていくと、突き刺す度に肉壷の圧力が強くなるのを感じる。徐々に狭める真っ白な両脚は、やがて目の前でキレイに揃う。やわらかいふくらはぎを肩に乗せて両腕で太ももをグッと締め付けると肉棒に今までに無い圧力がかかって、ゆっくり引き抜くと膣が強く締まっていく。そのまま亀頭まで抜くとミノルは再び腰に思いっきり力を入れて、強い抵抗を感じながら締まった肉壷を押し拡げていった。

 ズブッ、ズ‥‥ズッ、ズブッ‥‥

 ゆっくり、じっくりと樹を侵略していく。息をハァハァ乱して喘ぐ姿を見ていると、覆い被さって貪りつきたくなってきて、再び脚を広げて身体ごとのしかかる。
 動きを止めて樹の顔をじっと見つめると、息を乱しながら何かを訴えるように虚ろな視線を返してくる。こんなに心細げな表情を、ミノルは今まで見た事が無かった。

 可愛い‥‥

 汚してあげる。

――グチャッ。

 ‥‥ズッ、ズッ‥‥

 グチャグチャグチャズチャズチュッブチュブチュグチュッ‥‥!

 狂ったように激しく腰をたたきつける度に、腕の中の吐息が弱々しくなっていく。胸をわしづかみにして強く弱く締め付けると、苦しそうに息を吐いて、また少し弱っていく‥‥
 樹はただなすがままに、ミノルの肉欲に肉体を差し出すだけだった。ミノルは獲物を貪るように首筋にかぶりついて、かすかな喘ぎ声を感じながら樹を吸い取っていく。

 全部吸い尽くしてあげる‥‥

 だって樹が好きだから。

 キミがオレを虐めた時もこんな感じだったのかい?

 腕の中の樹は喘ぎ声もまばらになって、全身をビクビクさせている。そろそろ楽にさせてあげたい‥‥ミノルは動きを速くして最後の仕上げにかかった。
 腕をゆるめて樹を自由にしてから激しく責めると、電気が走るようにビクビクと反応する。弱々しかった呼吸が段々と激しくなって、身体に残った力を自ら搾り出すように激しく悶える。力を込めて奥深くを貫く肉棒からも、段々と感覚が無くなっていく‥‥
 ミノルは自分でも驚くほど冷静に樹の最期の姿を見守った。高みに達するのを確認してから、もう一度首筋に噛みついて樹を吸い尽くしてあげる。
「ア‥‥ハァ」
 樹はかすれた喘ぎ声を残して、微笑みながら力尽きた。それでもミノルはさらに樹を求め続けて、やがて自らも絶頂に達する。鼓動が最高潮に達したその時、ヌルヌルに濡れた肉棒を蜜の中から抜いて、半開きになった唇の中に押し入れる。
 そのまま、ミノルは樹の口に熱い液体を大量に吐き出した。

 ドクドクッ、ドクッ、ドクッ‥‥

 全てを出し終わって口から肉棒を抜くと、むせかえるように自分の白い液体を吐き出して苦しそうにする。その表情が可哀相に見えて、唇を吸い付けて液体を吸い取ってあげると、唾液と混じり合った自分の精液の味がとても甘く感じた。まともな神経はとっくに壊れていて、樹を味わい尽くした余韻だけが体中を甘く駆け巡る。
 胸にまたがったままで樹を見下ろすと、全身の力を奪われて心細げに横たわっている姿がどうしようもなく愛おしくなってくる。そして、いつかは自分が逆の立場だった事を思い出しながら、そっと包み込んで抱き締める。ただ、樹を優しく癒してあげたいだけだった。自分の中の魔物はすっかり満足したらしく、心の奥へと帰っていった。

「ホント‥‥ゴメンな」
 それだけ言うと後は言葉に詰まってしまうので、代わりに優しく口づけする。うまく伝えられない気持ちは抱き締める腕に託して、樹との距離をゼロに近付けていく。暖房もつけないで寒い部屋の中、強く抱き合って生身の温もりと想う気持ちを分け合った。
 少し身体を起こして、樹の疲れきった顔を申し訳なさそうに見つめると、軽く首を左右に振って微笑みながら答える。

