迷える性奴隷 葵

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迷える性奴隷 葵
2021年06月29日 23時16分
DUGA
PINK DOLL

都内某所

東京にしては人気のない駅の改札を一人の美女が通り抜けた。夏も終わり、残暑という不良債権に舌打ちをしつつ、彼女は9月のしつこい陽射しに顔を顰めた。

彼女は桐生葵(きりゅう・あおい)。21歳。フリーターである。
「ふぅ」
葵は溜息をつく。そして煙草を取り出し、慣れた手つきで火を点ける。日陰に入り、駅前のロータリーの様子を眺める。老人、老人、老人。平日の昼間は暇を持て余した老人ばかりだ。葵は神経質に煙草の煙を吐く。禁煙の張り紙の目の前で喫煙をする彼女に注意をする者はいない。ブランド物に身を固めたスタイル抜群の美女に怪訝そうな眼差しを向ける者がほとんどだ。
「つまんない」
葵は煙草を捨て、足で踏みつけた。

途中でタクシーを拾って、『ご主人様』のアジトへ向かう。タクシーの運転手の好意的な視線を無視して、窓外へ目を向ける。『ご主人様』のことを考えていると体中が敏感になり、下着が僅かに擦れただけでもピクッと感じてしまう。妄想に耽っていた葵はタクシーを降りる頃にはアソコが大洪水状態となってしまっていた。
「あーあ、下着買わなきゃ」
でも買わない。このまま『ご主人様』に会って、忠誠をアピールするのだ。

葵は目的のマンションに着いた。エントランスのモニター画面に教えられた部屋の番号を入力する。ピッという電子音とともに、一瞬ザラついた音が漏れる。部屋に繋がったのだ。部屋の中のモニター画面には自分の顔が映っているはずだ。葵は満面の笑みを浮かべて、手を振った。もう一度、ピッという電子音。今度はエントランスのドアが開いた。
「何か言ってくれればいいのに」
葵は毎度の不満を最上階まで上がるエレベータの中で呟く。『ご主人様』は最上階フロアの全室を『所有』している。

「ご主人さま、こんにちは!」
大きなパソコンモニターに向かう男性の背中へ声を掛ける。『ご主人様』は振り向こうともせずに、横脇のラックを指さした。
「それを着なさい」
そこにはスクール水着が置いてあった。かなり小さめのサイズだ。
「はーい」
葵は文句を言わずに、着替え始めた。『ご主人様』はコスプレ好きなのだ。

「あん、きつい」
苦労して着た水着は、あまりにもきつすぎて、自慢の胸を押し潰し、股間に深くくい込んでいた。
「ご主人さまぁ、着ましたよー」
そこでようやく『ご主人様』がこちらを向いた。アイドル顔負けのルックスと眩しいほどの笑顔。葵は途端にメロメロになってしまった。
「そうだね、よく似合ってる」
『ご主人様』は水着をグイグイ引っ張って股間を刺激する。
「あぁ!!!だめぇ・・・」
「痛いのか?」
「痛いけどぉ・・・くい込んで・・・」
「気持ちいいのか?」
「はぁ・・・はぅ・・」
『ご主人様』はポケットからローターを取り出し、いきなり股間にあてがった。予想していなかった葵は急な刺激にもんどり打った。股間の締め付けがローターの刺激を増幅させる。
「あっ!だめぇ!そんなぁ!!!」
葵の混乱をよそに『ご主人様』は丁寧にローターを操作した。計算づくの刺激の前に葵はあっという間に昇天してしまった。
「はぁ・・すごい・・・はぁ・・」
「お前は本当に感度がいいな」
「うー」

何気なく昇天させられてしまったが、『ご主人様』の責めはあまりにも鋭い。男性経験豊富な葵がこれほどまでにあっけなく昇天させられてしまうことなど今まで有り得なかったのだ。どんなに自信満々の男でも、彼女を昇天させることは希で、ほとんどは先に果ててしまったのに。

