Four Pieces of Green Fruit8

女性もえっちな妄想をしてもいいんです。
当サイトは、アフィリエイト広告を利用しています

アダルトな読み物のお部屋

Four Pieces of Green Fruit8
2021年07月27日 00時38分

「すげぇ・・真っ暗」

 誰もいない学校の廊下を、足音を忍ばせて歩く。彰の心臓は故障しかねないほどの勢いで打っている。

 真夜中の校舎に侵入なんて、泥棒にでもなった気分だ。やはり校庭にしておくべきだっただろうか。しかし、外は寒すぎる。それに「教室でエッチ」のほうが、よりリスキーでスリリングではないか。万が一誰かに見つかったら停学モンだが、停学が怖くて高校生がやってられっか、である。

 昇降口には当然鍵がかかっていたが、遥は簡単にこじ開けてしまった。れっきとした不法侵入である。

 足音を忍ばせて階段をあがり、自分たちの教室の前まで来た。

 ホコリっぽい教室の匂いは、昼間と変わらない。だが、真夜中の教室には、なにか得体の知れない幽霊が潜んでいるような気がする。

「どこにしようかな・・」

 遥が言った。

 手錠をつけたままゆっくりと歩き、最後列の窓際の机の上に座った。

「俺の席じゃん」

 遥の歯がチラッと光った。外からはかすかな月明かりが差している。

 遥はダウンジャケットの前をはだけた。

 その下はタンクトップ一枚だ。

 彰の顔を見つめながら、ゆっくりとタンクトップをあげていく。下のほうから少しずつ、青白い肌があらわれる。ノーブラだ。乳首がやっと見えるかどうか、というぎりぎりのところで動作をとめ、遥は長い中指の先で、右の乳首をピンと弾いた。その指が肌をすべり、だんだんと下りていく。焦れるほど緩慢な動きでジーンズのファスナーを降ろし、彰に聞いた。

「今日はどういう風にしたい?」

 からかうような声音だ。

 彰は答えずに、遥の背を窓に押し付けた。机がガタッと音をたてる。

自由なほうの右手で遥の背を抱きながら、タンクトップの裾を歯でくわえて完全にめくってしまうと、胸の先っぽに口づけた。あったかくて、柔らかい。すぐに石のように固くなった乳首を舐め、吸った。

 胸から鎖骨へ、しなる首筋へと唇をあげていくと、押し殺した声で遥は笑った。

「くすぐったい・・」

 冷たい耳たぶをコリッと噛むと、遥はますます笑う。その唇を自分のそれで塞ぎ、ディープキスをする。遥の巧みな舌にからめとられ、欲望のボルテージはもうほとんど最大だ。スリルがボルテージをさらに押し上げていく。

 明日には _____ 正確に言えば今日の朝だが_____ またこの教室に戻り、何食わぬ顔で授業を受けるのだ。彰は担任の禿アタマを思い浮かべた。先生ゴメンナサイ。なんて悪いことをしてるんでしょうか僕タチは。