「ミノルを受け止められてよかった‥‥」

 その言葉に胸がキュンと締め付けられた。オレなんかのために必死に堪えてくれていたのか‥‥狂おしくなって夢中で抱き締めると、背中に回った腕にもグッと力が入って、互いを強く強く引き付けた。

「ねぇミノル、アタシと一緒にどこか遠くに逃げちゃおうよ。二人でやり直せる場所があるかも知れないじゃん」
 不意の樹の囁きにドキリとさせられる。そうかも知れない、今いる場所がつらいならまた違う場所を探せばいいんだ。それに、今は独りではない。樹と一緒に二人でやり直せるかも知れない‥‥
 これは黒い天使に与えられた使命なのか、とミノルは思った。[幸せな人生]とやらを生きることのできる最後のチャンスかもしれない。
 だがその時、心の奥深くの全く違うレベルから、
「ちょっと待て」
と言う声を聞いた。
 確かに、樹の自由な生き様は羨ましいと思うし、過去や事情に対して弱音を吐かない所もカッコいいと思う。しかし、そんな樹に対してもたった一つだけ疑問に思っていたことがあった。
 現実から逃げすぎてるんじゃないか、という事。
 ここで逃げてしまえば今は楽になるかも知れない。でも‥‥もし次に何か困難にぶつかった時、すぐに逃げ腰になるクセがついてしまいそうな気がする。それは、イヤだ。
 オレはあえて、今のこの場所で踏み止まりたい。
 ミノルは決断した。

「行かない」

 その決断を聞いて、樹は顔を曇らせる。ホントに、と聞き返してもミノルの意志は変わらず、目を見つめてただ頷くだけ。
 樹にはその答えがどうしても理解できずに、やがて気持ちがカーッと熱くなっていった。その気持ちの正体も表現する言葉も解らないまま‥‥

 目一杯の力でミノルを突き飛ばして左腕で首を壁に押し付けながら、やりきれない気持ちをぶつけるように右の拳で裸体を撃つ。一緒になれないのなら、いっそこのまま壊してしまいたい‥‥自分の中で持て余す気持ちを抑えることができずに、再びミノルを痛めつけてしまう。

 ミノルは抵抗できなかった。そして抵抗しないで樹の気持ちを受け止めるつもりだった。甘い痛みが身体に繰り返し突き刺さって、徐々に力を奪っていく。ある意味で快感だった。あえてこのまま、樹になぶり殺されるのもいいかも知れない‥‥

 アタシ何やってるんだろう?

 ハッと我に返って殴る手を止めると、ミノルは苦しそうに顔をしかめながら、許しを乞うような目でこっちを見ていた。
「ゴメン‥‥ハァ、アタシってつくづくバカだよねぇ」
 独り言のようにつぶやきながらミノルの肩に強く抱き付いて、真っ直ぐに視線を合わせる。責めるつもりは無かった。その決断を邪魔したくはない、けど‥‥
「ホントに‥‥今のままで、いいの?」
 決断を促すようにそう問いかける。首を縦に振って欲しい思いと、一緒になって欲しい思いが半々ずつ‥‥

 ミノルは迷いをふっ切るように、真っ直ぐ見つめて強くうなずいた。その瞬間、ミノルの覚悟の強さと、それについて行くことのできない自分自身を理解して、自分とミノルは違うんだ、と直感した。

「強いね‥‥」

 顔をそっと引き寄せて、祝福するように優しく囁く。せめてもの餞別の言葉、のつもりだった。そしてそのまま狂おしくミノルを求めて身体を強く引き付ける。
 今のうちにミノルを焼き付けておこう、多分ミノルも同じことを思っているはずだから‥‥

 殴られた痛みが身体の奥にまだ残っていて、抱き締める樹の力に抵抗できない。熱い吐息、唇の体温、舌の感触、唾液の甘さ‥‥身体を溶かして取り込んでしまうような口づけに抵抗できず、なすがままに貪られていく。