『ご主人様』と知り合ったのは、とある秘密クラブの会員だった彼が気まぐれに葵を指名したのが始まりだった。それまで彼がずっと指名し続けていた女性が急遽退会してしまったため、たまたまその時空いていた葵に指名が入ったのだ。モロ好みのルックスの『ご主人様』に一目惚れした葵は、どんな形であれ自分を指名してくれた彼と甘いひとときを過ごせることに喜びを感じた。しかし、『ご主人様』が別れの挨拶をして部屋を出て行く頃には葵はボロボロだった。性行為に対する自信とプライドを粉々に粉砕された気分だった。今までの何十人の客を全員合わせても、彼一人に敵わないくらい凄まじかった。

『ご主人様』は2度と葵を指名しなかった。が、彼の虜になってしまった葵は執念で彼のアジトを聞きつけ、半ば強引に主従の忠誠を誓った。初めは冷たく応じた彼も葵の熱意を受け入れたのか、それ以来、葵がマンションへ通い詰めても文句を言うことはなかった。
「お前は劣性だ」
「・・・はい」
『劣性』。この言葉を何度言われたかしれない。彼の前では、以前のプライドなど塵にも等しい。完全無欠の『ご主人様』にとって、世の中のほぼすべての女性が『劣性』なのだろう。しかし・・・

「『あいつ』だけは特別だった」

これが『ご主人様』の口癖だった。『あいつ』というのは、彼が秘密クラブで指名し続けた女性に違いない。おそらく彼が『優性』と定義する女性の中でもトップクラスの女性なのだろう。葵は名前すら知らされていないが、その女を想像するだけで狂気に近い嫉妬を覚えるのだった。

携帯の着信音のような音が鳴り、『ご主人様』のパソコンモニターにポップアップ画面が現れた。葵の位置からでは画面が良く見えなかったが、小柄な女性が映っている。彼は無言で許可のボタンを押した。おそらくエントランスのロックを解除したのだろう。
「志穂ちゃん・・・ですか?」
「そうだ」
葵は乳首を吸われながら、志穂の顔を思い浮かべた。葵のようにブランド物に身を固めるお姉さんタイプではなく、完璧なほどのアイドルタイプの女性である。年齢は19歳。葵は志穂のことがあまり好きではなかった。年齢に対する嫉妬もあるが、葵が『なりたかった女性の姿』が志穂だったからだ。モデル体型で顔の彫りの深い葵はどうしても美人タイプであり、『可愛い』女性にはなりきれないのだ。
「こんにちはー」
明るい声が玄関から響いてきた。志穂は大人しめの服装だった。ブランドには全く興味がないようで、それでいてファッションセンスが抜群に優れている。彼女もフリーターだ。
「あー、もうエッチしてるんですね」
『ご主人様』が葵の乳首を舐めているのを眺めて、志穂はニンマリ笑った。葵は背筋が凍った。志穂は見た目からは想像できない淫乱女なのだ。
「葵さん、気持ちよさそう」
早速葵の太ももに頬を寄せる志穂。葵は一気に興奮の渦へ流し込まれた。『ご主人様』の鋭すぎる責めでも精一杯なのに、志穂に参戦されては抵抗の術がない。
「あはぁ!!!」
志穂がアソコを舐めてくる。何の抵抗もなく、同姓の股間に舌を這わせる。ご主人様はアソコ以外の性感帯を刺激する。志穂が加わってものの数分で2度目、そしてすぐ3度目の昇天を迎えた。
「はぁ・・・はぁ・・もう・・だめ・・」
「あーあ、葵さん、早すぎぃー」
葵は志穂の声に目を瞑った。敗北感。数ヶ月前までは、『ご主人様』や志穂に会うまでは、性行為に対して自信満々だった自分のプライドが粉々に砕け、今や形すら残っていない。
(この人達は別次元なんだ)
そう思うしかなかった。ちなみに志穂は『優性』らしい。