 股間がひやっと冷たくなった。

 いつのまにか、こっちのジーンズのチャックが開かれ、遥の冷えた手がそこにもぐりこんでいる。片手だけで器用にムスコを取り出し、指の腹で裏スジをコシコシやり始めた。

「うっ、ちべてぇ」

 彰は身をすくめた。

「すーぐあったかくなるって」

「なー・・手錠はずしたいんだけど」

「だめ」

 彰は膨れた。だが、「手錠をしたまま」という不自由さに、いささかゾクリとしないでもない。

「じゃさ、レイプごっこはどぉ?」

 ニヤニヤしながら聞いてみる。

「『逆』?」

「ちげー。ホンマもんのほう」

「教室でレイプって・・。もろAVの見すぎだな」

 ブフッと遥が吹き出す。

「それはそっちだろーが。AVのコレクション隠し持ってるくせによ」

「隠し持ってるんじゃなくて堂々と持ってるんだあたしは。言っとくが、よりすぐりの逸品ばかりだぞ」

「あのな」

 話がズレそうなので、軌道修正をする。

「今日はさあ、ほんとは山でエッチのはずだったよな。俺はやる気マンマンだったのにさ、ぶち壊しにしてくださいましたよねぇ?」

「言葉もございませんわ」

「じゃ、やろ。んな?」

 遥はニヤッと笑った。

これは承諾の笑いだ。彰は嬉しくなり、さっそく遥の口を手で塞いだ。

「でも声出さないでくれよな。場所が場所だしさ」

「れいふのくへにやはしふぎ」

 レイプのくせに優しすぎ、と聞こえた。それもそうだ。『ごっこ』というのは真剣にやるからこそ意味を成すのである、と彰はマジメにうなずいた。

「じゃ、フェラしろよ」

 唐突に口調を変え、居丈高に命令する。

「んだとぉ?」

遥の眉がキリキリと吊りあがった。フェラ命の遥だが、命令されるのは大嫌いなのである。

「いーからしろって、はーやーく」

 遥の肩を掴んで机から降ろさせると、自分が腰掛けた。

「むかつくなあ、こいつ・・」

 鋭い目つきで睨みつつも、遥は彰の脚の間に屈み込んだ。

「あーダメダメ。もうちょっとしおらしくしろよな。これは『ごっこ』なんだからさぁ」

 彰は調子づいて笑った。

ああ、楽しい。

このあとの仕返しがちょっと怖いとビクビクしないではないが、この遥に無理強い、というのはかなりいい。

遥は、膨れた先っぽを浅くくわえた。

やる気のない感じでチロチロと舐めていたが、やはり天性の素質がものをいうのか、次第に集中し始めた。

 先端の切れ込みを集中攻撃される。ねっとりとした舌先でイヤらしい音をたてながら、感じやすいところばかりを執拗に責めたてている。

「あっ・・」

 股間の上で、遥の頭が浮き上がり、一気に深く沈んだ。まるでキングスネークが卵を呑むように、ズルリ、とペニスが奥まで呑み込まれていく。熱い。狭い。ちょっと痛い。

「あ、ちょ、ちょっと待て、早すぎ」

 本格的な圧搾作業に突入された。いやあん、とペニスが叫んでいる。キモチ良すぎて、瞬間的に意識が浮き上がった。先端からニュルニュルと液体が滲み出すのがわかる。

「ん・・う・・く」

 ダメだ。イカン。

 ああしろこうしろ、と傲慢に命令を下すはずなのに、これじゃいつもとどう違うのだ。

「あっ・・うぅっ・・も、もういい」

 口内発射をしたいのは山々だが、遥の頭を掴んでフェラをやめさせた。腹につきそうなほど屹立したサオが、まるで抗議のようにビクビクと動く。

「横になれ」

 ハアハアと苦悶の息を吐きつつ、彰は並んだ二台の机を顎で指し示した。自分の机と、隣の河野というマジメな女子の机である。河野サン許せ、と心のなかで謝罪する。

「やだ」

 遥はぶすっとしている。せっかくのフェラを中断されて怒っているらしい。

「なれって」

 ムリヤリに押し倒すと、机がガタガタッと派手な音をたてた。やべえ、と心臓が縮み上がる。

「やだ、もう!」

 遥は足をばたつかせて抵抗した。

 —– えっ、これってマジで抵抗してんのか?

 のしかかって押さえ込みながら、彰はうろたえた。

だが、力が弱すぎる。もし本気で抵抗しているのなら、睾丸を蹴った上に半殺しにしかねない女だから、これは違うと結論を下す。あんまり演技が上手いので判断に迷う。

「やだ、離して・・いやっ」

のけぞって逃れようとする姿が、彰のなかのSを刺激した。むき出しのおっぱいを強く揉みながら、手錠の左手で遥のジーンズと下着を膝まで降ろした。やりにくいが、もう力任せだ。

