通勤電車のドア付近で、私は車窓に流れる街並みをボンヤリと眺めていました。 いつものように、目に飛び込んでくる看板の文字を意味もなく追ってみます。 会社に着くまでの、この意味のない時間・・・私は嫌いではありませんでした。 ……
通勤電車のドア付近で、私は車窓に流れる街並みをボンヤリと眺めていました。 いつものように、目に飛び込んでくる看板の文字を意味もなく追ってみます。 会社に着くまでの、この意味のない時間・・・私は嫌いではありませんでした。 ……
(あぁ・・・また・・・) 亜弓は満員電車の中で必死に身をくねらせていた。今年の春に社会人になったばかりの彼女は毎朝の満員電車に辟易していた。そして、必ずと言っていいほど現れる痴漢達。この混雑ではどうにもならない。今も、太……
深夜11時過ぎの誰もいないオフィス。私はパソコンに保存されている膨大なファイルを1つずつ目視確認する作業をしていました。非効率極まりなく、面倒な仕事ですが他の人に頼むわけにはいかない理由があるのです。 先月、新しく支店長……
「バカヤロー!買ってこいって言ったのは【オイケヤ】のポテトチップだぞ!これ違うじゃねーかよ!」 ここは女子高体育館の用具室。 あたしは正座をして震えている少女「北原ゆかり」の目の前に立ちはだかり、何度も繰り返し罵声を浴び……
「あー、山や高原で綺麗な空気が吸いたいなあ・・」 るりは、校門に向かって歩き出しながら、赤い手袋に包まれた手を空にかざした。 「可愛いお花見たり、川のせせらぎに手を浸したりさあ・・」 今は12月で、冬である。 「花な……
1. 俺こと国坂彰の彼女は、あの超有名人、榎本遥である。 彼女とつきあいはじめて3ヶ月が経ち、俺らは、いわば『公認のカップル』ってヤツになった。 俺の友人どもは、今は彼女に関するコメントを慎重に控えている。だが、俺……
ベッドのきしむ音。 「あぁ、いやぁん‥‥」 私を背後から抱きしめ、パジャマの上から私の乳首を弄ぶ指。 それは間違いなく愛する悟のぬくもり。 悟の手が私の胸にからみつく。指の先が乳首をはじいた。 そして悟の指はパジ……
“早起きは三文の得”とは昔っから言われてきた事だって、バカなあたしも知っている。でも“三文”なんて言われても、それが現在においてどれだけの貨幣価値があるかなんて知らないし、少なくともあたしにとっては早起きなんかよりも、……
都内某所。 私は『隠れ家』の最寄りの駅より2駅ほど離れたファミレスにいた。1人だ。何故、1人でわざわざ遠く離れたファミレスにいるかというと、ここに獲物がいるからに他ならない。 休日なので客はそれなりに入っているが、喫煙コ……
都内某所。 ある日、私は行きつけのマッサージ店へ行った。その店は駅前の賑わいを避けるように、大通りから一本入ったところにある。私の『隠れ家』からは徒歩5分程度で、月1回のペースで通っている。料金は他店に比べて比較的高めだ……