「志穂、流奈姉さんも来るぞ」
「本当ですかー。やった!」
6度目の昇天で意識が飛びそうになった葵の耳の片隅でそんな会話が聞こえてきた。
(流奈?)
一人占めできると思っていた『ご主人様』の周りにどんどん女性が現れる。
「もうすぐ来るはずだ」

流奈は圧倒的な存在感を持った女性だった。おそらく20半ばだろう。銀座の高級店が似合うような女性だ。
「流奈さん!」
志穂が嬉しそうに流奈に抱きつく。
「あらあら、相変わらず可愛いねー」
2人のタイプの異なる美女がキスを交わす。流奈の手が志穂の股間をまさぐっている。
「あふぅ・・いきなり・・ですかぁ」
嬉しそうに腰を振る志穂。葵は朦朧とする意識の中で、ゆっくりと立ち上がった。相変わらず水着がきつい。『ご主人様』がそれに気づき、流奈に声を掛けた。
「おい、流奈。こちら、葵だ」
流奈の視線がにわかに厳しくなり、葵の全身を値踏みする。
「綺麗な子。優性?」
「いや、その子は劣性だ。だが、見所はある」
「そう」
流奈の手が伸びて、葵のパンティが少しだけズラされる。初対面の挨拶にしては、過激だ。葵は心持ち下がって距離を置こうとしたが、流奈は素早く葵との距離を縮めた。
「可愛い水着。逃げたらダメ。子猫ちゃん」
耳に息を吹きかけられ、葵は流奈の挨拶を受け入れることにした。

「あぁぁ!!!」
葵の愛液が止めどなく飛び散る。蜜壺を掻き回しているのは流奈だ。水着は脱がされて、全裸状態だ。目の前で志穂と『ご主人様』がネットリと絡み合っている。
「いやぁぁ!!!」
あまりに激しい刺激に葵はもんどり打つ。しかし、蛇のように絡みつく流奈の手足がガッチリと葵の肢体を固定し、抵抗する術をなくす。これでは、縄で拘束された状態でバイブをガンガン突っ込まれているようなものだ。
「イクっ!!!」
「だめ!まだイッたらダメ!」
強い調子の言葉に葵は怯える。恐怖に陥りながらも、股間はグチュグチュに濡れてしまう。
「流奈さん・・もうっ・・本当に・・」
「ダメ!今、イッたら、劣性のままだよ!」
「はぁぁ!!!うぅ・・」
ダメと言われても、どうしようもない。あらゆる手を使って耐えてみたが、既に限界だった。流奈と会うまでに6回も昇天しているのだ。
「イクッ!!!!」
腰が跳ね上がり、急激な浮遊感を味わった。葵はそのまま眠りに落ちた。

目覚めたのは2時間後だった。部屋には『ご主人様』だけが残っていた。
「あれ?志穂ちゃんと流奈さんは?」
『ご主人様』は面倒くさそうに振り向いた。彼はエッチの時以外は常にパソコンの巨大モニターに向かっている。
「隣の部屋で楽しんでいる」
「・・・そうですか」
流奈の体に触ることすら出来なかった。
(この人達は別次元なんだ)
何度言い聞かせても、葵は悔しさを滲ませるだけだった。

「葵ちゃん、葵ちゃんは最高だよ!」

何千回と聞いた言葉。秘密クラブを辞めた今、誰もこんな言葉をかけてくれる人はいない。『劣性』の烙印を押され、日々『ご主人様』への片思いに耽る毎日。普通に生きれば、いくらでもチヤホヤされると分かっていても、自分が踏み込んだ世界に溺れていくしかなかった。

ご主人様への片思いの日々が続いた。毎日のようにマンションへ通いつめ、その度に淡白に扱われ、志穂や流奈に格の違いを見せつけられ、『劣性』である自分を呪った。
(こんなにご主人様のことを愛しているのに)
ご主人様は自分の声に姿に、いや存在自体に振り向こうとしてくれない。性奴隷として忠実な奉仕に励んでも、『劣性』である自分には力不足なのだ。