濡れた股間に手を差し入れる。

「イヤ・・あ・・だめっ・・」

 遥が身をよじった。

「いや・・いや・・やめて・・」

 —–うわー、いい、いい、もっと言ってぇ。

彰は鼻息を荒げ、熱い肉の中に指を埋め、かき回した。

 彰が興奮している。

 てらいのない欲望丸出しの顔は、いっそ「純粋無垢」と呼べるほどである。

この顔を見るためなら、どんなことでもする。彰がしたいなら、こんなレイプごっこなんか、百万回でもやってやる。

自分を殺すって美しい。あたしってなんてケナゲな女なんだろうか、と奇妙な自己陶酔に浸りながら、目を閉じて彰の指の愛撫に身をゆだねた。

「あ・・ん・・あ・・」

クチュクチュとかき回されて、アソコがたまらなくジンジンしてきた。

頼むから早く入れてほしい。指じゃなくて彰のオチンチンがほしい。でなきゃせめてフェラくらいちゃんとさせろよな、と要求しそうになるが、これは「レイプ」だから、要求なんかしたら身もフタもないのである。

 ジーンズと下着を脱がされ、脚を広げられた。

「あっ・・イヤっ」

 ぜんぜんイヤではないのだが、恥じらって叫び、脚を閉じようとする。

 彰は遥の股間に顔を埋め、大きなストライドで舐め回し始めた。強制クンニである。強制というのがミソなのだろう、いつも以上に攻撃力がすごい。噛み付かれるんじゃないかと、ちょっと腰が引ける思いだ。

「や・・あん・・あっ」

 背筋を快感が駆け上り、遥は身を震わせた。

 彰の舌は、めちゃくちゃキモチがいい。

セックスを初めて経験した十三歳の時以来、クンニを好きだと思ったことはなかったが、この舌だけは別格なのだ。

 クリトリスと膣を忙しく往復していた舌が、アナルまで下がってきた。小さなその点をザラザラと舐められ、一瞬我に返る。

「ん・・?」

 ひょっとしてこれは、報復か。いつも彰のアナルを苛めていることへの。

 ・・と思っていたら、指が入ってきた。

「あ! やだ!」

 腰がくっと浮いた。本気でビックリしていた。

「入った入った」

 彰は笑いながら顔をあげ、再び遥にのしかかると、愛液に濡れた唇を重ねてきた。顔をそむけ、遥は呻いた。

「や、イヤ・・抜いて」

「痛いぃ?」

 憎たらしいことに、クックッと笑っている。「報復」が楽しくて仕方ないらしい。『飼い犬に手を噛まれる』という表現が頭に浮かび、頬には笑いが浮かんだ。

「抜け、こら」

 スに戻って命令しながら、遥はとうとう笑い出してしまった。まったく、なんて男だろう。油断もスキもあったもんじゃない。

「あ~あ、笑っちゃ『ごっこ』が台無しだぜ」

 言いながら彰も笑い出したので、『ごっこ』はカンペキに瓦解した。

 今度こっちに入れてみたいよーな気もするんだけど・・と要求だか独り言だかわからないことを呟きながら、彰はアナルの中で指を動かしている。痛い。こんな小さな穴に彰のモノを不用意に突っ込まれたら、亀裂、破損、垂れ流しである。

だが、遥は囁いた。

「いいけど、優しくしてよね? バージンなんだから」

「バージン?」

「そ。経験ないもん」

 本当である。彰のアナルを苛めるのは大好きだが、自分のものには無関心なのだ。

「わー、めっちゃいい響き・・バージンか・・」

 彰はうっとりとした顔になった。

「なんか、マジで入れたくなった」

「今度な。ごほうびに」

 彰の鼻をキュッと摘む。

「ごほうび? なんの」

「甲子園出場の」

「マジ?」

「ん」

 だけど・・・と遥は笑みを濃くした。今日はアナル攻撃はやらせない。申し訳ないが、ぜんぜん気分じゃないからだ。

 片腕で彰の首を抱き、唇を重ねる。腰をクッと上げ、ストンと落とすと、指がアナルから抜けた。右足を彰の左足にからませ、同時に手錠の手を右下方に引っ張った。

「あわっ」

 彰は遥の上からすべり落ちた。だが、反射神経がものをいい、とっさに机にしがみつき、床に膝をついたので、ぶざまな転落はしなかった。遥は手錠に引っ張られながらすばやく机から降りると、彰の胸ぐらを掴んで床に押し倒した。