「ミノルが欲しい‥‥」

 耳に吸い付いてそっと囁く言葉は、まるで魔法みたいに身体の力を奪っていく。後ろに回った腕が頭をグッと引き付けて、首筋にフゥ‥‥と熱い吐息を一つ吹きかけてから、強く噛みつく。痛い。でも、その強さが無抵抗の身体には心地良い‥‥
 樹がくれる痛みをかみしめながら、ふとこんな事を思い出す‥‥肉食動物が獲物にトドメを刺す瞬間、獲物に対して愛情を抱くって‥‥痛みがジンワリと深くまで達して、だんだん頭がボーッとしてくる。唇が離れると熱い唾液が首筋をしたたり落ちて、深く刻まれた歯形に舌がツッと触れるだけで背筋にゾクッと痺れが走った。ネズミが黒猫に襲われるみたいに、自分より強い生き物に弄ばれる快感にしばし身を任せる。

 絡み付いた身体をそっと離して、添い寝するように横になる。甘く誘う樹の魅惑的な瞳に逆らえず、吸い寄せられるように顔を胸にうずめてやわらかな温もりを感じながら夢中で乳首を吸う。優しく見下ろす視線の中で、生まれたての頃に戻ったように温もりの中を無心に漂う。

 ずっと樹の中にいたい‥‥

 しかし、樹は意地悪に身体をスッと突き放してしまう。独りになると、とたんに寒さが身に染み込んでくる。たったこれだけの距離なのに、この淋しさと寒さは何だろう?

「抱いて‥‥」

 たまらなく切なくなって身体を求める。すると樹はクスクスと笑いながら、いきなり頭と脚を逆に向けて覆い被さってきた。
「ぅわっ!?」
 ビックリするミノルの頬を、弾力のある太ももが両側から挟み込む。独特のやわらかさにくるまれると、訳も無くドキドキしてくる。淫らに絡み付いた肉体は、ミノルを芯から火照らして溶かしていく‥‥硬くなった肉棒にねっとりと唾液を塗り付ける、樹の熱い舌の感触がとても心地よかった。

 キレイなカラダ‥‥

 顔を包み込む白い太ももは透き通るような肌をしていて、程良く丸みを帯びた腰から背中にかけてのくびれが[メス]としての野性を感じさせずにはいられない。
 その太ももの真ん中に、ピンク色の割れ目がパックリと開いている。すでに何度となく突き入れて深くこじ開けたそこは、ジンワリと湿って見るからにやわらかく、蜜をたたえた姿はまるで底無し沼みたいだった。
 熱く吸い付く唇の感触が身体の芯にまで伝わる。すっかり長く固まった肉棒には樹のヒルのような唇が食いついて、上下に大きく動きながら溶かしてしまおうとしていた。唾液と舌の熱くとろける感触が、ミノルの神経を侵食して狂わせていく‥‥
 やがて本能に吸い寄せられるようにして、底無し沼の割れ目に唇を吸い付ける。舌を中に差し込むと、熱くドロドロとした無数の肉のひだがもっと奥へと誘うように絡みつく。舌でひだの一つ一つを丁寧になぞって、溢れ出る蜜を唾液と混ぜながら口に含んだり太ももにツウッと流してみたり‥‥やがて樹の中に深く溶け込んでいく。二つの存在が互いの性器を交点として、まるで輪のようにつながって快感を増幅しながら循環させていく。

 薄暗い部屋の奥で淫らに密着した二つの身体を、玄関の白熱灯が一つの影の塊として照らし出す。それはまるで、二人の中を激しく渦巻く想いを具現化した様だった。

 一つになりたい‥‥

 やがて快感の波が飽和を迎えると、二人は互いの性器に吸い付いた唇をそっと引き離して、さらに深く溶け込むために身体を離した。
 そのまま樹が向きをクルリと入れ替えて、ミノルを見つめながら腰の上にまたがる。熱く欲情する肉棒を冷たい指でそっとつかまえて、優しく微笑みながら強い瞳でミノルをしっかり捕える。蜘蛛の糸のような視線の中で、ただ裸でいるしかなかった。