心地よい秋の季節が終わり、世間が冬の厳しさを思い出して憂鬱な気分に浸ろうとしている頃、ご主人様の機嫌が優れない時期があった。普段の冷静沈着な雰囲気はなく、苛立たしそうにタバコをふかし、葵に八つ当たりした。葵はボロ雑巾のようになるまで責められ、ご主人様の怒りを一身に受けた。まるで、ご主人様の不機嫌な理由が葵そのものであるかのように。
「いやぁぁぁ!!!」
葵の体力、精神力は限界を大きく超えていた。しかしそれでもご主人様の怒りは収まらなかった。葵は死に物狂いでご主人様の心の乱れを宥めようとした。ご主人様の愛を獲得するためなら、どんなことでも甘受できたのだ。
「何故だ!何故だ!」
鼓膜が破れそうなくらい怒鳴りつけられる。ご主人様の怒りの原因は彼の愛する『優性』達の裏切りだった。

事の発端は1週間前だった。志穂が他の男と歩いていたところをご主人様が目撃したのだ。その晩、志穂はご主人様の制裁を受けた。天井から吊るされ、両穴へ特製バイブを挿入された格好で、一晩中ご主人様の尋問を受けた。
「いやぁ!!!だめぇぇ!!!」
さすがの志穂も夜が明ける頃には失神し、水を掛けられて蘇生した後もさらなる責めを受け、無尽蔵のご主人様の精力の前に地獄を見ることになった。
「はぁふぅ・・あぅぅ・・・」
涙は枯れ、愛液と精液にまみれ、しばらく痙攣が収まらなかった。ブルブルと震えながら、注射の針に怯える子供のような目で自分を見つめる彼女の姿に葵は衝撃を受けた。天真爛漫な笑顔が持ち味の彼女が極限までの苦痛と恐怖に顔を歪ませていた。
(私はご主人様を裏切らない。絶対に)
この時、初めて『劣性』である葵が『優性』である志穂を見下した。

志穂と一緒に歩いていた男は、流奈の心をも虜にしていた。これは志穂が吐いた情報を元にご主人様が確認したことだった。志穂を失うのと、流奈を失うのとでは、意味合いが大きく異なる。流奈とご主人様の付き合いは長く、全幅の信頼を置いていただけあって、さすがのご主人様も落胆の色を隠せなかった。流奈の裏切りは、つまり相手の男の魅力が自分の魅力に勝ることの反映であり、ご主人様のプライドはズタズタにされてしまった。ショックはやがて怒りに変貌し、ご主人様はすべての怒りを葵にぶつけた。この時の衝撃はあまりに激しく、葵は文字通り『壊れて』しまった。心身共に大きなショックを受けた葵は数日寝込む羽目になった。

どんなに酷いことをされても、ご主人様への想いは止められない葵は、回復後、再びご主人様のマンションへ顔を見せた。
「すまなかったな。流奈とも縁を切ったよ」
ご主人様と知り合って、初めて彼の口から謝罪の言葉を聞いた。嬉しくもなんともなかった。志穂と流奈をほぼ同時に失い、完全に弱りきっていた彼を見るのが辛かった。邪魔な『優性』達がいなくなり、本当なら喜ぶべきシチュエーションなのだが、不思議と葵は不快な気分を味わっただけだった。
(私がなんとかしないと)
その日、葵はご主人様を癒すことに徹した。まずは普段のご主人様に戻ってもらう。そして、志穂と流奈を奪った男に復讐をする。その上で、葵はご主人様の唯一絶対の性奴隷となる。葵はご主人様の体中に接吻を繰り返した。