「お、おいっ」

 身を起こそうとするのをまた押し倒し、首筋をじっとりと舐め上げる。

「レイプごっこはもう終わりだろ? 早くやらせろ」

「まだ終わってねえぞ!」

 ああ、ぷんぷん怒っちゃって、なんてキュートなのだろうか。

「じゃあさっさと犯して。もうオチンチンが待ちきれない」

「笑って言うなっつーんだ」

 彰はムウッとした顔で遥の腕を掴み、瞬時に体勢を逆転させた。そのハズミで、遥の頭が机の脚にあたり、ガツッと音をたてた。

「いてっ、乱暴もん」

「どっちのせりふだ!」

 遥の太ももを抱えてぐいっと広げるか早いか、ずいずいと侵入してきた。勢いが激しいので、体ごとズズッと前方に移動する。

「あ、ん!」

「これで満足かよ」

 実にイヤミったらしい口調だ。だが、遥はそういう彰に興奮する。戦いの火蓋が切って落とされるこの瞬間は、何にも変えがたい。

 そう、セックスは戦いなのである。

 キザを承知で言えば、ラブ・ファイティングと名づけてもよかろう。

勝つも負けるもよし。というよりは勝っても負けるし、負けても勝つ、という、これはもう禅問答の境地である。レイプごっこしかり、ソフトSMしかりだ。彰とじゃなきゃ、こんな極楽ファイティングは絶対にできやしない。

「まだまだ」

 遥は挑発をこめて笑った。

 ペニスが突き当りまで入ったので、彰の腰に両脚を巻きつけ、奥のほうから締めつけていく。彰が苦しげに顔をしかめる。キリッと歯を食いしばり、遥の顔をまっすぐに見た。遥も彰を見返す。

唇をあわせる。

舌と舌で、無言の言葉を交わす。

彰が突き、遥が跳ね返す。遥が引きずり込み、彰がかわす。ペニスと膣がせめぎあい、からみあい、睦みあう。

 遥が上になった。

 彰の両手を握り締める。手錠の鎖がジャラリと音をたてた。自らの快楽と彰のそれのバランスを注意深く取りながら腰を動かし、つかのまの支配を楽しむ。コントロールする喜びが、コントロール不可能の狂騒に変わっていく経緯を、遥はつぶさに、貪婪に楽しむ。

「あ・・・」

 遥は震えるまぶたを閉じた。

 頭のなかに、早い雲がどんどん流れていく。

 これから始まる長い絶頂の尻尾を、今掴んだ。

 __________ もぉ、ぜんぜんレイプごっこじゃねーじゃんよ。

 自分の上で喘ぐ遥の顔を見つめながら、彰は苦笑いをした。結局、こういうことになっちゃうのである。本気で「ごっこ」を遂行しようと思えば、彼女をふんじばるしか方法はない。大人しく縛られてくれるかどうかは疑問だが。

 だが、もう少しだ。

 そう、ラスト三分前にはこっちが主導権を取れる。

「あ・・すごい・・いい・・彰・・」

 眉間に皺を寄せ、遥はよがり始めた。目から正気が失われ、長い首筋が、体がのけぞっていく。一瞬、痛いほどに締め付けられ、彰は歯をくいしばった。先端から根元へ、根元から先端へと、遥のなかに住む魔物は、千の触手で彰をいたぶっていく。

「あ・・ふ」

 くいしばった上下の歯の隙間から、うめき声がこぼれる。気持ちいい。目を閉じると何も考えられなくなる。国坂彰という人格がバラバラに壊れていく、これは破壊の喜びだ。

「んっ、ぃああっ、ああっ・・んっ!」

 遥の声のボリュームが増している。彰は目を開け、吸い取られるがままに放出してしまいたい、という衝動を振り切った。遥を引き寄せて半回転し、再び自分が上になる。

「い・・やん!」

「シー」

手で彼女の口をふさいだが、あきらかな拒否の表情で指を噛まれた。遥はもう、アッチの世界にいってしまっている。教室でエッチ、という異常なシチュエーションのためか、今日はとりわけエクスタシーが深そうだ。