「‥‥いくよ」

 うん‥‥

――グジュッ

 ゆっくりと樹が腰を下ろして、深い沼の中にミノルを沈める。そのまましばらく動きを止めて、満たされた熱い蜜で神経を少しずつ溶かしていく。そして息継ぎするように腰を上げると、蜜を塗り付けながらさらに深く飲み込んでいった。
 やがて深い沼の底までミノルを沈めると、樹は上体を被せるように前屈みになって、細く冷たい指をそっ‥‥と首筋に回す。冷たさが背筋にゾクゾクと伝わってきてすごく恐いけど、指を除けることも逃げ出すこともできない。
 樹は無表情で自分を見下ろしながら、細い指にジワジワと体重をかけて首を締め付ける。殺意すら感じさせる瞳、それを見つめる視界が白くかすんでいく‥‥息ができなくなる一歩手前まできつく締め付けて、激しく強く腰を揺すり始めた。

 ジュブッ、ズズズッズブッ、グチュッ、グチュ‥‥

 自分を深く飲み込んで揺さぶる度に、首に回った指が締まっていく。息が苦しくて、意識がとぎれとぎれになる‥‥甘い吐息、優しく犯すように、熱い視線が絡みついて離さない。ゆっくり揺さぶって自分を貪る湿った肉壷。強く締め付けて、上下に動く度に感覚を奪っていく。自分を包むしなやかな肉体、その感触を焼きつけなきゃ。苦しい‥‥でも、もっと激しく来て欲しい‥‥

 やがて首を締め付ける指からスッと力が抜ける。二つ三つ大きく深呼吸してようやく意識がはっきりしてくると、顔を寄せて見つめていた樹がそっと唇を吸い付けてきて、身体の上下の接点で再び一つに溶け込もうとする。全身の神経が甘く浸されて‥‥そのまま樹に取り込まれて、同じ血と神経を流して欲しくなる。
 樹は首から指を離すと、ミノルの想いに応えるようにさらに激しく、腰に熱い体温をぶつけながら深く飲み込む。結合部からしたたり落ちる愛液が、肉棒と陰毛をヌルヌルに汚していく。その感触が嬉しくて、もっと樹が欲しくなる。受け身になるだけじゃ物足りない、自分の意志で樹を奪うことができるなら‥‥
 ミノルは上体を起こして、樹にかぶりつく様に強く抱きついた。

 胸のふくらみを押しつけて乳首と乳首をそっとくっつけると、感覚がつながって力が吸い取られていくようだ。顔を後ろに回して耳たぶに軽く息を吹きかける。それに呼応して樹も首筋の一番感じる所を狙って唇を吸い付ける。くすぐったくて力が抜けていって、身体に残るのは互いの愛情だけ‥‥存在を限りなく近くに感じながら、絡ませた腕を強く弱く締め付けて、繊細な感覚を使った会話を二人で楽しんだ。

 樹が欲しい‥‥

 ‥‥いいよ、おいで。

 やがてミノルは自分の腕で樹の身体を揺すり始める。腰を引き付けてさらに深く求めると、樹も自分から身体を揺すって太い肉棒の淫らな味をたっぷりと貪った。腕の中に包み込んで首筋や頬に舌をそっとはわせてやると、唾液の熱く湿った感触が徐々に樹を痺れさせていく。呼吸が荒くなっていくのを感じながら無意識の内に身体の芯を強く突き上げて、徐々に主導権を奪っていった‥‥

 密着して抱き合う体勢から欲望のままに樹を押し倒して、逃がさないようにしっかりとつかまえて覆い被さる。こうなればもう自分のモノ、心の中で欲望が弾けて剥き出しになる。少し怖がる顔をなめるように見下ろしながら、激しいピストンで一気に樹を奪っていく。

 ズチュズチャグチャ、グチュグチュグチャ‥‥

 腰の動きに合わせて湿った音が部屋中に大きく響く。強く責める度に呼吸が荒くなって、反応が明らかに弱々しくなってくる。
「さっきまでの余裕はどうしたんだい?」
 耳元で意地悪に囁くと樹は何か言いたげな顔で自分を見つめるけど、激しいピストンに堪えるのが精一杯で何も答えられない。
 そんな表情を見て、やりすぎたかな‥‥と思いつつ動きを緩める。そっと樹を包み込んで回復を待って、呼吸が落ち着くと感覚が鮮明になってくる。焦る必要はない。ゆっくり、じっくりと樹を味わうことにした。
 太い肉棒をジュブッと突き刺すと、割れ目から熱い蜜がたっぷりと溢れ出して股の間を濡らし、シーツに大きなシミを作ってしまう。でも構わない。大きくふくらんだ亀頭で肉壷の奥深くをしゃぶって、蜜の甘い感触をゆっくり味わうように、中を裂いてしまうぐらいにかき回す。
「ン‥‥ッハァ、アンッ」
 堪え切れない表情をして、樹が思わず声を漏らしてしまう。