本格的に冬になった。その頃にはご主人様の心の傷も癒えていた。
「葵」
「はい」
今や、彼の呼び掛けに返事をするのは葵ひとりだった。
「奴の内偵をしてほしい」
「はい」
「独自の調査網を使って、奴の勤務先を調べた」
葵にはITのことは良く分からなかったが、ご主人様が膨大な情報を所有する人間で、その圧倒的な情報量を効率的に処理することの出来る優れた頭脳の持ち主であることはなんとなく理解していた。彼は大きなパソコンモニターに『彼』の情報を表示させた。完璧なルックス、知的で冷たい瞳。細部は違えど、ご主人様と同じ『別次元』の人間であることは容易に想像できた。
「深くまで追ってみたのだが、核心に触れることができなかった。かなり手強い。おそらくこの会社に勤めているのも、本質を隠すためのカムフラージュなのだろう」
「はい。では、私がこの人に直接・・・」
「そうだ。体を使っても構わない」
一瞬だけ、お互いの目が合った。ご主人様は自分のことをどう見ているのだろうか。ただの『駒』だろうか。忠実な『劣性』の奴隷だろうか。
「・・・分かりました」
「正社員である必要はない。潜り込むだけなら簡単だろう」
葵は今でこそフリーターだが、きちんと短大を出ている。さらに秘書検定をはじめ、いくつかの資格を持っている。若さもあるし、その気になれば面接官を誘惑すればいい。
「分かりました。『彼』に近づきます」
「よし。今はお前だけが頼りだ。頼むぞ」
そう言うと、ご主人様は愛撫を始めた。葵の体は火照りだした。期待されているという興奮と、ご主人様の愛を一身に受けているという喜び。蜜壷はあっという間にグチョグチョに濡れ溢れ、ご主人様のモノを受け入れると、快感が倍増した。夢のような結合運動。あらゆる体位で体中を刺激され、葵は何度も昇天した。
「あはぁ!」
「まだ行くぞ!」
「はいっ!はいっ!・・・あぁぁ・・すごい・・」
涎を垂らし、恍惚とした夢の空間で、葵はようやく自分の存在価値を見出すことができたのだった。

葵は『彼』の勤務先へ潜り込むことに成功した。面接官を誘惑するまでもなく、派遣会社を介して、セクレタリーとして採用された。採用の連絡を受けるとすぐにご主人様へ電話をした。
「ご主人さま、採用されました!」
「そうか。良くやった」
ご主人様の力になれるのは自分だけ。電話越しに伝わるご主人様の喜びは己の喜びでもある。
「うまくやってくれ」
「はい」
葵は翌週から『彼』と同じ勤務先で働くことになった。

都内のオフィス街にある6F建てのビル。自社ビルである。会社名は聞いたことがあった。CMも見たことがある。目立った高層ではないが、外資系らしい洒落たエントランス。従業員用の通行口を通るのは頭の良さそうなスーツ姿のビジネスマンばかりである。別世界に置き去りにされた気分だ。
「ふぅ」
葵は溜息をついた。秘密クラブで働いていた頃は、高級な衣装で着飾り、サラリーマンが羨むような大金を稼いでいた。客層は富裕層ばかりで、気前の良い中年紳士達にいろいろな所へ連れて行ってもらった。自分は世の中の贅沢を知っている。それでも気後れしてしまう。葵は愚かな女性ではない。どんなに経済的に豊かだとしても、『社会の厳しさ』を知らない自分が圧倒的に弱い存在であると言うことを自覚している。

葵は2Fで働くことになった。『彼』は3Fのはずだ。まずはじっくりと職場に馴染み、情報収集をする。その点で『彼』と違う部署に配属されたのは運が良いと言える。

葵は部署内の、特に男性から歓迎された。セクレタリーと言っても、お偉いさんのスケジュールを管理するような立場ではなく、部署付きの雑用係のようなものである。日々、配属部署の社員のために雑用を片づけてゆく。自然、その部署の社員と話をする機会も多くなり、美貌、スタイルに優れた葵はあっという間に部内のアイドルと認識されるようになった。ミニスカートから伸びる美脚、誘い込むような魅惑の胸元、絶やさない笑顔。それでいて、テキパキと業務をこなす派遣セクレタリーの噂は爆発的な速度で広まり、一目見ようとわざわざ2Fのフロアへ降りてくる社員が後を絶たなかった。