「遥・・」

 スピードを速めて突き上げながら、名前を呼ぶ。喘ぐばかりで返事がない。コッチはイキたいのを我慢してるんだから、返事くらいしてほしい。かなり寂しい。

「遥、遥ってば」

 耳元で何度も呼んだ。

「あ・・ん?」

 コッチの世界に引き戻され、遥は不満そうな目を半開きにした。

「キモチい?」

 聞いたとたん、頭をバコッとはたかれた。明々白々なことを聞くな、という意味だ。

殴った頭を引き寄せ、遥は唇を重ねた。まるで彰から水を飲むように、唇が、舌が吸い付いてくる。

「死にそう・・キモチよくて、死に、そう・・」

 遥は震えながら囁いた。

「一緒にいこ・・彰・・」

 一瞬微笑むとまた目を閉じ、左手で彰の背を抱いた。

「うん」

 彰は手錠でつながった彼女の手を握り締めた。

もう一生はずさなくてもいいな、この手錠・・と思いながら、遥のおでこと鼻とほっぺたに、続けざまにチュッとキスをする。

 カウント・ダウンが始まる。

 遥に絞られ、こっちは突き上げながら、終わりまでを彰は走り続けた。真っ暗な教室に、二人の激しい息と、体液のからみあうエッチな音だけが響いている。

「あぁ!」

 遥がひときわ大きな声をあげた。

「イク・・イッちゃう・・もう、だ・・あんっ!」

「こっち・・も」

「ひゃうっ、あ、ああ!」

彰はうぐぐ、と唸った。ゴールがすぐそこに見えてきた。遥と一緒に駆け抜けるゴールだ。

「イク・・よ、いいな?」

「ん・・んん」

 光る遥の眼が、まるで氷が溶けたように、とろりとした涙をこぼした。

ほそい胴体がわななき、小刻みな痙攣が始まった。エクスタシーの高い頂に彼女が達したのが、はっきりと見て取れた瞬間、あわせた唇をキュウッと噛まれ、思わず顔をしかめる。

「あ、ふっ・・!」

 唇の痛みに耐えながら、ドクドクと波打って噴出した精液を、彼女のなかに放出した。

「は・・あ・・」

 腹のほうから、激しい胴震いに襲われる。

腰をぐるりと動かして、遥のなかに最後のしずくを注ぎ込んだ。

とろんと半開きになった遥の唇に、うっすらと彰の血が滲んでいる。

「この肉食獣」

 彰は笑って自分の唇を舐め、彼女の唇を親指でぬぐった。

 肉体的な快感が、すうっとひいていく。

だが、ペニスはまだ硬さを保っている。山登り+救助作業で体を酷使した本人よりも元気なくらいだ。

 ペニスが抜けないように気をつけながら、遥を横向きに抱え、顔を見つめた。まだ弛緩している彼女の、目じりから耳にかけて、一本の涙のあとが、闇のなかにきらきらと光っていた。

 きれいだな、と思った。

 遥の涙を見たのは、初めてだ。なんとなく、涙腺のない女なのかなと思っていた。

なんだか胸が締め付けられ、目の奥がじわじわと熱くなった。

「な、遥・・」

 呼んでみたが、むろん返事はない。

 まったくもって、イヤになる。

 寒い真っ暗な教室で、座礁したイルカを律儀に抱きしめ続けているなんて、これはもう末期症状だ。

_________ 俺って、いつからこんなに優しい男になっちゃったんだろ。なんだか、嬉しいような、悲しいような・・・

「なーに泣きそーな顔してんだよ」

「え」

 見ると、遥がイジワルな笑みを浮かべていた。だしぬけに理性が戻ってきたらしい。

「してねーよ」

「してましたね」

 検分するように、彰の顔を見つめている。

 このS女め。

 からかうとなるとマジでしつこいんだからな・・と、彰は防御体勢を整えた。

たが、遥はもう何も言わなかった。その代わりに彰の頭をひと撫ですると、頬に優しいキスをひとつした。

この小説がよかったらいいねしてね
0
シリーズ連載 :