 許さない。

 淫らな喘ぎ声を発した口を強く押さえつけて、虐めるように激しく貫く。奥深く何度も突き刺して、くぐもった声が漏れるのを手のひらで呼吸ごとふさぐ。苦しそうに歪んだ表情がすごくイイ。いちばん奥までねじ込んで、そのまま強く抱き付いてキスする。深く深く、奥深くまで汚す。舌をゆっくり絡みつけて甘い感触を味わい尽くす。息が苦しい‥‥でも離さない。後頭部が痺れて意識が遠くなっていく‥‥ゆっ‥‥くりと唇を離す。舌と舌が最後まで絡み合って、唾液がいつまでも二人を結び付けていた。
 樹は息を乱しながら泣き出しそうな顔で許しを乞う。その表情がミノルをさらに欲情させていく‥‥

 腕の中で暖めていたキレイな裸体を横に回して、片脚を思いっきり持ち上げて結合部をあらわにする。長い脚を抱えながら腰を密着させて、太い肉棒を飲み込む姿を眺めながらゆっくりと奥までねじ込んでいく。
 上下から押し潰すように圧力がかかる、さっきと違う締まりかたがまたイイ。横たわる樹の表情を見下ろすと、声を漏らすまい、と強く目を閉じながら堪える姿が視界に入る。

 そう、おとなしくしていればいいんだよ。
 声を出したら‥‥分かってるよね。

 さらに身体を回してひざ立ちさせると、樹は俯せになったまま顔を隠してしまう。上体を起こす力はもうないみたい。すっかり無抵抗になった女体を後ろから[優しく]犯してあげる‥‥

 パンパンパン、ズチュズチャッ‥‥ズチャグチャグチャッ!

 ひざがガクガクして苦しそうに悶える細い下肢に、太く熱い肉棒が突き刺さる、この絵が最高にイイ。興奮してもっと激しく腰をたたきつける。根元まで突き刺して太ももを密着させると、熱い愛液がジワジワと流れてきて、陰毛から太ももまでを一つに溶かしてしまおうとする。肉壷から引き抜くと毒性の愛液がヌルヌルと絡みついてきて、神経を侵食していく。でも気持ちいいから、食虫花の中にもう一度、もう一度と繰り返し突き刺していく。

 ヌチャヌチャグッチャ、グッチャグチャグチャズチュズチュッ‥‥

 樹は反応する力もなく、ミノルの凌辱にただ身を任せていた。痺れてしまって膣にはもう力が入らない、でも裂くように貫くと充分にキツくて気持ちいい。このまま奥底に放ちたい、でも最後ぐらい温もりが欲しい‥‥

 荒い息遣いの身体をそっと仰向けにさせて、すっかり弱った樹を優しく見つめながら、再びのしかかって陰毛が絡み合うまでに深く突き刺す。甘い口づけや胸のふくらみを楽しみながら、腕から脚の先まで全身で樹に絡み付く。

 逃がさない、絶頂まで連れていくよ。

 強くなる腰の動きに弱っていく吐息、二人は痺れるように静かに昇りつめていく。濃密な感覚と穏やかな心の波動が、二人をより深く結び付けていく。

 どこにも行かないで‥‥

 切ない想いが動きを自然と激しくする。樹は静かに想いを受け止めて、熱い吐息で応えてくれた‥‥静かな快感と暖かい沈黙が包む中で、二人の意識は深海に沈んでいく。樹とミノル、互いの存在を確かめながら、快楽の海をユラユラと漂う‥‥

 やがて二人は深い想いの底にたどり着く。最期の瞬間、暖かい腕の中で、樹は安心して静かに昇りつめていった。ミノルは樹をそっと見送りながら、後を追って奥深く入り込んでいく。そんなミノルを樹は暖かく締め付けた。永遠に逃がさないように‥‥