葵が勤務し始めて、2ヶ月が経った。業務内容を完璧に理解し、周囲の空気も落ち着いてきた。当初、あまりに目立ちすぎて、まるで監視下に置かれた囚人のような不自由さだったため、『彼』の情報収集がほとんど出来なかったが、ここ最近では2度『彼』の姿を目撃する程度の自由を得ることができていた。
(そろそろ接触しないと)
思ったより時間が掛かってしまっていたので、葵は若干焦っていた。ご主人様への報告はほぼ毎日欠かさずしてきたのだが、変化のない報告内容にご主人様も苛立っていた。これ以上の遅延は許されない。

時間は刻々と進む。ご主人様の苛立ちも頂点に達しようとしていた。
「お前はやはり『劣性』だ!」
「あぁ!!そこはだめぇ!!!」
極太バイブを両穴へ突き刺され、葵はもんどり打つ。ご主人様の責めはいつになく激しく、葵は何度も昇天した。
「あっ・・はぁ・・もう・・」
「こっちもくわえたいか」
口の中にご主人様のモノが押し込まれ、強引に頭を揺すられる。下半身の激しい刺激の中で呼吸が苦しくなり、快感と苦痛が一気に葵を襲う。
「うぐぅ!!!んぅ!!!」
昇天しても、ご主人様はわざと気付かないフリをして、イマラチオを続ける。葵はブンブン手を振り回して、水中で藻掻くカナヅチのように暴れた。
「おぉ・・いいぞ」
ご主人様のモノが葵の口の中で限界まで屹立し、そこでようやく葵はイマラチオの地獄から解放された。しかし、気を緩めた隙にバイブの振動が体中を電気のように貫いた。
「あはぁ!!!」
ビクッビクッと痙攣する葵の蜜壺へ、十分に力を漲らせたご主人様のモノが容赦なく押し込まれた。凄惨なピストン運動が始まり、葵は恐怖と快感に満たされた世界の中に落ちていった。

そしてついにその日が来た。『彼』との接触はあっけなく実現した。『彼』から内線電話が掛かってきたのだ。『彼』の声は礼儀正しかったが、相手を見下すような冷たさが内包されていた。葵は思わず身震いした。自分はとんでもない男を相手にしようとしているのではないかという不安が募った。

電話の内容は短く、『緊急の用事があるから6Fへ来て欲しい』ということだった。6Fは社員食堂兼リフレッシュスペースになっている。時間は朝の10時40分。たぶん誰もいないだろう。葵は周囲に悟られないようにさりげなくエレベータホールへ向かった。

『彼』はリフレッシュスペースの隅で待っていた。お洒落な丸テーブルを挟んで、『彼』の向かいに腰を下ろすことにした。『彼』の好奇の視線を意識しながら、ソファーに腰を下ろす。『彼』の角度からだと、相当に大胆に脚を晒す格好になる。

緊張と興奮。間近で見ると、ご主人様をも凌ぐレベルの高さが窺えた。ルックスとか、スーツの高級感といったものではない。もっと全体的で概念的な『オーラ』を感じたのだ。志穂や流奈がご主人様から乗り換えた理由も直感的に理解できた。あれだけ完全無欠だった筈のご主人様が『彼』との比較の中で小さく見えてしまう。一人の女として、瞬時に『彼』の魅力の虜になってしまいそうになった葵は慌てて気を引き締めた。
(ご主人様には私しかいないのだ)
数秒の間の後、『彼』は微笑みながら、私に話し掛けた。

「松田さん」
「はい、何でしょう」

恐怖のあまり葵は全身で震えていた。派遣の登録は怪しまれないように『本名』で行ったので、本名で呼ばれたことに対して怯えているのではない。すべてを見透かされたような強い視線に驚いたのだ。ゴクリと唾を飲み込む。相手に悟られまいとすぐに仕事用の笑顔を浮かべたが、すでにこちらの動揺を悟られてしまったようだった。