 後頭部が痺れるように熱くなって、深い吐息をつきながら、ミノルは樹の奥底に全ての想いを放った‥‥

 疲れきった二人は身体を寄せ合いながら眠りに落ちていく。温もりと優しさにくるまれて、自分という存在が救われていく気がする‥‥
 意識が闇の淵に落ちていく最期の瞬間、樹の低い囁き声がミノルの心に響いた。それは、すごく優しくて、切ない響きだった。

「アタシはただ、ミノルが欲しかっただけなんだ‥‥」

 まぶたに眩しさを感じながら、ミノルはゆっくりと目を覚ました。そういや昨日は雨戸も閉めずに寝たんだっけ‥‥冷たい空気に触れるのがイヤで、布団の中でしばしボーッとしながら、昨日の事を走馬灯のように思い出す。

 樹はまだ、いるのかな‥‥?

 ベットの上にあるはずのもう一つの温もりを探したけど‥‥そこには何も無かった。ベットにはミノル一人が横たわっているだけ。
 布団から出て、冷え切った部屋の隅々までを探しても、自分以外の人間の痕跡はどこにも見当たらなかった。脱ぎ捨てたダッフルコートも、玄関にあるはずの黒いブーツも、みんな忽然と姿を消していた。

 樹は消えてしまった‥‥しかし、ミノルには不思議と寂しさは無かった。ただ、夢から覚めたような感覚があるだけ‥‥

 靴箱の上に自分の財布が置いてある。何でこんな所に、と訝しがって財布の中身を確認すると‥‥
 やられた!財布からは万札が一枚、しっかりと抜き取られていた。
 抜き取られた跡には代わりにレシートが一枚入っていて、裏にはこう書いてあった。

 愛してる、ミノル。またどこかで逢おう。

 [愛してる]って言葉は無意味だって、オマエ自分で言ってたじゃねーかよ‥‥

 気が抜けてその場にへたりこんでしまうミノルの姿を、よく晴れた朝の光がイヤミみたいに眩しく照らし出した。

 あの日から2カ月、ミノルはいつも通り会社への道を歩いている。ふと見ると桜のつぼみが所々ピンクに開いている。このくらいの咲きかたがいい。満開になったら後は散るだけだから‥‥
 ミノルを取り囲む状況は、相変わらず冷たいままだった。どうすれば周りの人間に受け入れられるのかも、いまだに分からない。
 けどそんなことはどうでもいい、と思えるようにはなった。自分は自分だし、周りがどう見ても自分の仕事をしっかりやれば最低限の居場所は確保できる、ということが解ってきた。この前のリストラで二人ほど飛ばされていったけど、誰も同情さえしなかった。冷たいヤツらだ。まあオレは最初から関係ないけど。
 周りがどうこうよりも自分を信じて生きる、という強さを樹の見事なまでに身勝手な生き様から教わった。しかし、それと同時にミノルの心には決して埋まらない隙間ができてしまった。

 もう一度、樹に逢いたい。

 樹はもうこの街にはいないんだろうか。あのまま未だに家にも帰ってないんだろうか‥‥
 あの日から何度となく樹のことを思い出した。ベットの上には樹の温もりがいつまでも残って、夜な夜なミノルを包み込んだ。小春日和の日、最初に出会ったビルの谷間で、一日中、樹の残像を追い求めたこともあった‥‥
 しかしどんなに強く想っても、ミノルには樹の消息を知る術は無かった。なにしろ住んでる所も電話番号も知らないのだから。

 もう、樹に出会うことは無いんだろうな‥‥

 そんなことを想いながら赤信号の向こう側をぼんやりと眺めていると、しばらくして視線が一か所にクギつけになった。その瞬間、信じられない思いで目を見開く。

 樹‥‥なのか?

 確信は持てなかった。しかし、鮮やかな黒髪の背の高い[天使]が横断歩道の反対側、人波の向こうに確かにいた。コートを脱いで、少し表情が穏やかになった気もする。

 black angel‥‥墜天使はどこへも行かず、今もこの街でふてぶてしく生きている。

 ミノルの中から止められない想いが溢れ出す。そしていつかの夜のように、赤信号を突っ切って走りだした。

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