『彼』の手が葵のスカートのスリットをくぐって、太ももに食い込んだ。
「いやっ」
恐らく盗撮されたに違いない自分の恥辱写真をテーブルの上にばらまかれ、動揺している葵に為す術はなかった。
「何するんですか?一体、何なんですか?」
自分の声が他人の声のように聞こえる。いとも簡単に『彼』に屈しようとしている自分に絶望が襲う。

・・・この人は次元が違う・・・

葵は目を瞑った。ご主人様のことを思い出した。暗い瞼の奥で、ご主人様を何度も呼んでみた。
(ご主人様!ご主人様!)
しかし、ご主人様の顔はすぐに『彼』の顔に上書きされてしまった。葵はフルフルと首を振った。
「これから私と遊んでもらうね」
地獄の底から湧き上がってきたような声。灼熱の恐怖を内包した冷たい声。葵は『彼』の性玩具となった。

その日の午後は地獄だった。パンティの中にローターを仕込まれてしまったのだ。常にブルブルと股間を刺激される。仕事に集中出来るはずもない。それに一刻も早く、ご主人様に連絡を入れなければならない。葵はローターの刺激に耐えながら、携帯電話のアドレス帳にアクセスする。ご主人様の電話番号がディスプレイに表示される。
「あぁ・・くぅ・・」
こんな状態で電話をしたら、ご主人様に不審に思われてしまう。ローターを外せば済むことなのに、『彼』がどこで見ているのか分からないため、このまま我慢するしかない。もう『彼』には逆らえないのだ。葵は悶々とした気分で通常業務をこなし、その間にローターの刺激に耐えられず3度昇天してしまった。幸い、周囲に気付かれた様子はなかった。

にわかに尿意を感じた。こんな非常時でも自然の摂理は待ってくれない。どんなに我慢したところで、いつかは限界がくる。葵は電話を手に取った。恥ずかしさで顔が熱くなる。勝手にトイレへ行くことも許されないのだ。内線で『彼』を呼び出す。
「もしもし」
「・・・あの」
周りに聞こえないように声を押し殺す。『彼』が歪んだ興奮を楽しんでいるのが電話口から伝わってくる。
「・・・トイレに行かせてください」
6Fへ行くように指示される。

6Fへ上がって待っていると『彼』がやってきた。当然のように男子トイレへ連れて行かれる。ここのトイレは昼食時くらいしか使用されない。案の定、今は誰もおらず、葵は一番奥の扉へ押し込まれた。そして、辱めを受けた。『彼』の思うままに恥辱を味わい、水色のパンティから透明な薄黄色の尿を滴らせ、葵は思わず両手で顔を覆った。心の中で何かが変わった。その日、初めてご主人様への連絡を怠った。そしてそれ以来、連絡をすることはなくなった。

こちらからの連絡が3日続けて途絶えた時に、一度だけご主人様から連絡があった。葵は自分の家にいた。退社時間を合わせて葵の家に寄っていた『彼』もいたのだが、誰かと電話をしているようだったので、葵はご主人様の電話を取った。
「おい、何をしている!」
案の定、怒鳴られた。電話口から伝わってくるのは、底知れないご主人様の怒りだった。志穂や流奈を失った今、葵が命綱だ。その葵までも『彼』の手に落ちようとしていることをご主人様は悟ったのかもしれない。
「お前も裏切るのか?」
ご主人様の声は高圧的だったが、その奥に弱さも感じた。葵は既に電話を切ってこちらを観察している『彼』の顔を窺った。自信に満ちた表情だった。葵は大きく溜息をついた。最初から敵う相手ではなかったのだ。いや、それはただの言い訳に過ぎない。

・・・私は『彼』に惹かれているのだ・・・

知らぬ間に葵の頬には幾筋もの涙が伝った。手が震え、肩が震え、自分の心変わりに震えた。涙で視界が歪んだ。何度もご主人様との時間が脳裏に蘇ったが、その度に『彼』の顔が思い出を消し去っていった。もう戻れないのだ。

「・・・ごめんなさい、ご主人様」

それですべてが終わった。ご主人様との糸はいとも簡単に切れてしまった。シャボン玉が割れるように、そっと、1つの存在が消失してしまった。大切で掛け替えのない存在だったのに。

それからというもの、『彼』の陵辱は毎日続いた。しかし、驚いたことに葵の体は喜びに満ちていた。
「あっ、イク!・・・イク、あん、イッてもいいですか?イッてもいいですかぁ」
「まだだ。我慢しろ」
「・・・イッてもいいですか?お願い。イカせてください!」
「ダメだ!」
「あ、そんなっ!ダメ!!やめっ!・・・い、イクイク・・・イッちゃうぅぅぅ!!!」
葵は底なしに惹かれていった。

葵にとって大きな意味のある年が終わり、新年を迎えた。葵は『彼』の隠れ家に呼び出され、特製のスゴロクゲーム(『エッチな特製スゴロク』参照)に参加させられた。様々なエッチなイベントに悩まされながらも、葵は見事トップでゴールした。
「おう、おめでとう。由衣が優勝だ」
『彼』の隠れ家では葵は『本名』で呼ばれる。葵は素直に嬉しかった。優勝のご褒美として、葵はその晩の『彼』の相手となった。
「由衣」
『彼』は優しく微笑んでいた。以前のような冷たくて鋭い雰囲気は微塵にも感じられない。葵も微笑んだ。
「はい」
いきなり体を引き寄せられて、キスをされた。葵は『彼』を完全に受け入れた。舌を絡め、スゴロクゲームで何度も昇天していたにもかかわらず、葵は濡れていた。ようやく自分が探していた人が見つかったという満足感もあった。
「前のご主人様はもういいのか?」
葵は肯いた。
「素敵な人でした。でも、あの人は私のことを本名で呼んだこともないし、あの人の前では私は『劣性』でした」
「『劣性』・・・か。面白いな」
「あ!」
思い出した。『彼』に寝返ったはずの志穂や流奈はどうなったのだろう。このことを聞くと、『彼』は笑った。
「そうだな。俺にとって、彼女達こそが『劣性』だったのかもな。つまらない女達だったから捨てたよ」
「そう・・ですか」
不思議な満足感。彼女達への同情の気持ちは湧かなかった。葵は『彼』の胸に顔を埋めた。

葵はそのまま正式に『彼』の奴隷となった。亜美とはすぐに打ち解けた。亜美は明るくて可愛らしい女性だった。まるで妹のように懐いてくる彼女は葵の掛け替えのない友達となった。
「よろしくお願いします、ご主人様、亜美ちゃん」
後日、もう一人の奴隷、愛と顔を合わせた。その後、葵は隠れ家のお姉さん的な役割を担うことになる。

前のご主人様とは、その後何度か連絡を取った。以前のようなキレはなかったが、とても落ち着いていた。
「で、『彼』とはうまくやっているのか?」
「・・・はい」
「幸せにな、葵。お前を『劣性』扱いしながら、結局最後はお前に頼っていた自分が恥ずかしい」
「そんなことないです。ごめんなさい、本当に」
「謝るな。お前と出会えたことを感謝してるよ。『彼』のことが嫌になったら、また遊びに来い」
永遠にないだろう。でも、彼の言葉は嬉しかった。
「ありがとうございます」
これが前のご主人様との最後の会話となった。最後の自分の言葉が「ありがとうございます」で終えることができて良かった。

余談。
前のご主人様が愛して止まなかった、秘密クラブの『あいつ』が相沢衣緒菜であることを知ったのは、それから随分経ってからのことである。衣緒菜とは時々、当時の秘密クラブの話題で盛り上がる。もちろん、『彼』には内緒である。だから、『彼』には『葵』という名前も知られていないはずだ。

・・・衣緒菜が『彼』に話していなければ、の話だが・・・

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シリーズ連載 : 私と性奴隷たちとの日々